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出川はじめてのおつかいinシンガポール!新メンバーも世界各地で謎解き
11月17日(日)放送分
架空の特殊機関である警視庁科学特捜班「ST」の活躍を描く「映画ST 赤と白の捜査ファイル」が10日に公開された。今作は今野敏さんの人気警察小説が原作で、スペシャルドラマ(2013年4月放送)の好評を受け、連続ドラマ(14年7月期)の放送に続き映画化。藤原竜也さん演じるSTのリーダー格・赤城左門と、岡田将生さん演じるSTの統括を任された百合根友久の軽妙な掛け合いや、個性豊かなSTメンバーの顔ぶれが人気を集めている。映画では殺人事件の容疑者となり逃亡する赤城を、百合根らが追うというショッキングかつスリリングな物語が展開。メガホンをとった佐藤東弥監督に、独特な表現方法へのこだわりや赤城と百合根の関係性、続編などについて聞いた。
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今作は登場人物たちによるノリのいい会話に加え、携帯電話やPCのやりとりをコンピューターグラフィックス(CG)によるタイポグラフィーを駆使した演出で、ビジュアル面でも注目を集めている。独特な表現方法を導入するきっかけを、「『SHERLOCK(シャーロック)』というドラマでメールなどを画面にテロップで入れていて、これ面白いなと思った」と明かす。「でも、同じことをやってもしょうがないので、考え方を生かした上で、よりスケールアップしたことは何ができるだろうというようなことで始めた」とポップな最先端CGビジュアルによる演出が誕生した経緯を説明する。
スペシャルドラマ制作時、「(相手が)目の前にいるけど会話はLINEでというのは、ドラマではあまりやったことがなかった」と思いつき、「それをやったら、とても“『ST』っぽい”というか独特のテイストが出たので、もっとエスカレートしたら面白いだろうと」自信を深めたという。タイポグラフィーによる表現は携帯やPCのやりとりをはじめ多岐にわたるが、「いつもだと、あまり“暴投”に近いようなことは採用しないし、いろんなことを鑑みて穏便な方向に行ってしまう」というのが普通だが、『面白いからやってみよう』というノリがこのドラマにはあった」と斬新な方法が採用されやすい空気感があったと振り返る。
独特な表現方法は映画でも健在で、「映画ではさらにちょっと進めてやってみた」と佐藤監督が話す通り、映画の随所に多数の文字が出現するが、「実は説明するために入れているのではなくて、できるだけ説明的にならないようにしようと思っている」のだという。「全部の情報をインプットしていただかなくても、ある種、芝居と画面とテロップと、全部一体のものとして感じていただければいい」とし、「あまり字面を読まずに感じていただければ面白いのでは」と意図を説明する。
一方で、「そうは思っていますが、実はすごく作り込んでいて、一つ一つの文章に意外とネタバレというか楽屋落ちというかいろんなことが書いてあったりする」と打ち明け、「もし2度目、3度目に見ることがあるようなら、そういうところも楽しんでいただけるといいかなと思います」と楽しみ方の一つとして提案した。
本格的な共演は今作のスペシャルドラマが初めてだった、赤城役の藤原さんと百合根役の岡田さん。佐藤監督は「『カイジ』にしても『デスノート』にしても、ある種、“殿上人”のようなキャラクターだけど、(藤原さん自身は)意外と面白い人」と藤原さんを評す。そして、「そこを生かせたら面白いという話をしていたし、『ST』という作品の赤城をやるなら藤原さんがやったら面白いんじゃないか」と期待を込めたキャスティングだったという。岡田さんについては「バディものを結構やっていらっしゃるので、『岡田君と藤原さんの組み合わせというのは面白い』という感じだった」と明かす。
水と油のような性格ながら、夫婦漫才のような濃い友情で結ばれている赤城と百合根。佐藤監督は「2人はいったいどういう関係なのかというのを、皆さん、ものすごく気にして見ていらっしゃると思う」と切り出し、「映画自体がそれに対する回答でもある」と断言。続けて、「赤城にとって百合根、百合根にとって赤城というのは『こういうことなんだ』ということの答えを出せたらいい、それが映画だったと思う」と今作に込めた思いを語る。それは映画のクライマックスに向けて明らかになっていくが、「分かりやすい直球で本音を言うのが普通だと思うけど、ものすごく遠回りをする」と関係性を分析し、「でもそれはすごくシンプルなことを言っているだけなので、それが“答え”」と言い切る。
2人の関係性は物語が進むにつれ変化しているようにも見えるが、「ゴールとしてそれ(答え)を持って連ドラを作っていたから(関係性が)変わっていったのは、ちょっと予想外の楽しみ方を皆さんがしてくださったから」と佐藤監督。「あまり意識せずに、きちんと最初に考えていたことを回収しに行った」とぶれずに2人の関係性を描き、「『赤城とはこう、百合根とはこう』というのは連ドラ10本を通して、(藤原さんと岡田さん)お二人の中に出来上がっていた」と表現。そして「そういう意味で変わっていったというか、連ドラ10本通して作り上げていった感じ」と振り返った。
頭脳派の赤城だが、映画ではアクションを披露。佐藤監督も「本来、(赤城は)アクションは全然だめな人だと思う」と同意するも、「やってみたかったのはある」と笑顔を見せる。「実は種明かしがあって……」と切り出し、「赤城と百合根に一回ずつアクションをやってもらうことと、あとは山吹才蔵(三宅弘城さん)とはいったいなんなのか」と映画で盛り込みたかったネタを明かす。そして、「(山吹に関しては)STの中で一体誰が最強なのか。普通に考えると黒崎勇治(窪田正孝さん)だけど、『STにおける最強とはなんなのか』というのもやりたかったこと」と力を込める。
対人恐怖症で引きこもりの赤城にとって唯一の心のよりどころとして登場したキャラクター「ガッキー」だが、佐藤監督は「こんなに盛り上がるとは思っていなかった」と驚く。“キモカワ”なビジュアルは「最初は(赤城が)法医学者なので人体解剖模型というのが出てきた」と着想を明かし、「(見た目が少し)気持ち悪いという話もあり、もうちょっと面白くならないかな」と考え、試行錯誤した。以前からの知り合いである怪獣造形作家のピコピコさんに依頼したところ現在のビジュアルとなり、「プロデューサーと脚本家に『反対されたらやめよう』と思い持っていったら、『面白い!』となった」と笑う。ガッキーに限らず「『ST』においては『面白い』というのが大事」と語り、「あとで苦労しても『面白い』という脱線はできるだけ拾っていく。そういう意味で(ガッキーは)最初の脱線」と笑顔で語る。
ちなみに佐藤監督が初めてはまったポップカルチャーは、映画で「『ゴジラ』に胸を打ち抜かれた」と当時の驚きぶりを話したのに続け、「(『ゴジラ』が)再映画化するのですごく楽しみだけど、ガッキーを怪獣として出してくれないかな(笑い)」と冗談とも本気とも付かぬ発言も飛び出し、即座に「だめか……」と自ら突っ込みを入れ、笑いを誘った。
STのメンバーはどこかしら性格に難があるが、自身にも何か“難”があるかと聞くと、「結城翠(芦名星さん)の束縛されるのが苦手というのはすごく分かる」と翠の性格に共感。「こういう時にこうしなければいけないみたいなのが、すごく抵抗ある時がある」と苦笑いし、「そういう意味では翠というキャラクターは、そこ(自身の性格)を投影したつもりではある」と説明する。ちなみに、バディを組むなら赤城と百合根のどちらかと投げかけると、「どっちかというと赤城のようには振る舞いたい。百合根みたいなやつを困らせたいという感じはある(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに答えた。百合根に対しても「多分、赤城から見ると百合根というのはすごくウザいと思うけど、そのウザさが実はすごくすてきなところ」とフォローを欠かさない。
劇場版の公開を迎え、改めて「ST」シリーズの魅力を聞くと、「やっぱり登場人物の魅力に尽きるのでは」と語る。「(STメンバーの)彼らは多分すごく変わっているけど、見た人が共感を持ってもらえる」と切り出し、「STの中の誰かの弱い部分に『自分もそうかもしれない』『その生きづらさはよく分かる』みたいなことを感じてもらえると思う」と自信をのぞかせる。
今作がシリーズの“最後”とされているが、続編の可能性について「ラストカットの次に、あるテロップが出てくるけど、その意味をいろいろと想像していただけると……」と意味深な発言。さらに「まだまだやっていなこともある」と続編に含みを持たせた。映画はTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開中。
<プロフィル>
さとう・とうや 1959年4月11日生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、日本テレビに入社。テレビドラマの演出を担当し、現在、日本テレビの制作局専門局長兼ドラマ担当エグゼクティブディレクター。おもな監督作に「ごくせん THE MOVIE」(2009年)、「カイジ~人生逆転ゲーム~」(09年)、「ガッチャマン」(13年)など。演出を手がけた主なドラマには「家政婦のミタ」(11年)や「ダンダリン 労働基準監督官」(13年)などがある。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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2024年11月19日 05:00時点
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