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なかよし:時代とともに付録も進化 少女文化とその変遷

マンガ
2013年3月号付録の「まんが家セット」(上)と1993年9月号付録の秋元奈美「ミラクル☆ガールズ」ドリームトランプ

 創刊60周年を迎えた少女マンガ誌「なかよし」(講談社)が1月号と2月号にそれぞれ付けた記念付録「ネイルセット」「まんが家セット」が“女子力高い”“豪華過ぎる”と話題になっている。かつて付録は紙製の製品がほとんどだったが、近年は「クラッチバッグ」や「リップクリームパレット」など大人も欲しがるようなものが続々と登場している。少女の夢や憧れを形にし、少女文化に寄り添い進化し続ける付録の歴史をひも解いてみた。

 ◇紙製が中心

 「なかよし」は1955年12月に創刊。競合誌としては「りぼん」(集英社)や「ちゃお」(小学館)などがあるが、刊行中のマンガ誌としては日本で最も古く、「キャンディ・キャンディ」や「美少女戦士セーラームーン」など多くのヒット作を生み出してきた。マンガの面白さもさることながら、特に小学生の読者に雑誌をまず手に取ってもらうためのきっかけとして各出版社が重視しているのが付録で、各出版社は熾烈(しれつ)な“付録合戦”を展開してきた。

 創刊当時の付録はしおりや占い、歌の本など。時代によって付録の中身は変化するが、90年代までの付録は紙製が中心だった。定番の付録を分類すると、主にレターセット(手紙)やノートなどの「文具」、トランプなどの「ゲーム」、小物入れなどの「箱もの」、バレンタインカードなど「季節もの」、水着や物を入れる「バッグやケース類」。共通点は「友達とのコミュニケーションツール」「友達と分けたり学校へ持って行けること」「読者の憧れを形にしている」という点で、そのアイデンティティーの基本は現在でも変わらないという。

 例えば、70年代に登場した紙で作るドレッサーや小物入れといった“箱もの”の付録は、当時の少女たちの憧れの玩具を模倣したものといい、同誌の中里郁子編集長は「『なかよし』は創刊当初から常に“新しいこと”を意識してきた」という。ファンシーな文具がなかった時代にはマンガの人気キャラがデザインされたノートや定規などの文具をというように、今から考えると珍しくないアイテムでも当時の読者にとっては“新しくてほかでは手に入らない”ものを、素材や予算に制約がある中でできる限り形にして付録として提供し続けてきた。

 ◇21世紀に起きた“大革命”

 少女たちの夢や憧れを形として提供しながら雑誌とともに歩んできた付録だが、21世紀に入った2001年、付録に大きな変化が訪れる。日本雑誌協会が雑誌の自主規制を緩和したことで、今まで付録に使用できなかった紙以外の素材も使用できるようになり、付録の形態は一気に変化した。01年12月号には当時大人気だったアイドルグループ「モーニング娘。」のフィギュアが付録に付き、大反響を呼ぶ。それまでは「12大ふろく」などと銘打って、競合誌同士が付録の数でしのぎを削っていたが、付録が「量より質」にシフトし、“一点豪華主義”の時代に突入した。

 さらに2000年代後半には、子供服ブランドが流行したこともあって人気のブランドとコラボした布製のポシェットやバッグが登場。また、おしゃれに関心のある読者を意識してネイルセットやリップクリームなども登場した。

 そして13年3月号に登場した「まんが家セット」は読者のみならず元読者でもある大人たちも巻き込んでネットを中心に大反響を呼んだ。同号は即完売し、売り上げも平均の3割増と“大成功”だった。「まんが家セット」誕生の根底にあったのは「読者にマンガを読んでもらいたい」という思いだった。「おしゃれも楽しいし魅力的だけれど、子供たちにマンガを読んでもらうことと、マンガ家になりたい人に『なかよし』に集まってほしい」(中里編集長)という。

 ◇天敵は「円安」?

 付録が年々“豪華さ”を増す中、付録開発の担当者が頭を抱えているのがコストだ。少しでもコストを削減するため、付録は海外で製造しており、もっかの最大の“天敵”は為替という。また、“付録班”の班長・須田淑子さんは「100円ショップや市販品にはないものをいかにして作れるかを常に考えています」と明かす通り、2000年代以降、可愛いものを取りそろえるようになった100円ショップも強力なライバルとして出現した。競合誌はもちろん円安や100円ショップと戦いながら、付録でしか提供できないものを開発し続けているのだ。

 いつの時代も進化し、少女たちを魅了し続けてきた付録。今後も大人たちが驚くような付録の登場に期待したい。

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