渡部陽一:10年前のイラク戦争を回顧 若い米兵のギャップに「胸を揺さぶられた」

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 戦場カメラマンの渡部陽一さんが13日、東京都内で行われた映画「アメリカン・スナイパー」(クリント・イーストウッド監督)の試写会イベントに登場し、トークショーを行った。約10年前のイラク戦争当時、米軍の従軍カメラマンとしてキャンプ地を回った渡部さんは、驚いたことに「19~20歳くらいの若い兵士が多かったこと」を挙げ「彼らが一歩キャンプ地に戻ると、我先にと電話に飛びつき、国に残してきた兄弟や家族と話しながら涙を流す。また前線の緊張感から解放され、言いたくもないのに誰もがジョークを飛ばす。そんな戦場の“ギャップ”に胸を揺さぶられました」と経験を語った。

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 また、現在も世界の紛争地帯を回っている渡部さんは「どの紛争地でも共通しているのは、犠牲者はいつも子供たちだということです」と、口調はマイルドながら真剣な表情で訴え「泣いている子供たちの声を一人でも多く届けることができれば」と戦場カメラマンとしての使命感を明かした。

 映画は、2003年に始まったイラク戦争で4回にわたって戦地に赴き、その常人離れした狙撃の精度から「伝説の狙撃手」と呼ばれた男の半生を映像化した作品。戦争の狂気にとりつかれながら、国で待つ家族をこよなく愛した男の光と影をイーストウッド監督が生々しく掘り下げ、描いている。

 すでに作品を鑑賞したという渡部さんは「誰もが戦場という狂気から逃れることはできないということをはっきりと感じた」と感想を語り、「映画の中の米軍の姿はとても生々しくて、自分が従軍カメラマンとして見てきた姿がはっきりと描かれている」と内容に太鼓判を押していた。

 「アメリカン・スナイパー」は21日から公開される。

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