インドの本格的サスペンス映画「女神は二度微笑む」(スジョイ・ゴーシュ監督)が、21日から公開される。大都市コルカタを舞台に、失踪(しっそう)した夫を捜す妻の道のりの中に大事件がからんでいく。「ミレニアム・ドラゴン・タトゥーの女」(2009年)のニールス・アルデン・オプレブ監督によって、ハリウッドでのリメークも決定している話題作だ。
ウナギノボリ
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コルカタの国際空港に、身重の美女ビディヤ(ビディヤー・バーランさん)が降り立った。ビディヤは、インドで行方不明になった夫を捜しにロンドンからやって来た。しかし、宿泊先や勤務先に夫がいた形跡はない。ビディヤは、ラナ刑事(パラムブラト・チャテルジーさん)とともに夫を捜索するが、そこに、夫に似た風貌で別名の男の存在が浮かび上がる。だが、国家情報局は「そんな男はいない」と言うばかり。しかし、ビディヤに情報を提供した女性が何者かに殺され、事態は2年前のテロ事件と関係していることが明らかになっていく……という展開。
歌わない、踊らない新世紀のインド映画の一つ。サスペンス映画には美女が欠かせないが、ボリウッドのトップ女優が演じる今作のヒロインの「美」は、姿形だけではない。賢さと強さに裏打ちされ、際立っている。このヒロイン、ヒンドゥー教の戦いの女神ドゥルガーの伝説をモチーフにしているという。並み外れた推理力と行動力に加え、コンピューターのハッキングもお手のもの。空港に降り立ったときのか弱い妊婦が、どんどん印象を変え強さを持っていく。刑事とコンビになって夫の失踪の謎に迫っていくさまが緊張感をはらんで展開され、どんでん返しがどこでくるのかとハラハラさせられる。雑然とした通りや、クライマックスのお祭りにいたるまで、コルカタの街を魅力的にとらえたライブ感あふれる映像で、事件をはらんで展開していく。インドのアカデミー賞と称されるインド・フィルムフェア賞で監督賞、主演女優賞など5部門を受賞。ゴーシュ監督の次回作は、「容疑者Xの献身」のインド版リメークだという。21日からユーロスペース(東京都渋谷区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。最近ようやく「わたしはマララ」を読み終わりました。
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