女優の新垣結衣さんが教師役に初挑戦した主演映画「くちびるに歌を」(三木孝浩監督)が28日に公開される。アンジェラ・アキさんの楽曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」を基にした中田永一さんの小説「くちびるに歌を」(小学館)が原作。東京から長崎・五島列島の中学校にやってきた臨時教員が合唱部の顧問となり、次第に生徒らと心を通わせていく姿を描いている。初めて教師役を演じる新垣さんの体当たりの演技やオール長崎ロケの大自然を舞台にした風景も見どころだ。
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長崎県の五島列島にある中五島中学校へ音楽の臨時教員として東京から柏木ユリ(新垣さん)が赴任してきた。ピアニストとして活躍していたという美人の柏木の話題で、生徒らはもちきりだが、柏木は冷たい態度で生徒から頼まれてもかたくなにピアノを弾こうとしない。そんな中、嫌々ながら合唱部の顧問を引き受けた柏木は、女子しかいないところに男子を入部させ、混声での全国コンクール出場も決めてしまう。ある日、課題曲である「手紙~拝啓 十五の君へ~」の練習のため、柏木は部員たちに15年後の自分へ手紙を書くように言う……というストーリー。
季節柄だろうか。春が近いこの時期に、こんなにも清涼感あふれる青春物語を見せられると、思わず涙腺が緩んでしまう。青春ものといっても単純な学園ドラマではなく、15歳の生徒らとかつて15歳だった大人によるヒューマンドラマに仕上がっており、それぞれの人間模様が丁寧に描かれている。思い返してみれば、自分が15歳だった時に15年後の自分を想像したことはほとんどなく、ましてや手紙を書いた記憶もない。映画で登場人物たちが15年後の自分に宛てて書いた手紙は、まだ年若いながらも家族や人間関係、将来への不安、そしてある種の諦念など、真摯(しんし)すぎる内容に、思わず胸が締めつけられ切なくなる。新垣さん演じるユリと生徒らが合唱コンクールに向けて共に傷つきながらも成長していく姿が美しく、心揺さぶれる。そして、子供たちだけでなく、大人だって変わることはできるはず……という希望を与えてくれる。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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