女性が意中の相手にチョコレートを渡して思いを伝えるバレンタインデー。しかし今年も“バレンタイン中止のお知らせ”がネット上を飛び交った。週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴する“オタレント”の小新井涼さんが“オタク女子”ならではのバレンタインを振り返る。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
クリスマスと並んでオタクたちの中で“中止率”の高いイベント「バレンタイン」。しかし、もらう相手ではなくあげる相手が“画面の向こう側”にいるオタク女子にとっては果たしてただつらいだけのイベントなのでしょうか。そんないちオタク女子の視点から、今年のバレンタインを振り返りつつ探ってみたいと思います。
バレンタイン関連のグッズやイベントをみてみると、女性人気の高い「ハイキュー!!」「ダイヤのA」でのチョコレートやブロマイド、乙女ゲームなどで人気の「BROTHERS CONFLICT」のバレンタインエピソードのOAD(オリジナルアニメDVD)などが“定番アイテム”といえるでしょう。それに加えて、プリロール(アニメキャラなどをロールケーキに印刷したもの)のコラボバレンタインスイーツもみられましたし、「ボーイフレンド(仮)」ではバレンタイン投票で人気のキャラ”キスの味”を再現したキャンディーをホワイトデーにプレゼントする企画を実施したりと、バラエティーに富んだ商品や企画も見受けられました。
そんな中でも特に目立つようになってきたのが、従来と立場が逆転して、女子がチョコを”渡される”側になるというパターンです。
「弱虫ペダル」からは総北・箱学メンバーがチョコを差し出しているイラストをあしらったプライズが登場したり、「ヘタリア」ではバレンタイン当日に男性声優さんからのチョコのお渡しイベントがあったりなどなど、世間と違わずオタク界でも”逆チョコ”パターンを楽しむ風潮があるように感じました。
そんなオタク女子たちのバレンタインですが、愛するキャラへの熱意が大きすぎることによって逆にリアルで”中止”となってしまったイベントもあります。
4年連続となった「うたの☆プリンスさまっ♪」の“食品・物品の贈り物禁止令”はもとより、なにより今年一番衝撃的だったのは毎年恒例となっていた「テニスの王子様」のチョコレートランキングが中止になってしまったことでしょう。
しかし編集部が人気投票という対案を用意せざるを得ないほどの「好きなキャラを一位にしたい!」という熱意や、たとえチョコを渡せないとしても痛チョコ(キャラクターを描いたチョコレート)や痛祭壇(キャラグッズを集めてケーキや痛チョコを備えた一角を部屋につくること)で愛を表現するオタク女子のたくましさは、もはやそれ自体がオタクバレンタインの風物詩でもあるのです。
このようにオタク界においても女子の盛り上がりが強いバレンタインではありますが、年々その楽しみ方やチョコの受け渡しのバリエーションは豊かになってきているように感じます。
チョコをあげるにしろ、もらうにしろ、さらにはリアル中止という受け取り拒否をされてでも! 好きなキャラと特別な日を過ごすというだけで幸せになれるオタク女子にとっては、バレンタインというイベントすらも「妄想を盛り上げるネタのひとつ」ということなのかもしれません。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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