SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
WOWOWは毎週土曜午後1時に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。3月7日に放送される「ノンフィクションW 漫画で人間社会を問う~東北の異端・いがらしみきお~」をプロデュースしたWOWOW制作部の太田慎也プロデューサーに、番組の魅力を聞いた。
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−−番組の概要と魅力は?
「ぼのぼの」「羊の木」などで知られるマンガ界の巨匠・いがらしみきお先生の最新作「誰でもないところからの眺め」の創作過程に密着しました。キャリア36年、仙台を拠点に数々の異色作を生み出し続けているその神髄に迫ろうと取り組みました。その作風から、どこか人間社会への違和感や怒りが初期衝動となっているように見える先生の最新作が、「宮城県の海辺の町を舞台に、震災の3年後から始まる物語」ということで、ご自身も震災を経験された先生が何を考え、どういうメッセージを作品に込めていったのかを取材しました。
−−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?
いがらしみきお先生の作品、とりわけ「羊の木」「I【アイ】」といった近年の作品を読んでいて、決して一言では表現できない、あえて言えば恐ろしさのようなものを感じていました。自分の脳の日頃使っていない部分をフル回転させられるような感覚、考え方・受け止め方の多様性のようなものを自問させられるような読後感がありました。
どの作品もいがらし先生にしか描けない世界ですが、東日本大震災を経験された先生が、その3年後から始まる新作を描かれると聞き、いったいどんな作品を生み出されるのか見てみたい、それが初期衝動です。
−−制作中、一番に心掛けたことは?
いがらし先生は、人間の感情や社会や物事に“表と裏がある際どさ”をとても鋭く描かれています。恥ずかしい例えですが、「“善者の悪意”と“悪者の善意”ってどっちがどうなんだ?」「“大きい字で小さいと書く”のと、“小さい字で大きいと書く”のはどっちがどうなんだ?」というような。番組としても、決して誰もが分かる結論ばかりを求めるのではなく、ご覧いただく方々、それぞれの受け止め方をイメージしながら制作しました。編集などにおいても、スタッフみんなで意見交換しながら、決して一方向に導きすぎないよう、それでいてそこにきちんと納得感があるように心掛けました。
−−番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?
マンガという「静止画の世界」を「映像」で表現することは、企画・取材段階から苦労しました。ただその一方で、カメラの前で語っていただいた先生の言葉が本当に力強く、受け手のイマジネーションをどこまでも広げてくれると感じられたので、先生の言葉の数々には救われました。映像表現が難しい、なおかつ震災にも向き合うという複雑な題材でありながら、スタッフみんなが同じ方向を向いて作業できていると感じられた瞬間も多く、マンガというエンターテインメントが持つ大きな力や奥深さ、多面性を私たちスタッフも再認識することができました。
−−番組の見どころを教えてください。
いがらし先生の創作活動や、作品が生まれるまでの過程を丁寧に取材させていただきました。先生の作品を読まれた方はもちろん、読まれたことがない方にとっても、その様子はきっとご自身の日常や仕事、いま熱を入れて取り組んでいることに置き換えて受け止めることができると思います。また、この場をお借りして、いがらし先生はもちろん、番組にお力添えいただいたすべての皆さまに感謝いたします。
−−視聴者へ一言お願いします。
36年ものキャリアを持ち、その作風から“異端”ともいえる存在でありながら、いがらし先生は非常に誠実で、とても真摯(しんし)な方でした。決して過激なことを追い求めるのではなく、違和感や怒りといった、自分だけが感じた衝動を一人でとことん突き詰めて作品に込める。そこで背負うものも大きいに違いありません。孤独で実直な作業をされる先生の創作活動は、マンガという世界だけでなく、今の社会を生きる私たちにとって、とても意味のあることだと確信しています。ぜひ番組をご覧いただけたら幸いです。
WOWOW 制作部 プロデューサー 太田慎也
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