大阪・南河内を舞台にしたひと夏の青春ストーリー「あしたになれば。」(三原光尋監督)が21日から公開される。地元のグルメコンテストに挑む高校生の男女6人の恋と友情が、透明感の中で描かれている。フレッシュな若手俳優たちが集結し、大阪・羽曳野市、藤井寺市、太子町の協力で撮影された。
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大阪府南河内市。高校2年生の大介(小関裕太さん)は、夏の甲子園予選で敗退したことで、部活に行かなくなっていた。夏休みに大介は学校に呼び出され、元(葉山奨之さん)、健二(小川光樹さん)、昭吾(山形匠さん)とともに校長室を訪ねる。校長から地元のグルメコンテストへの出場を促された4人。「くいしんぼう」というだけで抜てきされ、浮かない顔の4人の前に、隣の女子高に通う美希(黒島結菜さん)と玉子(富山えり子さん)が現れ、一転して出場を快諾する。そして男女混合チームで地元のグルメコンテストを目指す……という展開。
男子校の4人と女子校の2人。モジモジと自己紹介するところからスタートし、次第に距離が縮まっていくさまが、丁寧に描写されている。家庭の事情を抱え、東京から転校してきた美希や、しっかり者の玉子と違って、男子4人は純朴そのもの。「結局は美少女に弱いのね……」という単純明快さが気持ちいいほど。ドキドキ感がよく伝わってくる。それもそのはず、大介の周囲の女性といえば、母親、祖母、妹ぐらい。一家はぶどう農家を営んでいて、俳優たちがまるで本当にそこで暮らしているかのような和を見せる。仲が良くあっけらかんとした家庭で育った大介の心根の良さが自然と伝わり、応援したくなってくる。大介の恋心は、親友の元をライバルに据えながら、自転車で夏の風を切るかのごとく爽やかだ。町ごと捉えた風景の中に、かけがえのない彼らの時間が刻まれている。音楽は、「旅立ちの島唄~十五の春~」(2012年)などのきだしゅんすけさん。アコーディオンなどを使った素朴なメロディーが、この映画の雰囲気にピッタリだ。地元食材を使ったアイデアレシピも見ていて楽しい。角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほかで21日から順次公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。28日公開「カフェ・ド・フロール」の主演バネッサ・パラディさんの演技に感動しました。
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