ふたがしら:入江悠監督が初挑戦の時代劇語る 「伝統が引き継がれてほしい」

「ふたがしら」を手がける入江悠監督
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「ふたがしら」を手がける入江悠監督

 「SR サイタマノラッパー」「ジョーカー・ゲーム」などの入江悠監督が時代劇に初挑戦した連続ドラマ「ふたがしら」が13日からWOWOWでスタートする。「時代劇は自分が子供の時はテレビで放送していたけれど、今の若い人が見るチャンスがあまりない。時代劇を見るきっかけになってもらえれば」と話す入江監督に制作の裏側を聞いた。

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 ◇こだわりは衣装

 ドラマはオノ・ナツメさんのマンガが原作。江戸時代の盗賊一味・赤目の豪放な性格の弁蔵(松山ケンイチさん)とクールな宗次(早乙女太一さん)が、一味を離れ、“でっかいこと”を達成するために旅に出る姿が描かれる。成宮寛貴さんがのちに赤目の頭となる甚三郎を、菜々緒さんが赤目の頭で夫の辰五郎がありながら、甚三郎とも関係を持つ魔性の女・おこんを演じるほか、國村隼さん、芦名星さん、村上淳さんらも出演する。劇団☆新感線の作家で、アニメ「天元突破グレンラガン」などを手がけた中島かずきさんが脚本を担当する。

 入江監督は、時代劇ファンだったというが、初の時代劇に戸惑うところもあったそうで「中島かずきさんの脚本を読んで見えてきた」と語る。また、オノさんの原作については「独特の空気感があり、天才的なものがあります」と絶賛する。

 今作で特にこだわったのが衣装で「素材から選んで色味やデザインを仕上げてもらった。(松山さんと早乙女さんの)2人の衣装のデザインが少し違ったり、共通しているところがあるなどバランスを大事にしたかった。今回は衣装(の選定)が一番長かったかもしれない」と説明する。

 ◇“魔性”の菜々緒の存在感を絶賛

 松山さんと早乙女さんには、マキノ雅弘監督の映画「次郎長三国志」シリーズをあらかじめ見てもらってから、撮影に臨んだという。松山さんと早乙女さんは時代劇の経験が豊富なことから「2人の方が時代劇の経験があるので助けられた」ともいい、早乙女さんについて「子供の頃から着物を着ているので立ち居振る舞いに色気がある」、松山さんについては「想像以上に熱く、芯が強い。子供っぽい演技も緻密にやっている」と絶大な信頼を寄せている。

 また、「悪役が立たないと面白くならない」という思いから、こだわったのが、成宮さんや菜々緒さんの登場シーンで、「2人のシーンは退廃としていて、オノさんの原作に近いかもしれない」と説明する。“魔性の女”を演じる菜々緒さんについて「色っぽい演技で、ああいうことができる人は珍しい。すごい才能です。天才的な女優さん」と絶賛する。

 「時代劇はポップなものも大人向けのものもいいですね。『蜩ノ記(ひぐらしのき)』に感動した。ああいうオーソドックスな時代劇は究極の目標。伝統が引き継がれてほしい」と話す入江監督。一方で「ハリウッドのSF作品には、娯楽だけど政治的なものがあったりします。SFはずっとやりたいと考えている」とも話していた。

 「連続ドラマW ふたがしら」は、13日からWOWOWプライムで毎週土曜午後10時に放送。全5話で初回は無料放送。

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