歌舞伎俳優の中村獅童さんが14日、東京都内で行われた、京都の「京都四條 南座」で9月に上演する新作歌舞伎「あらしのよるに」の製作発表に登場。同作の歌舞伎化が「長年の夢」であったという獅童さんは、「本当にうれしいですね」と喜び、「(2013年に亡くなった)母の育った町・京都の南座で芝居をやらせていただくのは胸がいっぱいの思いです」と語った。
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「あらしのよるに」は1994年に出版された、きむらゆういちさんのベストセラー絵本が原作。オオカミのガブとヤギのメイが嵐の夜に出会い、本来なら天敵同士の2頭が「ひみつのともだち」となり、さまざまな困難を乗り越えながらも強い絆で結ばれていく姿を描く。ガブを獅童さん、メイを尾上松也さんが演じる。
獅童さんにとって、同作は2002年にNHKの教育番組「てれび絵本」でナレーションと全キャラクターの声を務め、05年に公開された劇場版アニメでガブの声を演じた作品。同席した松竹の安孫子正副社長が「番組に出ていたときに、獅童さんのお母様が当時、会社に来られて『獅童が今こういう仕事をしているのよ』と話していた」と明かすと、獅童さんも「私のような不良少年が子供に読み聞かせる番組に出演することを母も喜んでおりました。そして毎回楽しみに見ておりました」と振り返った。
製作発表には、共演者の松也さん、市川月乃助さん、中村梅枝さん、中村萬太郎さんらも出席した。松也さんは、獅童さんについて「いつどんな役でも命がけで挑戦されている姿を見ると、こちらも一生懸命ついていかないと、と思います。この作品が何百年後かには古典になるように全力でついていきたいです」とコメント。獅童さんは「大好きな松也くんと一緒にやらせていただけるのは本当にうれしい。母が亡くなったときに直筆の手紙を届けてくれたことは、忘れられない大切な思い出」と明かした。
同作は京都・南座で9月3~26日に開催される「九月花形歌舞伎」で上演される。