3人組バンド「THE ALFEE」としても活躍する高見沢俊彦さんが、Takamiy名義のソロシングル「誘惑の太陽」を15日にリリースした。2007~13年夏までのソロプロジェクト第2期に続く第3期の第1弾作品で、EDM(Electric Dance Metal)という独自の音楽性を打ち出した楽曲に仕上がっている。14年のTHE ALFEEのデビュー40周年を経て、ますます精力的な活動を行うTakamiyさんに、新シングルの話や、バンドとソロ活動の両立などについて聞いた。
あなたにオススメ
「豊臣兄弟!」では池松壮亮が! 大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る
――改めて昨年、2014年にTHE ALFEEとしてデビュー40周年を迎えた心境はいかがですか?
僕と坂崎(幸之助さん)は40周年で還暦を迎えて、本当に節目ということもあったんで、やっぱり40周年は重いなあって思ったんですよね。昨年は学校(母校の明治学院大学)を(名誉)卒業したり、フランスの観光親善大使になったり、いろんなことがあって、渦中にいる時は分からなかったんですけど、41年目になって、長くやってきた意味がやっと分かってきたというか。THE ALFEEの春ツアーが(6月まで)あったんですけど、昨年よりお客さんが熱いというか、盛り上がってるんですよ。たぶん、昔、コンサートに来ていた人がまた来てくれたのかなと。そういう意味では、今までやり続けてきた結果、ここにいるというか、40年分のエネルギーが41年目を動かしてる、というのをすごく感じています。
――そんな中でのソロ第3期第1弾シングルは、EDM(Electric Dance Metal)をコンセプトにしているそうですね。
僕はダンスミュージックが好きで、結構、聴いてるんですけど、本格的にやったことはあまりないので、ダンスミュージックにギターをたくさん入れたら面白いんじゃないかなっていうちょっとした思いつきから始まったんです。僕のルーツは、高校の時に聴いていたレッド・ツェッペリンやイエス、キング・クリムゾンとかの70年代のロックなんですが、その前は小・中学生の時のGS(グループサウンズ)だったんですよ。恋があって、星や太陽があって、みたいなGSのファンタジーの要素は自分の中にもあって、僕は意外とそういう世界が好きなんで、(カップリングを含めた)今回の2曲にGSのムードをちりばめてみようかなと。タイトル曲の「誘惑の太陽」は、“ひと夏の思い出”を歌にしてみようかなと思いましたね。
――“夏”をテーマにしたシングル曲は今まであまりなかったそうですが、それには何か理由があったんでしょうか。
THE ALFEEは8月のデビューで、デビュー曲が「夏しぐれ」という曲なんですけど、シングルで正面切って夏を打ち出してる曲はそれ以来ですね。まあ、僕は夏が苦手だっていうのは確かにあります。暑いのがダメで、湿気もダメで、巻毛も取れちゃうんで(笑い)。でも、日本は特に四季がはっきりしていて、夏が終わると、いきなり秋になるっていう季節感があるから、“この時だけの歌”っていうのを作ってみたいという気持ちにはなりましたね。
――ギターもイントロ、間奏、アウトロ(後奏)と満載ですね。
細かくいうと、ギターも少しずつ変えてるんですよ。まず、サーフィンギターみたいな音が入ってるんですけど、あれは60年代のギターで、フレーズも含めて懐かしさを醸し出すような感じにしたり。あと(ギブソン社の)レスポールとか、ESP(ギターメーカー)のTakamiy’s Guitarっていうのがあって、FLYING A(自身のオリジナル変形ギター)だったり、そういうのをかなり細かくチェンジして使いましたね。
――また、カップリング曲は「恋の花占い」というタイトルですが、Takamiyさんは占いは信じますか?
いいのは信じますよ。朝の番組とかで「今日の牡羊座(4月17日生まれ)のラッキーカラーはそうなんだ」とか。花占いはやったことないけど(笑い)、占いは興味ありますよ。番組とかで神社に行ったりすると、必ずおみくじを引いたり。あと、げん担ぎではないけど、のどを潤すというので、ステージ前にはココナツオイルを結構、飲んでます。ボケ防止にもいいと聞きますけどね。
――ところで、今作の衣装の色はブルー(水色)ですね。ブルーにした理由はあるのでしょうか。
「誘惑の太陽」なんで、太陽にはやっぱり青空に青い海かなと思って。昨年は還暦ライブとかでさんざん赤は着たし(笑い)、今年はちょっと青でいこうかなと。ブルーとかパープルは好きですね。僕は赤なら赤、黒なら黒とか、はっきりした色が好きなんです。普段は黒系とかのダークなスーツが多いですけどね。普段、ブルーのスーツでいたら変なヤツだもんね(笑い)。これはあくまで“高見沢さん”っていうイメージでいるだけです。
――なるほど。ではTakamiyさんにとってTHE ALFEEの時とソロとの違い、また両立のスタンスとは?
1人だと全部自分でやらなきゃいけなくなるから、緊張感もあるし、いい意味でクリエーターとして刺激を受けますね。あと、例えばマーティ・フリードマンというギタリストとステージに立って、彼のギターのすごさを感じたり。そういうのはソロならではの醍醐味(だいごみ)かな。ほかのアーティストとステージに立つことは、ミュージシャンシップが高まりますね。ただ、40年以上3人(THE ALFEE)でやってきたので、これはもう何にも代えられない。そういう意味では、ホントに3人でやってきてよかったなと正直に思います。僕のソロに対するスピリットは「FOR THE ALFEE(=アルフィーのために)」で、常にメインはTHE ALFEE。ソロで受けた刺激が、うまくTHE ALFEEに生かされればいいなと思ってます。
<プロフィル>
1954年4月17日生まれ。74年8月、桜井賢さんと坂崎幸之助さんと結成したアルフィー(のちにTHE ALFEE)のメンバーとしてシングル「夏しぐれ」でデビュー。83年にリリースした「メリーアン」が大ヒット。Takamiyさんが初めてハマッたポップカルチャーは、小学生の頃から読み始めた本及び本のタイトル。「親父が学校の先生だったんで、家に本がたくさんあって、親父の部屋にあった文学全集や兄貴の部屋にあった本のタイトルにハマりましたね。佐藤春夫の『田園の憂鬱』の“憂鬱”が読めなくて、親父に聞くんだけど『今は知らなくていい』って教えてくれないんです。そう言われるとよけい興味が出てきて、少したってから読んだり。あと(ジョン・)スタインベックの『怒りの葡萄』も、“葡萄”ってなんて読むんだろうって。子供ながらにいいフレーズだなって思ってました」と話した。
(インタビュー・文/水白京)