タモリ:Mステの30年語る t.A.Tu.騒動「むしろありがたい」

1986年から「ミュージックステーション」の司会を務めてきたタモリさん
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1986年から「ミュージックステーション」の司会を務めてきたタモリさん

 お笑いタレントのタモリさんがこのほど、23日に10時間にわたって放送される音楽特番「30年目突入!史上初の10時間SP MUSIC STATION ウルトラFES」(テレビ朝日系)を前に取材に応じ、1986年から司会を務めてきた「ミュージックステーション(Mステ)」について思いを語った。 ――番組を引き受けた30年前の心境は覚えていますか?

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 よく覚えています。音楽が大好きでしたから、音楽番組の司会は願ってもないことで、ぜひやらせてもらいたいと。今から30年前というと、私の社会的な評価はえらい低かったですよ(笑い)。よくもそんな時にわけのわからない私に番組を任せようと思ったものです。これはまさしくテレビ朝日の英断で、勝負だったのでしょうね。

 ――初めての登場回のことは覚えていますか?

 全然覚えていないんですが、緊張はなかったですね。この番組は音楽をただ聴いていればいいという感じで、ほかの番組よりもずいぶんとリラックスしています。むしろ、歌う前のミュージシャンたちの方が緊張していて気の毒。ライブに比べ、テレビで歌うのはノリにくいと思います。通常1曲、メドレーなどで多くても3曲くらいで、ライブとは全然違いますからね。あの席に座っているとそうした緊張が伝わってきます。

 ――生放送にこだわる番組の意義はどう考えていますか?

 視聴者にとって「今、この時間」に歌っているというのは、収録を聴くのとはずいぶん意識的に違うんじゃないでしょうか。私はかねがね、「音楽が創られる現場を、テレビを通じて目撃してもらいたい」という思いでいます。それには生じゃないと無理なんです。個人的にも生放送が大好き。時間通りに終わって予定が立てやすいですから(笑)。

 ――30年の間に記憶に残るエピソードは?

 いろいろありますね。t.A.Tu.(タトゥー)の出来事については、私は彼女たちを悪く思っているというのは一切ないんです。ああいうこと(03年6月27日、番組冒頭には登場したt.A.Tu.が楽屋から出てこず、本番中に出演をキャンセル)になって、たまたまTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがもう1曲演奏してくれたんですが、あれこそが生放送で、音楽が創られる場を目撃するということになると思う。だから、むしろありがたいと思っています。

 生放送はそういうハプニングがないとダメですよ。テレビ朝日の技術スタッフは慣れたもので完璧に仕事をこなすものだから、ときどき「ミュージックステーションの“収録”頑張ってください」なんてメールが来る。いまだに「生放送ですか?」という人もいるし。ハプニングがあると緊張感が生まれて、見る側も面白いと思いますので、歌詞もどんどん間違えていただきたい。先週もAKB48がついにやりましたけど(高橋みなみさんのマジック演出の失敗と翌週の成功)、ああいうのがあると楽しくてしょうがないですね(笑い)。

 ――史上初の「10時間スペシャル」で、楽しみにしていることは?

 よく聞かれるんですが、その前に、私いま70歳なんで、とにかく「やり通す!」ということしかないです。その辺を歩いている70歳を捕まえて10時間連続で何かをさせたら、これは社会問題ですよ(笑い)。プロデューサーも「10時間やりますから」って言うけど、その前に「10時間やりますけど、どうなんでしょう?」ってお伺いがあってしかるべきでしょう(笑い)。そっちがそういう態度なら、「やってやりましょう!楽しみますよ!」という気持ちです。

 ――10時間スペシャルには「初音ミク」など、さまざまなアーティストが出ますね。

 音楽業界は低迷していると言われていますが、30年前には予想もできなかったアニソンの興隆などこれまでと違う動きも出ています。初音ミクの出演も象徴的ですよね。また、懐かしい人も出てくれそうですし、幅広い世代のみなさんに楽しんでいただければいいなと思います。

 特番は“世界に誇るニッポンの歌”をテーマに約10時間にわたって放送。「嵐」「AKB48」「エレファントカシマシ」「モーニング娘。’15」「ももいろクローバーZ」、奥田民生さん、工藤静香さん、倖田來未さん、小室哲哉さん、近藤真彦さん、槇原敬之さん、森高千里さん、15年ぶりの登場となる「レベッカ」ら約40組が出演。歌声合成ソフトから誕生したバーチャルシンガーの初音ミクも登場する。9月23日正午から放送される。

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