東京ゲームショウ2015:スマホゲーム出展タイトルは横ばい 関係者に聞いた今後

「東京ゲームショウ2015」のサイゲームスブースに登場した巨大飛行艇
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「東京ゲームショウ2015」のサイゲームスブースに登場した巨大飛行艇

 17日から幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中のゲーム展示会「東京ゲームショウ2015」で、スマートフォン向けゲームの出展タイトル数が伸び悩みをみせている。タイトル数が一昨年比で2倍以上に増加した昨年と比べると、今年はほぼ横ばい。「モンスターストライク」(ミクシィ)や「パズル&ドラゴン」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)などの既存のビッグタイトルとの対決も課題だが、出展者は「今はユーザーの目が肥えており、飽きられるのも早い。いかに差別化するかが重要」と語る。ただ、そうした状況でも着実にユーザーを拡大しているゲーム会社も台頭しており、優勝劣敗が鮮明になりつつある。業界の展望を関係者に聞いた。

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 今年の「東京ゲームショウ2015」のスマホゲームの出展タイトル数はiOS、Androidの合計では504タイトル。2倍以上の増加を見せた前年の505タイトルとほぼ横ばいの数字となった。あるゲーム会社の担当者は「(スマホゲーム業界は)今はレッドオーシャン(競争の激しい市場)。淘汰(とうた)が始まっている」と語る。目が肥えたユーザーを相手にするためには開発費と期間をかけたリッチなコンテンツが求められるが、ある程度のクオリティのゲームが多数登場した結果、飽きられるまでの期間も短くなり、長くプレーされること自体が難しくなっているからだ。

 そうした中で、目を引く動きも出てきている。一年で人気作の仲間入りをした「グランブルーファンタジー」の世界を再現したブースを出展している「Cygames(サイゲームス)」には、ブースを取り囲むような長蛇の列ができた。高精細なグラフィックが特徴の同ゲームを制作する同社の担当者は、人気の要因について「王道のスマホRPGの良さを追求して、妥協のない最高のコンテンツを追い求めて提供している結果、支持いただいたのかなと思う」と語る。各社が差別化に苦戦している状況だが、「まだまだ取り組める余地はあるし、端末の性能も伸びているので新しいゲームの形も出していけると思う。まだまだこれからでは」と見通しについても明るい。

 同じくゲームショウにブース出展しているボルテージは、ストーリー性の高い恋愛ゲームアプリを配信するなど女性ファンの獲得を狙った戦略でユーザー拡大を進めている。女性向けコンテンツを主力に据える同社では、コアなファン向けのアプリに加え、神尾葉子さんの大人気マンガ「花より男子」とコラボしたアプリを出すなどライト層の開拓も狙っており、担当者は「パイはまだ広げられる」と語る。リッチ化し、複雑化していく中で競争激化がささやかれているスマホゲーム業界だが、市場規模は「もうしばらく伸びていくはず」とみており、ライトな層の開拓に力を入れていく方針をとる。

 ただ、そうした戦略で各社が差別化を図っていけるわけではなく、あるゲーム会社の担当者は「差別化のためのアイデアはかなり少なくなっている」とこぼす。例えば、現状をみるとパズルゲームでは「パズドラ」のようなマッチ3ゲーム(そろえて消すパズル)が多いが、多数の同種のゲームが誕生した結果ユーザーが飽きている現象もみられるという。「パズドラのまねをして単純に三つ並べて消すだけじゃダメ。圧倒的に違う体験を与えないといけない」と前出の担当者は指摘する。

 今回のゲームショウでは、サイゲームスが「グランブルーファンタジー」の世界観が体験できる映像体験イベントを行っているほか、DeNAがチームラボとコラボして「FINAL FANTASY Record Keeper」などのタイトルのキャラクターが現れ空間全体を演出するシアター型アトラクションを用意。ボルテージも昨年に続いてイケメンと触れ合える体験型イベントを行うなど、コアなファンに向けたゲームの世界を深掘りする演出が目立った。リッチなコンテンツによるクオリティの高いゲームが大前提となりつつある今、ユーザーを引き付けるプラスアルファの工夫は不可欠といえるが、こうしたゲーム本編以外での「感動体験の提供」も今後は重要性を帯びてくるかもしれない。「今や簡単に勝てる市場ではない」と厳しい状況を指摘する声も聞かれる今、効果的な差別化策を打ち出せるかどうかが勝敗の分かれ目となりそうだ。

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