今週シネマ:1~3日公開の映画 「バクマン。」「岸辺の旅」「屍者の帝国」「罪の余白」…

映画「バクマン。」のワンシーン (C)2015映画「バクマン。」製作委員会 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社
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映画「バクマン。」のワンシーン (C)2015映画「バクマン。」製作委員会 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社

 今週末に公開される映画の注目作をピックアップする「今週シネマ」。1日には、第68回カンヌ国際映画祭で「ある視点部門」の監督賞を受賞した映画「岸辺の旅」(黒沢清監督)、2日には、2009年に34歳で亡くなったSF作家の伊藤計劃(けいかく)さんの小説が原作の劇場版アニメ「屍者の帝国」(牧原亮太郎監督)が公開。3日には、大ヒットマンガ「DEATH NOTE(デスノート)」でコンビを組んだ原作・大場つぐみさん、マンガ・小畑健さんによる作品が原作の実写映画「バクマン。」(大根仁監督)、娘の不可解な死の真相を探る行動心理学者の父親と死の鍵を握る同級生の少女の心理戦を描いた「罪の余白」(大塚祐吉監督)が公開される。

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 「バクマン。」は、俳優の佐藤健さん、神木隆之介さんの2人の主人公が、コンビを組んでマンガ誌「週刊少年ジャンプ」で連載する苦悩や喜びなどが描かれ、ライバル役で出演する染谷将太さんをはじめ、桐谷健太さん、山田孝之さん、小松菜奈さん、リリー・フランキーさんなど豪華俳優陣が顔をそろえた。マンガのコマを融合させた独特のビジュアルによる作画シーンや「友情・努力・勝利」の“ジャンプ3原則”を地でいく「少年マンガ」の王道的な感動ストーリーが見どころだ。作品内には「スラムダンク」をはじめ有名マンガへのオマージュと思われる小ネタがところどころにちりばめられており、マンガ好きなら誰もが思わずニヤリとさせられるだろう。

 「岸辺の旅」は、湯本香樹実(ゆもと・かずみ)さんが2010年に発表した小説が原作で、3年間も失踪(しっそう)していた夫が突然帰宅し、夫婦そろってその間に世話になった人たちを訪ねながら愛を深めていく姿が描かれる。俳優の浅野忠信さんと女優の深津絵里さんがダブル主演を務め、初めて夫婦役を演じ、旅の途中で出会う人々として小松政夫さん、蒼井優さん、柄本明さんら演技派が出演。浅野さん演じるひょうひょうとした雰囲気の中にも悲しさを醸し出す夫と、深津さん演じるけなげで深い愛情を胸に秘めた妻の姿は、どこにでもいそうなのにどこか神秘的な雰囲気も漂わせ、残された者と死んでしまった者というスピリチュアルなテイストにマッチしている。

 「屍者の帝国」は、死体の蘇生術が一般化した19世紀末を舞台に、医学生のワトソンらが、ヴィクター・フランケンシュタインが最初に死体から作り上げたザ・ワンの秘密が記された「ヴィクターの手記」の行方を追って、明治維新後の日本、南北戦争後の米国などを旅する……というストーリー。「シャーロック・ホームズ」シリーズのワトソンや「カラマーゾフの兄弟」のアレクセイ、「未来のイヴ」のハダリーなどが登場する。ワトソンの声を「アルスラーン戦記」などの細谷佳正さん、同じくワトソンのパートナー・フライデーの声を村瀬歩さん、ヒロイン・ハダリーの声を花澤香菜さんが担当。「ハル」などの牧原さんが監督を務め、「進撃の巨人」などのWIT STUDIOが製作している。

 「罪の余白」は、野生時代フロンティア文学賞を受賞した芦沢央(あしざわ・よう)さんのデビュー作が原作。第13回全日本国民的美少女コンテストのグランプリを受賞した吉本美憂さんが狡猾(こうかつ)で冷徹で、同級生たちを従えるカリスマ性のある少女・咲を、声色を変えながら繊細に演じた。ふとした表情にこの少女の孤独も垣間見られ、彼女のプライドが崩れる瞬間は見逃せない。妻に先立たれ、仲よく暮らしてきた娘も失い復讐(ふくしゅう)に燃える男・安藤聡を内野聖陽さんが熱演。操る者と操られる者という2人の関係がどのように逆転していくのか、キリキリとした心理戦を存分に楽しめる。

 そのほか1日は、米軍の無人戦闘機ドローンの実態に迫る映画「ドローン・オブ・ウォー」(アンドリュー・ニコル監督)が公開。3日は、アニメ「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」の劇場版アニメ第2弾となる「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-Cadenza(カデンツァ)」(岸誠二監督)、「シークレット・サンシャイン」(2008年)など、韓国を代表する女優チョン・ドヨンさんと、日本ではテレビドラマ「赤と黒」で人気が出たキム・ナムギルさんが初共演した韓国映画「無頼漢 渇いた罪」(オ・スンウク監督)が公開される。

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