美術専門家で構成された特殊部隊の実話を基に映画化した「ミケランジェロ・プロジェクト」(ジョージ・クルーニー監督)が6日に公開される。第二次世界大戦末期の欧州を舞台に、ナチスドイツに奪われた重要な美術品の奪還と保護を命じられた7人の美術専門家で結成された特殊部隊「モニュメンツ・メン」の活躍を描く。クルーニーさんが監督・製作・脚本・主演を務めるほか、マット・デイモンさん、ビル・マーレイさん、ジョン・グッドマンさんら豪華なキャストが集結し、文化を守り歴史を変えた知られざる男たちを熱演している。
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第二次世界大戦が続く中、ヨーロッパ各国に侵攻したドイツ軍は美術品の略奪をくり返していた。危機感を抱いたハーバード大学付属美術館の館長フランク・ストークス(クルーニーさん)は、ルーズベルト大統領を説得し、歴史的建造物や美術品を守るチーム「モニュメンツ・メン」を結成。メトロポリタン美術館の主任学芸員のジェームズ・グレンジャー(デイモンさん)、建築家のリチャード・キャンベル(マーレイさん)らのメンバーと、欧州各地へ移動し任務を遂行していく。しかし、敗北を悟ったヒトラーが、ドイツが敗戦した際にはすべてを破壊するという「ネロ指令」を発令。さらにソ連軍の妨害もある中、ストークスらは世紀の美術品を取り戻すべく行動を起こすが……というストーリー。
今作は、戦時下を背景とした物語ではあるが、どの戦争映画とも異なり戦闘描写がなく、美術品を戦争から守る男たちにスポットを当てているのが興味深い。第二次世界大戦という戦争を扱っていながら、他とは一線を画す視点で繰り広げられるストーリーは新鮮で、実話にありがちなシリアスによりすぎて重くなってしまうということもなく、むしろ軽妙さも交えて描かれている。映画には著名な美術品が多数出てくるが、それらが粗末に扱われているシーンや、破棄されていく描写には心が痛むが、人命はもちろんのこと、こうした二度と生まれないであろう知的財産をも失わせる戦争というものの多面的な怖さに身震いしてしまう。映画としては派手さには欠けるが、丁寧で濃密な演出は心に響き、特殊部隊メンバーのチームワークのよさも痛快だ。壮大なセットや緻密(ちみつ)に再現された美術品も見応えがある。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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