独特の歌声と胸に響くメロディーで、着実に人気を集めているシンガー・ソングライターの丸本莉子さんがこのほど、ライブハウス「TSUTAYA O-EAST」(東京都渋谷区)で「丸本莉子ワンマンLIVE~ココロ予報 雨のち晴れ~」を開催した。開催日が平日ということもあって、スーツを着た会社員や白髪まじりの落ち着いた観客が多い中「ここは天国です」と喜びを表現した丸本さん。「ココロ予報」や「コトバ」など、9月にリリースしたミニアルバム「ココロ予報~雨のち晴れ~」の楽曲を中心に、最新の配信限定シングルで東京では初披露となった「つなぐもの」など全16曲を込めて歌って観客を魅了し、東京での初ワンマンライブは成功を収めた。
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バックバンドのサウンドを背に、アコースティックギターを弾きながら歌った丸本さん。時にはアカペラで、時にはピアノと歌だけで、情感たっぷりの歌を聴かせた。幼少期、父親から自分の声をカエルみたいだといわれたエピソードを披露し、会場を沸かせたあと「音響分析研究所で私の声を分析していただいたところ、癒やしの声で、井上陽水さんやユーミンさんと同じ声の成分だそうです。うれしくて調子に乗って、ユーミンさんのカバーをやってしまいました」と松任谷由実さんの「やさしさに包まれたなら」のカバーを披露。完成度の高さに歓声が上がった。
後半には、地元・広島の先輩であるユニコーンの手島いさむさんをゲストに迎えて2曲を披露。「YOU」ではイスに座って、手島さんのブルージーなギターをバックにしっとりと歌い、ノリのいい「ご機嫌ベイベー★」はバンドサウンドで披露、手島さんのギターソロに観客が沸いた。また「青春ヒーロー」ではハンドマイクで歌い、「ラ~ララ~」というコーラスをお客さんとコール&レスポンスで楽しんだ。
MCでは、「池袋で路上ライブをやっていたとき、最初からずっと聴いてくれているおじさんがいて。あるとき『ずっと聴いていてあげたんだから、1000円おくれ』といわれて……」と、デビュー前の出来事をユーモアたっぷりに明かすなど、終始笑いが絶えないライブを展開。また「やさしいうた」は、半年くらい前に「ママが生きた証」という本を読み、感銘を受けて書いたという。「YOU」は、デビュー前に訪問介護の仕事をしているときに書いたなど、その都度楽曲にまつわるエピソードを披露し、観客は楽しそうに話を聞きながら丸本さんの歌の世界へと没頭し、手拍子しながら約2時間のステージを楽しんだ。
「4年前、東京が嫌いでした。どこか見下されてる気がして。でも東京には、夢や希望を抱いている人がいっぱいいると知って、今は東京が大好きになりました。一緒に東京で頑張りましょう。私の歌で、皆さんが笑顔になってくれたら本望です。みなさんの明日も明後日も、笑顔があふれた日になりますように!」をMCで会場に呼びかけた。
この日集まった1300人の観客は、丸本さんの飾り気のない素直な言葉と愛にあふれたやさしい歌声に魅了されていた。最後は観客全員が小指でつないだ手を挙げて、丸本さんに声援を送った。
2016年3月16日には2枚目のミニアルバムがリリースされる。この日のライブ音源が、ボーナストラックとして収録されることも発表された。
(取材・文/榑林史章 写真提供:ビクターエンタテインメント)