注目映画紹介:「ストレイト・アウタ・コンプトン」 ラップを武器に戦ったN.W.A.の波乱の軌跡

「ストレイト・アウタ・コンプトン」のワンシーン(C)2015 UNIVERSAL STUDIOS
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「ストレイト・アウタ・コンプトン」のワンシーン(C)2015 UNIVERSAL STUDIOS

 ヒップホップグループ「N.W.A.」の波乱の軌跡を描いた映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」(F・ゲイリー・グレイ監督)が19日に公開される。N.W.A.は1986年にカリフォルニア州コンプトンで結成され、社会への怒りをつづったストレートなリリック(歌詞)が若者から絶大な支持を集めた。映画では同グループの結成から解散、その後の姿までを追いかけ、伝説的グループの“真実”をラップとともに映し出す。メンバーだったドクター・ドレーさん、アイス・キューブさんが製作陣に名を連ね、アイス・キューブ役を実の息子のオシェイ・ジャクソン・Jr.さんが演じている。

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 1986年、全米屈指の危険な街といわれるカリフォルニア州コンプトンに暮らすイージー・E(ジェイソン・ミッチェルさん)は、アイス・キューブ(ジャクソン・Jr.さん)、ドクター・ドレー(コーリー・ホーキンスさん)らと出会い、ヒップホップグループ「N.W.A.」を結成。彼らの才能に目をつけたレコード業界のベテラン・ビジネスマンのジェリー・ヘラー(ポール・ジアマッティさん)と組みルースレス・レコードを設立し、真実を突くラップで瞬く間にブレークするが……というストーリー。

 理不尽な社会への反発を等身大かつ過激な歌詞で表現し、自分たちを抑圧する権力者に音楽で立ち向かったことで“世界で最も危険なグループ”と呼ばれたN.W.A.の姿には、彼らの音楽にさほど詳しくなくても、その熱量と波瀾万丈過ぎるエピソードの数々に思わず前のめりでスクリーンに没頭してしまう。今作ではパトカーのサイレンが効果的に使われ、サイレンが響くたびに何かが起きるのではと予感させられる。サイレンを一つの象徴として生々しい叫びが突きつけられているかのように感じた。メンバーが製作に参加しており、映画として多少美化されている面は否めないが、音楽業界の裏側と80年代のストリートカルチャーが融合した映像は興味深く、音楽映画としても青春映画としても楽しめる。19日から渋谷シネクイント(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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