ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、「ITAN」(講談社)で連載中のマンガが原作の「昭和元禄落語心中」です。キングレコードの矢田晶子プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。
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戦後、激動を迎えた昭和を舞台に、ある孤高の天才落語家・有楽亭八雲と彼を取り巻く人物たちの希望と苦悩に満ちた人生を描いた濃厚な人間ドラマです。雲田はるこ先生による重厚なストーリーを、監督、脚本家をはじめとするスタッフ、そして豪華ベテラン声優陣が映像化において見事に再現し、アニメーションならではの手法による本格的な落語の描写が本作の魅力となります。
日常的なシーンや落語の表現など動きそのものにはあまり派手さがない分、映像化、ましてアニメーション化するにはある種ハードルの高いジャンルかと思います。しかしその垣根を飛び越えるほどのストーリーの重厚さや人物描写、雲田先生の落語への深い愛情が魅力の本作ですので、まずは「落語をきちんと表現する」ことを心掛け、プロの落語家を落語監修としてお迎えし、落語シーンはもちろん人物の所作や着物の表現など細部にまで気を配りました。
お付き合いのある所属事務所さんからご推薦いただいたことがきっかけでしたが、若くして大変才能あふれる方でしたので、今回の劇伴制作をご相談させていただきました。もともと監督はじめ制作スタッフの中でも、戦後いろいろな音楽が入ってきたであろう当時の日本をイメージし、本作の劇伴はジャズでいきたいということもお話ししていましたので、そんなところに運命的な出会いを果たせたと思います。作品の世界観をよくご理解いただき、抜群のセンスでもって魅力的な楽曲をお作りいただけました。
作品作りで大変だったことは、やはり要となる落語シーンの描写でしょうか。SF作品や戦闘ものなどに比べ、決して派手とは言えない所作を表現するにあたり、手足の細かい動きから着物の袖の揺れ、汗のにじみ方まで、制作会社であるスタジオディーンさんには大変お骨折りいただきました。しかしそれを乗り越えたことで、アニメをご覧になった方から「落語そのものに興味を持った」「寄席に行って生の落語を見てみたいと思った」というお声をいただけることが、何よりうれしく感じます。
二つ目として順風満帆な活躍を見せていく菊比古(後の八代目八雲)と助六ですが、彼らの今後に大きな影響を与える女性・みよ吉の登場や跡取りの問題などで、彼らを取り巻く環境に次第に変化が出てきます。それが吉とでるのか凶とでるのか、そして2人がそれぞれに追い求める落語の未来とはどういったものなのか。ぜひキャスト渾身(こんしん)の落語シーンと合わせて引き続きご期待ください。
落語愛に満ちた素晴らしい原作に加え、本作に関わるすべてのスタッフ、キャストが一丸となり、丹精込めて作り上げています。そしてこの作品をキッカケに、落語そのものに興味を持っていただけたら本望です。ぜひアニメと合わせて寄席にも足を運んでいただき、五感で堪能する落語の魅力にハマっていただければと思います。アニメは今後、ますます目が離せない展開を迎えます。ぜひ、最後の最後までご贔屓(ひいき)ください!
プロデューサー 矢田晶子(キングレコード)
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