注目映画紹介:「インサイダーズ/内部者たち」 ビョンホン出演 策士と検事とチンピラ…男同士のだまし合い

映画「インサイダーズ/内部者たち」のメインビジュアル (C)2015 SHOWBOX AND INSIDE MEN,LLC.ALL RIGHTS RESERVED
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映画「インサイダーズ/内部者たち」のメインビジュアル (C)2015 SHOWBOX AND INSIDE MEN,LLC.ALL RIGHTS RESERVED

 「アジョシ」(2010年)や「友へ チング」(01年)の記録を塗り替えて韓国で大ヒットとなった「インサイダーズ 内部者たち」(ウ・ミンホ監督)が、11日から公開される。腐敗した権力社会を背景に、陰で操る策士と検事とチンピラの思惑がぶつかり合うサスペンスアクション。イ・ビョンホンさん、チョ・スンウさん、ペク・ユンシクさんといった実力派が顔をそろえた。

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 アン・サング(ビョンホンさん)は、悪事を代行するチンピラだ。国民を扇動する策士である祖国日報の主幹イ・ガンヒ(ペク・ユンシクさん)の下で働いている。ミレ自動車のオ会長(キム・ホンパさん)が大統領候補に裏金を送っていた証拠のファイル回収を命じられたサングは、それを使ってさらなる成功をつかもうとひそかにコピーを取る。一方で、検事のウ・ジャンフン(チョ・スンウさん)も、自分の出世のためにファイルを追っていた。2年後、ジャンフンは捜査を続けていくうちに、サングの存在に行きつく……という展開。

 二転三転するストーリーのものは数多いが、これは本当にラストまで予測不可能だった。男同士のだまし合いが、実に爽快に展開される。荒っぽいアクションも相まって、リズムよくスリリングに描かれる。新聞社の主幹が、企業と政治家を牛耳っている。「世の中は自分の思い通りになる」と本気で思っている輩(やから)が派手に遊ぶ描写は、とことん下品で刺激的でありながら、人間のバカさ加減がよく表現されている。この高笑いがいつまで続くのか。彼らは勝ち続けるのか。それは、彼らを追う一人の検事と、落ちぶれたゴロツキの手にゆだねられる。検事はコネ社会の地検で、己の実力を信じているのに出世できず、歯がゆい思いをしている。ゴロツキ男は、かつてのボスだった新聞社の主幹に復讐(ふくしゅう)を企てている。

 ビョンホンさんをはじめ、「マラソン」(05年)のスンウさん、「観相師-かんそうし-」(13年)のユンシクさんの実力派俳優3人による芝居合戦が楽しい。ビョンホンさん演じるチンピラは食事の仕方まで安っぽく、でも憎めないキャラクターだ。スンウさん演じる検事は野心いっぱい。ユンシクさんは不気味な存在感で悪人を演じ切る。上へ下へと変わる人間関係に目が離せない。原作は、映画化作品「黒く濁る村」(10年)も手掛けたユン・テホさんの同名のウェブマンガ。TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで11日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。最近一番ドスンときた映画は、公開中のドキュメンタリー作「大地を受け継ぐ」。

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