キンプリ:話題の劇場版アニメ その“中毒性”を探る

キンプリの魅力をアピールする小新井涼さん
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キンプリの魅力をアピールする小新井涼さん

 1月の公開から口コミでファンを増やしブームとなっている「KING OF PRISM by PrettyRhythm」。週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴する“オタレント”の小新井涼さんが大ファンならではの目線で人気を解き明かす。

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 すっかり今年最初のダークホースとなった「キンプリ」こと「KING OF PRISM by PrettyRhythm」。その魅力とは……“考えるより感じる”もの。

 ガルパンに続く「キンプリはいいぞ」のつぶやきがよく表しているように、言葉で説明することはかなり難しいです。しかし、大ヒットの一因であるその“中毒性”に関しては、あくまでもいちファンである自分の実体験を元にですが、あるひとつの仮説にたどり着くことができました。

 「キンプリ」の魔力、それは「真夜中のチョコレート」だったのです。

 初めてキンプリを見たときのリアクションとして一番近いと思うのは“戸惑いと混乱”。それは男性である菱田正和監督が作る女性向けシーンの、とてもいい意味での“やりすぎ感”によるものだと思います。

 最初は、「イケナイものを見ているのでは!?」と戸惑い、徐々に目をおおった手のすきまから直視できるようになるも…やはり一体何が起きているのか理解できずに混乱。そんなジャブが延々と繰り返されていくうちに段々脳が麻痺してきて、最終的には「こんな世界見たことないっ!」と、その衝撃がすっかりくせになってしまうのです。

 理性では太ると分かっていても、糖や脂肪をおいしいと感じて身体が求めてしまうのと同じ。一度それを味わってしまうと、本能がその甘さを忘れることができなくなってしまうのです。

 本編が終わったあとの感覚は、フルマラソン後の疲労感というよりは、祭りやライブのあとの満足感に似ています。散々味わった衝撃体験で身体はぐったりしているはずなのに、心はむしろアドレナリンが出まくっている状態です。

 そんな時に感じる上映後の劇場の空気は、まるで夢から覚めた瞬間のようで、一気に現実に引き戻されます。そしてその強い喪失感は、あっという間に満足感を「もっとあの時間を味わっていたい!」という渇望へと変えてしまうのです。

 「おいしくても食べ過ぎはよくない!」と、一口にしておこうとしていても、食べ終わった瞬間に「やっぱり足りない、もう一口だけ…」と求めてしまう感覚に似ています。

 そして、すっかりとりこになったところにトドメとなるのが、「プリズムスタァ応援上映」の存在です。応援上映とは、まるで本物のライブのようにコールやサイリウムで盛り上げながら映画を見られる特別な上映回のこと。

 コスプレOK! 声援OK! アフレコOK! という、普段劇場ではとうていできないことが許されるという開放感、参加を重ねるほどにコールのタイミングや応援のお約束を覚えて強くなってゆく会場との一体感が、これまで味わったことのないような鑑賞体験をさせてくれます。

 それは味わえば味わうほど忘れることができなくなり、最終的には我慢しすぎると「キンプリを見なければ!」という禁断症状が出てしまうほど……。何度も通いたくなるその空間が、予想外のロングランや上映館拡大という奇跡を起こしたというのは疑う余地がありません。

 ちなみに散々オススメして一緒に応援上映に参加していただいたプリリズ(プリティーリズム)シリーズ初体験の事務所マネージャーKさん(男性)にうかがってみたところ、「映画上映のイノベーションを感じた」と、いい意味でのカルチャーショックを受けておりました。

 最初のプリリズ劇場版から続いてきた「応援(熱唱)上映」という形態が、プリズムショーの世界だけでなく、現実のエンタメ界にも新しい風を吹かせることになったのも感慨深い出来事です。

ということで、キンプリにおける冒頭の「真夜中のチョコレート」感というのは伝わりましたでしょうか。食べ過ぎは良くないと分かっていても止められない。食べ終わった瞬間にもう次の一口が欲しくなっている。味わうほどそのおいしさが忘れられなくなり、我慢しすぎると禁断症状が起きる。

 そして最終的には「もう太ってもいい! 多少身体に悪くても構わない! 食べる!」となってしまう。そんな少しの罪悪感と背中合わせの甘い誘惑こそが、「キンプリ」の中毒性の正体だったのです。もちろん、中には甘いものが苦手な人もいます。

 しかし、すっかりハマってしまったプリズムエリート(訓練されきった熱心なファンの呼称)の方々には当てはまるということも多いのではないでしょうか。

 作品自体の魅力に関しては、大変悔しいことに、やはり一言では到底説明できません。しかし興味がある人、見ようかどうか迷っている人たちへ、これだけは自信を持ってお伝えすることができます。

 「見りゃ分かる。分かればハマる。プリズムショー」。みなさまがプリズムのきらめきを体感する日を、心より願っております。

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