今週シネマ:8、9日公開の映画 「モヒカン故郷に帰る」「更年奇的な彼女」「ルーム」…

映画「モヒカン故郷に帰る」のワンシーン (C)2016「モヒカン故郷に帰る」製作委員会
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映画「モヒカン故郷に帰る」のワンシーン (C)2016「モヒカン故郷に帰る」製作委員会

 今週末に公開される映画の注目作をピックアップする「今週シネマ」。8日には「猟奇的な彼女」や「僕の彼女はサイボーグ」を手がけた韓国のクァク・ジェヨン監督による“アジアの彼女3部作”の完結編となる映画「更年奇的な彼女」、主演のブリー・ラーソンさんに今年度の米アカデミー賞主演女優賞をもたらし、トロント国際映画祭で観客賞(最高賞)に輝いた話題作「ルーム ROOM」(レニー・アブラハムソン監督)が公開。9日には松田龍平さんと柄本明さんが父と息子を演じたホームコメディー作「モヒカン故郷に帰る」(沖田修一監督)が公開される。

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 「モヒカン故郷に帰る」は、故郷の島を離れて売れないバンドマンとなった息子が、父が病に倒れたことをきっかけに、その親子関係を見つめ直していく物語。もたいまさこさん、前田敦子さん、千葉雄大さんらも出演している。永吉(松田さん)は、緑のモヒカン頭がトレードマークの売れないバンドマン。妊娠中の恋人・由佳(前田さん)とともに、結婚報告をかねて7年ぶりに故郷・戸鼻島(とびじま)に帰って来た。矢沢永吉をこよなく愛する父親・治(柄本さん)、広島カープの大ファンである母親・春子(もたいさん)、弟の浩二(千葉さん)と久しぶりに家族全員がそろった。だらしない息子に怒る治だったが、家に人を招いて大宴会を催し、結婚のお祝いをする。しかし、突然倒れた治にがんが発覚。治は中学校の吹奏楽部の指導をしており、練習に行けないことが気がかりで、永吉には「東京に帰れ」と言ってしまうのだが……というストーリー。

 「更年奇的な彼女」は、ラブストーリーの巨匠であるジェヨン監督が自ら脚本も担当し、新たな“破天荒ヒロイン”を描いたラブコメディー。大学の卒業式にプロポーズするも断られ、その後、26歳で若年性更年期と診断されてしまうヒロインのドタバタ劇を描き、中国では32億円を超えるヒットを記録した。日本語吹き替え版では、ヒロインのチー・ジアの声を女優の藤原紀香さんが担当している。見どころは、やはりジョウ・シュンさんが恋の病から早めに更年期を迎えたと診断されるヒロインという難役を、絶妙なバランス感覚でキュートに演じている姿に魅了される。物語に更年期というワードが入っているが決して重い展開ではなく、女性の自由な雰囲気と男性のピュアな心がコミカルに描かれていて泣き笑いしてしまう。

 「ルーム ROOM」は、部屋に監禁された女性と、そこでしか暮らしたことがない子どもを中心に、狭い世界から脱出して外に飛び出した人間の姿を描き出す。原作「部屋(上・下)」の著者であるエマ・ドナヒューさんが脚本を手がけ、主演のラーソンさんに加えて、天才子役の呼び声も高いジェイコブ・トレンブレイ君にも引きつけられる。線が細くお人形さんのようだったトレンブレイ君が演じる息子のジャックが、次第に男の子らしく変わっていく過程で、母親の胸に去来する「それが最良だったのか?」という問いかけに、子育ての不安、リアルさが垣間見える。また母ゆえの葛藤と理屈抜きの感情を体験させられる。子どもが殻を破って外に出て、リアルな世界に五感で触れることの大切さが伝わってくる作品だ。

 そのほか9日は、米俳優ケビン・ベーコンさん主演し、少年2人にパトカーを盗まれた悪徳保安官が、少年たちを追いながら凶行を繰り広げるクライムサスペンス「COP CAR コップ・カー」(ジョン・ワッツ監督)、アイドルグループ「AKB48」の峯岸みなみさんの初主演した新感覚青春ミステリー「女子高」(山本浩貴監督)が公開される。

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