編集王:故・土田世紀の名作マンガが早見和真「小説王」のカバーに

故・土田世紀さんの名作マンガ「編集王」のカットが使われた「小説王」
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故・土田世紀さんの名作マンガ「編集王」のカットが使われた「小説王」

 故・土田世紀さんの名作マンガ「編集王」のカットが、早見和真さんの小説「小説王」(12日発売)のカバーになることが明らかになった。新作小説のカバーに別作品のマンガのカットが使われるのは極めて異例だ。

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 「小説王」は、大手出版社の文芸編集者と幼なじみで鳴かず飛ばずの作家が、編集長の交代などでともに危機的な状況を迎えながら、出版界にケンカを仕掛ける起死回生の作品を作るという物語。月刊文芸誌「STORY BOX」(小学館)で2014~15年に連載され、そのときも「編集王」が挿絵で使われた。

 今回のカバー採用は、作者の早見さんが「編集王」が好きで、「編集王」で描かれた出版業界についてまだ希望があることを「小説王」で書きたかったことなどを踏まえ、土田さんの遺族の許諾を取って決めたという。小学館の担当編集者は「『小説王』のもつ『熱』を表現するにあたり、他に選択肢がなかった」と説明している。

 マンガ「編集王」は、元ボクサーの桃井環八が先輩の勧めでマンガ誌の編集部へアルバイトとして入り、編集者として成長していく物語。1994~97年にビッグコミックスピリッツで連載され、業界の内幕を明かしたことでも話題となった。

 土田さんは1969年秋田県生まれで、17歳のときにマンガ「未成年」でデビュー。「編集王」以外にも、「俺節」や「同じ月を見ている」「ギラギラ」「競馬狂走伝ありゃ馬こりゃ馬」など独特の視点を持つ作品を世に送り出したが、2012年に43歳の若さで亡くなった。

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