注目映画紹介:「ガルム・ウォーズ」 構想約15年の押井監督最新作 幻想的で美しいビジュアルに引き込まれる

「ガルム・ウォーズ」のワンシーン (C)I.G Films
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「ガルム・ウォーズ」のワンシーン (C)I.G Films

 「機動警察パトレイバー」などで知られる押井守監督の最新作「ガルム・ウォーズ」が20日に公開される。構想約15年という大スケールの作品で、アニメと実写が融合された幻想的で美しいビジュアルや、外国人俳優を起用したオール北米ロケなども話題を集めている。日本語版プロデューサーとしてスタジオジブリの鈴木敏夫さんが参加し、「魔法少女まどか☆マギカ」などの虚淵玄(うろぶち・げん)さんが宣伝コピーを担当している。

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 はるかなる古代、戦いの星・アンヌンに生息していた「ガルム」と呼ばれるクローン戦士たちは果てしない争いを繰り広げていた。あるとき創造主・ダナンが星を去ったことにより八つの部族間で覇権争いが生じ、生き残ったのは空を制する「コルンバ」と陸を制する「ブリガ」、情報技術にたけた「クムタク」の3部族だけとなっていた。あるとき、「コルンバ」の女性飛行士・カラは、陸の部族「ブリガ」と戦闘の最中に、「クムタク」の老人・ウィド、「ブリガ」の兵士・スケリグと出会う。敵同士だった彼らの間に奇妙な連帯感が生じ、カラとスケリグは次第に引かれ合うようになる。3人は犬・グラとともに、海の向こうのはるか彼方にある伝説の聖なる森「ドゥアル・グルンド」を目指す旅に出る……というストーリー。

 主人公のカラをカナダ出身の新人女優のメラニー・サンピエールさんが演じ、スケリグをテレビドラマ「LOST」シリーズのケビン・デュランドさん、ウィドを「エイリアン2」のランス・ヘンリクセンさんが演じている。「攻殻機動隊」シリーズなどのProduction I.Gが製作し、川井憲次さんが音楽を担当。衣装デザイナーを映画「GANTZ」などの衣装で知られる竹田団吾さんが担当している。

 冒頭から、息をのむような美しく幻想的なビジュアルに驚かされる。キャラクターの造形や登場人物の衣装も押井監督が「今までとはケタ違いにお金がかかった」というだけあって、凝っていて、かつ作品の世界観を邪魔することなく違和感のない仕上がりだ。ネタバレになるので詳細は省くが、第3章で登場するバトルシーンも敵キャラの造形美とアクション両面で楽しめる。

 独特の雰囲気が横溢(おういつ)する独創的な作品ゆえに好みが分かれる部分はあるかもしれないが、映像美と壮大な世界観にハマれれば押井ファンならずとも文句なく楽しめるだろう。「ガルム」をはじめ「コルンバ」「ブリガ」「クムタク」「ドゥアル・グルンド」など耳慣れない単語のオンパレードで前半は少々混乱するかもしれないので、事前に公式サイトなどで単語をチェックしておくといいかもしれない。20日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(河鰭悠太郎/MANTAN)

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