OKAMOTO’S:ドラマ「火花」の主題歌担当 4人の関係性もまさに「ブラザー」

Netflixで配信されるドラマ「火花」の主題歌を担当したOKAMOTO’Sのハマ・オカモトさん、オカモトレイジさん、オカモトショウさん、オカモトコウキさん
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Netflixで配信されるドラマ「火花」の主題歌を担当したOKAMOTO’Sのハマ・オカモトさん、オカモトレイジさん、オカモトショウさん、オカモトコウキさん

 4人組バンド「OKAMOTO’S」が、ニューシングル「BROTHER(ブラザー)」を1日にリリースした。タイトル曲は芥川賞を受賞したお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんの小説を初映像化した動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」の連続ドラマ「火花」の主題歌で、英語詞を駆使するなど、洋楽テイスト満載のロックナンバーに仕上がっている。もともとは中学校の同級生だったメンバーに、学生時代のエピソードや新曲などについて聞いた。

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 ◇仲のいいみんなが選んだ遊び道具の一つが楽器だった

 ――4人は同じ中学で知り合い、中3の時の文化祭をきっかけにOKAMOTO’Sを結成したそうですね。

 オカモトレイジさん:うちの学校って、日本で一番体育祭(の開催時期)が早い(であろう)学校なんですよ。入学してすぐ体育祭で、クラスの隣の席で仲よくなるっていうより、「お前、何組?」みたいな感じで話すきっかけができて、体育祭の時の高まったテンションで仲よくなっちゃうっていう。

 オカモトショウさん:クリスマスにコウキの家で福笑いをしましたね。1週間早い(笑い)。あと動画をみんなで撮って、ショートムービーみたいに編集してみんなで見たり。だから「お前もバンドやりたいの? やろうぜ」っていうより、仲のいいみんなが選んだ遊び道具の一つが楽器だったっていう感じです。

 ハマ・オカモトさん:コウキとショウが中学1年生ぐらいの時に軽音楽部に入って、僕は特に何の部活にも入らず……。それで、いつもいる友達が音楽の話しかしなくなって、話題についていけず、ついていくには音楽を始めるしかないという状況に陥って(笑い)。ベースは当時、誰もやってなくてパートとして空いていたっていうのもあり、人と競いたくないというのが強かったので、それで(ベースを)始めたという感じです。だから、触れて初めて「重い」とか「弦が4本なんだな」って知ったぐらいの感じでしたね。

 ――OKAMOTO’Sというバンド名は、岡本太郎さんとラモーンズが好きだったことに由来しているそうですが、岡本太郎さんの作品に触れる機会はあったんですか。

 オカモトコウキさん:僕は川崎の方に住んでいたんですけれど、近くに岡本太郎の美術館があって、よく行ったりしてました。1回、学校の遠足でも行ったかな。

 ショウさん:個人的には、世の中の流れを無視したものを自分で選んだりするのが好きだったんだろうなって。中学生がバンドの名前を決める時に「岡本太郎とラモーンズっていうのがめっちゃセンスいいだろうな」って当時は思ったんだと思います。そういうカッコいいものを二つ掛け合わせようという。

 ハマさん:結局、美術品がどうだっていうより、ウルトラマンとか怪獣みたいなものの中で“岡本太郎”(を選んだ)みたいなところだったので……。

 ――ちなみに、ポップカルチャーとして幼少時にハマッたのがウルトラマンだったんですか?

 ハマさん:(五星戦隊)ダイレンジャーと(忍者戦隊)カクレンジャーが2大(変身)ヒーローですね。父親のタバコの箱をハサミで切って、変身できるやつにしてみたり。(後楽園遊園地のショーで)くじ引きがあって、変身ブレスレットとかが当たるんですけど、俺は外れて浅漬けのもとが当たって(笑い)、それを持って泣いて帰りました。いまだに覚えてます。

 ◇新曲「BROTHER」はドラマ「火花」の主人公像を歌詞に投影

 ――新曲「BROTHER」は、又吉さんが芥川賞を受賞した小説をドラマ化した「火花」の主題歌で、もともとシングルの候補曲だった曲がドラマサイドの目にとまり、物語のイメージを基に歌詞を書いていったそうですね。

 ショウさん:お笑い芸人の師匠というか、憧れの先輩と弟子……そういう相手って誰にもいるなと思って。俺にも何人か浮かぶ人がいて、その一人がアメリカ人の父親だったんですけれど、父親も音楽をやっていて、ほとんど家にいなくて年に1回ぐらいしか会えない生活なので、父親というよりはまさに師匠。物語に出てくる兄貴分、みたいな。それで、自分にとって親密な思いを歌詞にしてみたいなと思って、父親は英語しか分からないというのもあるし、「火花」も世界配信だし、全部がちょうどつながって、英語でそういう思いを書いていったという感じです。

 ――「ジョン・レノン スーパー・ライヴ」で共演経験もあるLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさんをプロデューサーに迎えて音作りをしたそうですが、NAOKIさんとの作業はどうでしたか。

 ハマさん:スタジオに時間通りに入ってきて、僕らの横に座った瞬間にアレンジの話をし始めて、あいさつをさせてくれるタイミングもなくワーッとしゃべって、「じゃあ録(と)ろう」って言って、そこから5時間近く作業をして、食事の時に「改めまして」ぐらいの感じのテンションで、視界が、今やってるその曲にしか向いてない。僕らもそのつもりでいたんですけど、NAOKIさんを見ると、全然、甘いというか。

 ショウさん:例えばAメロとBメロがあって、サビでキレイなメロディーがあるっていう王道のポップスとしての形というものよりも、カッコいいリフがあって歌があって、もう1回、リフが来て歌が来て……みたいな洋楽っぽいものの方がショウ君は合ってると思うよって言ってくれたんですけれど、ちょうどこの曲がそれに近いものがあったので、いいタイミングでいい人に出会えたなあと思いましたね。

 コウキさん:シンプルっていうのは重視しました。“盛り上げるところは盛り上げる”みたいなこともできるけど、どちらかというとすき間だったり間(ま)のグルーブっていうところを目指した感じですね。

 レイジさん:じわっとした質感のドラマに、「BROTHER」みたいな曲がどういう感じで流れるのかが単純に楽しみです。

 ――「BROTHER」といえば皆さんも“岡本家のブラザー”ですが、お互い「ブラザーだな」と感じる時は?

 レイジさん:嫌だなあ、なるべく会いたくないなあって思うから「ブラザーだなあ」って感じ。「ホント、最高のやつらなんですよ」とかっていうのは何かブラザーっぽくない。やっぱ引きますもん。音楽の話をずーっとしていて「うわあ、音楽好きなんだなあ。もっとさあ、サッカーの試合がどうとかさあ……」って。“ブラザーあるある”です(笑い)。

 <プロフィル>

 ボーカルのオカモトショウさん、ギターのオカモトコウキさん、ベースのハマ・オカモトさん、ドラムのオカモトレイジさんによる4人組バンド。2005年に私立和光中学(東京都町田市)の同級生で結成、09年にハマさんが加入し、現メンバーに。10年にアルバム「10’S」でメジャーデビュー。15年9月には現代版ロックオペラに取り組んだアルバム「OPERA」をリリース。6月3日から自身初の47都道府県ツアー「OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016」がスタートし、10月29日に東京・日比谷野外大音楽堂でファイナル公演を開催予定。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)

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