忽那汐里:「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」で声優 ゲームと異なり「自身で進む」ルナフレーナ演じる

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」でヒロインのルナフレーナ・ノックス・フルーレの声優を担当した忽那汐里さん
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「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」でヒロインのルナフレーナ・ノックス・フルーレの声優を担当した忽那汐里さん

 フルCG長編映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY(キングスグレイブ・ファイナルファンタジー) XV」(田畑端プロデューサー、野末武志ディレクター)が9日に公開された。映画は、人気RPG「ファイナルファンタジー」(FF)シリーズの約6年ぶりの新作ゲーム「ファイナルファンタジー15」と同じ世界観で描く、もう一つの物語。長い戦いを続けている「魔法国家ルシス」と「ニフルハイム帝国」を舞台に、ルシス国王のレギス・ルシス・チェラムや王直属の部隊に所属する主人公のニックス・ウリック(声・綾野剛さん)らの物語が展開する。ヒロインのルナフレーナ・ノックス・フルーレの声優を担当した女優の忽那汐里さんに聞いた。

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 ◇声だけの演技に「挑戦も挫折もした」

 今作はFFシリーズ最新作と同じ世界観やキャラクターによるストーリーが描かれるが、忽那さんは「ゲームの映画化に興味が湧いた」という。その理由を「最初に今回のお話をうかがったとき、ゲームが映画化されているという知識もちょっとなくて」と切り出し、「ゲームは自分で(プレーして)どんどんステージをクリアしていくものだと思うので、どういった形でそれが映画化されるのかというのが、ちょっと想像がつかなかった。そこからどういうものかを調べていきました」と説明する。

 声優オファーについては、「プロの声優の方がいらっしゃるので、役者がわざわざ声優のお仕事をするには、ちゃんとした理由がないと、責任が取れないという思いはずっとありました」と語り、「どんなにお芝居をやってきたにしても、すべて声だけで表現するとなるとやっぱり至らないところがあるし、難しい」と率直な心境を語る。

 さらに声優業の難しさについて、「どうしても声優の方々との力の差には気づいてしまうので本当に難しく、自分の限界も目の前で見てしまうような感じがして、たくさんの挑戦も挫折もしました」と感慨深げに振り返るも、「葛藤や挫折を乗り越えながら演じられた気がして、すごく勉強になりました」と前を向く。

 ◇「イメージと自分の声、実現できる範囲のギャップ」に苦戦

 アフレコではいろいろなチャレンジをしたと話す忽那さんだが、「声をもたせること」に苦労したという。「(実写)映画などの撮影現場ではテストを本番までに数回しますけれど、そんなにずっと休憩なくしゃべっていることはないですし、叫んだり、声を大きく出すシーンは、声のためになるべく本番一発で行うもの」と前置きし、「今回の現場ではリアクションの声のシーンがたくさんありますから、(声のことを考えて)そういうものは最終日、後半に詰めて録(と)るようにしました」と説明。続けて、「あとは、どのぐらい抑揚を付けていったらいいのかの加減が難しかったのですが、ほかの声優の方が作った世界観と、(自分が演じる)そのシーンの空気感に合わせて、というのは意識しました」と振り返る。

 ルナフレーナを演じるにあたって「普段絶対に使わないせりふばかりなので、見ている方に対して丁寧な伝え方ができるように心がけました」と語るが、中でも「ナレーションもあって、小説を読み上げているような感覚の言葉」に苦労したという。「(ナレーションは)物語に引き込まれていく最初のきっかけとして大事だと分かっていた分、気を付けてはいたのですが、イメージしているものと自分の声、そして実現できる範囲というものにギャップがどうしてもあって。そこは難しかったです」と少し悔しそうに話す。

 しかし、「ルナフレーナの映像を見て演じることができたので、とても助けられました」と笑顔を見せ、「役者としてルナフレーナの感情をどこまで出していくかよりは、映像に合わせて演じることが役に近づける一番の方法なのではないかと思いました」と役作りについて語る。

 ◇今後も声優業に挑戦?

 そんな忽那さんに多忙な中でも健康や美容で気を付けていることを聞くと、「炭水化物をあまり食べないということぐらいで、びっくりされるほどなくて……(笑い)」と話すも、「最近はストレッチすることはしていますけれど、そんなには……。ただ昔から生まれ育った国(オーストラリア)がオーガニックなものが盛んだったということもあって、生活の中でオーガニックなものは多いです」と明かす。

 数年前から「レコードを集めています」と話す忽那さんは、休みの日は「1日中家の中で過ごすということはなくて、休みの日でも7時とか8時ぐらいと朝早く起きるので、1日しっかり活動する日もあれば、本当にさまざま」と言い、「最近はまっているカートに行ったり、映画を見たりという感じです」とほほ笑む。

 今作の注目ポイントについて、「多分、注目しなくても映像に圧倒されるのでは」と切り出し、「キャラクターはもちろん、車や背景、建物の一つ一つの細部までがとっても緻密。綾野さんが前のシリーズのモンスターとかが出ていてものすごく興奮されていたので、(FFシリーズの)ファンの方にとってはたまらないのではと思います」とアピールする。

 自身が演じたルナフレーナの見どころは、「ゲームのキャラクターとは性格を変えていて、ゲームの方ではもうちょっと繊細だとうかがったのですが、映画のルナフレーナは活動的で、自分自身で進んでいっている点」という忽那さん。今後、声優業挑戦については、「相当な覚悟がないと、ちょっと……。声優の方にお任せしたいなという気持ちが強いです」と言葉を濁すも、「もしそういう機会が今後あれば」と語った。映画は9日から全国で公開中。

 <プロフィル>

 1992年12月22日生まれ、オーストラリア出身。2006年に「第11回全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞を受賞。07年にドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)で帰国生徒の役を演じ女優デビューを果たす。09年には「守護天使」のヒロイン役で映画デビュー。以後、ドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ系)や映画「BECK」(10年)など数々の話題作やヒット作に出演し、13年度の日本アカデミー賞では新人俳優賞を受賞した。主な出演作に、「許されざる者」(13年)、「オー!ファーザー」(14年)、「黒衣の刺客」(15年)、「海難1890」(15年)、「女が眠る時」(16年)など。17年新春には出演した映画「キセキ-あの日のソビト-」の公開を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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