ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
ボーカルの松尾レミさんとギターの亀本寛貴さんの男女2人組ロックユニット「GLIM SPANKY(グリムスパンキー)」が、2枚目のアルバム「Next One」を20日にリリースした。23日に公開された劇場版アニメ「ONE PIECE FILM GOLD」の主題歌「怒りをくれよ」や、本田翼さんと山本美月さんが主演する10月公開の映画「少女」の主題歌「闇に目を凝らせば」などのタイアップ楽曲が多数収録された話題作だ。迫力のあるハスキーな歌声、骨太のロックサウンドで注目を集めるGLIM SPANKYの2人に、それぞれの音楽ルーツや、映画主題歌2曲の制作エピソードなどについて聞いた。
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――長野県の高校の1学年違いのお二人を含めた4人でGLIM SPANKYを結成した当時は、BUMP OF CHICKEN、ELLEGARDEN、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどのコピーをしていたそうですが、そもそも音楽を始めたきっかけは?
亀本さん:中学生ぐらいの時からGLAYが好きで、それでギターを始めました。そういう(コピーでやっていた)日本のバンドも最初は全然知らなかったんですけど、バンドをやる中で興味を持って聴くようになって……。大学に入る頃から洋楽を聴き出して、60、70年代でいうとザ・バンドとかがすごく好きで、(影響を受けたギタリストとしての)一番の土台は、ジミー・ペイジやブラック・サバスのトニー・アイオミ、AC/DCのアンガス・ヤングとかです。
松尾さん:歌おうと思ったきっかけはビートルズでした。ジョン・レノンの声のがさついたゆがみと、自分がコンプレックスだった声のゆがみがすごく重なって、こういう音楽なら自分の声も使えるなって。中学の時にBUMP OF CHICKENを聴くようになって、同時にホワイト・ストライプスにドハマリしたんですけれど、BUMP OF CHICKENのルーツをたどっていくと、ザ・フーやローリング・ストーンズ、ビートルズなどをとにかく聴いていたという歴史にたどり着いて。それで、ホワイト・ストライプスの歴史をたどると、もちろん50年代のブルースにはたどり着くんですけど、もっと新しいものだと、レッド・ツェッペリンやザ・フーとかにつながったんです。そういう、ルーツが垣間見える音楽が好きですね。
――松尾さんは、幼少の頃は画家を目指していて、上京して進学したのも芸術大学だったそうですね。
松尾さん:東京に画家の親戚がいて、日本画なので掛け軸とかがメインなんですけれど、お弟子さんたちから「私たちの絵を見てくれ」っていう感じで絵が送られてくるんです。あと、祖父も日本画を描いていたし、母親もイラストレーターをちょっとやっていたりして、保育園に入る前から絵の具と画板を買ってもらって、絵を描くことが当たり前だったので、それで生きると思ってました。でも中学の時にロックにハマッたので、もう両方やろうみたいな感じで、バンドをやるにはセルフプロデュースができるようになりたい、ジャケットやポスターも自分でやりたいと思って、大学でデザインを学んだんです。
――GLIM SPANKYというユニット名の由来は?
松尾さん:ケルト文化やアイルランドの伝説にあるんですけど、可愛い妖精じゃなくて、妖しいゴブリンとかが森の中を徘徊(はいかい)する時にあたりを照らす灯火が「GLIM」と呼ばれていて、「SPANKY」は“打つ”“平手打ち”の意味で。灯火という意味の不思議な雰囲気の「GLIM」、音楽業界に一発殴り込んでやるかっていう強気な「SPANKY」という言葉で、幻想的なものも歌えば、ロックで攻撃的な曲もある、というジャンルの広さを表した名前にしようと思ったんです。その時はまだコピーバンドだったんですけれど、オリジナルを作り始めたらそういう音楽性になっていったというか、名前に導かれていった感じはあります。
――「ONE PIECE FILM GOLD」の主題歌「怒りをくれよ」はどのように制作していったんですか。
松尾さん:まず映画の製作チームと話した時に「『ONE PIECE』に寄らない曲で、でも勢いがあって早いビートがいい」って言われて、あと「テレビで流れた時に“こんな生々しいロックが流れて大丈夫なの?”っていうぐらいの曲。とにかく今までの『ONE PIECE』のイメージを変えたいんだ」みたいな感じで言われました。何か映画チーム、めちゃくちゃロックだなと思って。逆に私たちは小学校の頃からアニメで見てきたので、青い空にカモメが飛んでいて、今から航海にいくぞ、みたいなイメージなのかなと思ってたんですけど、「ルフィと戦ってるというか、『ONE PIECE』対GLIM SPANKYぐらいの、ゴリゴリのロックサウンドで」って言われて。
亀本さん:やさぐれてるって言ったら何ですけど、激しい感じのロックサウンドっていうので、カッコよくてクールだけど、作品に負けないパンチ力っていうのはすごく意識して作りました。
――歌詞に関してはどうですか。
松尾さん:歌詞のテーマを決めたのが、もう締め切りの日だったんです。それまで全然できなくて、あと数時間で曲を送らなきゃいけないっていう時に、「どうしよう」っていう危機感と、(詞を書けない)自分に対しての「何だよ自分」みたいな怒りがメチャクチャ湧いてきて、「あっ、これを書けばいいんだ」って。人生の中で目標を越えたいと思う時には、絶対に苦しみや悔しさ、怒り、危機感があって、それを乗り越えるとまたステップアップできると思って生きてきたので、そのための怒りがほしいっていう。
その精神性ってすごくルフィにつながると思うんですよね。仲間を傷つける超ムカつく敵が出てきて、怒りと悔しさに満ちあふれて……。そんな仲間を思う気持ちと、コイツを倒して仲間を救ってやるっていう気持ちと似ているというか。怒りというネガティブなものを、自分を試して大きくするポジティブなものとして変換させてとらえたら、すごく背中を押せる曲になるんじゃないかって思いました。
――映画のエンディングで曲が流れてきた時の印象は?
亀本さん:映画が「ああ、よかった!」みたいな感じで終わるんですけど、まだまだ続く感じが曲にあるので、逆にいいかなと思いました。マンガ自体も全然終わらないし……。アニメとかのタイアップ曲を作り終えた時は、やっぱり自分も心の底からその作品を好きになって楽しみたいと思うので、原作を読んだり、アニメを見たりするんです。「ONE PIECE」も、ここはやっぱり全部読むべきだろうと思って、全部買って読んだんですよ。今、81巻まで読んだんですけれど(コミックスは今月4日に82巻が発売された)、自分の曲が主題歌になってることを改めて感じると、ホントに自分の曲がサンジやゾロと一緒にいるみたいに感じるっていうのはすごくありますね。
――さらに、10月公開の映画「少女」にも主題歌「闇に目を凝らせば」を書き下ろしたそうですね。
松尾さん:少女のはかなさと残酷さというか、美しいけれど怖い、みたいな感じの映画なんですけど、監督が「ミュージシャンの人も私の映画の登場人物の一人だと思ってるので、『はい、エンディング入りました。こっから音楽始まりました』って感じにはしたくない。一人の登場人物が最後に出てきて、言葉を歌い出すようにしたいので、歌から始まってください」って。歌詞的には「暗い中をずっと一人で足元を探りながら歩いているような曲がいい」というオーダーで、私が一番得意な幻想的な文学の世界を落とし込んで作っていきました。こちらもホントに気持ちのいいコラボレーションになったと思います。
――そんな話題の2曲を含むアルバム「Next One」も完成しましたが、タイトルに込めた思いは?
松尾さん:「Next One」は私の中学の頃からの座右の銘なんです。どれだけ満足のいく作品ができても、私の最高傑作は常に次だっていうハングリー精神を表していて、いくら最高のタイアップが決まっても、自分たちの音楽はもっと成長していく……という精神をタイトルで見せていきたいと思いました。
亀本さん:消化不良だからとりあえず次にいかなきゃっていう感じではなく、大変、満足のいく出来になったし、ちゃんと完成したから次に行ける、みたいな感じがしてるので、よかったなと思ってます。
<プロフィル>
ボーカルの松尾レミさん(1991年12月7日生まれ)、ギターの亀本寛貴さん(90年8月24日生まれ)によるロックユニット。07年に結成し、14年にミニアルバム「焦燥」でメジャーデビュー。2人が初めてハマッたポップカルチャーは、幼稚園児の頃、テレビでよく見ていた「きかんしゃトーマス」。亀本さんは「まるい車庫があって、車庫からぐるぐる回って出て行ける台車が真ん中にあって……みたいなでっかいオモチャを持っていて、そこにトーマスやゴードンとかを入れて、発車させて遊んでいました」と話し、松尾さんは「英語(のバージョン)で見ていたけれど、全くしゃべれない(笑い)。私もオモチャは全部持ってました」と話した。
(インタビュー・文・撮影:水白京)
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