高校の吹奏楽部員の成長を描くテレビアニメ「響け！ユーフォニアム」の第2期が、5日深夜からTOKYO MXほかで順次スタートする。吹奏楽は部活の定番だが、アニメのテーマにされたものは少なかった。第1期は、ダイナミックな演奏シーンや高校生の繊細な心の動きが描かれ、人気を集めた。第1期に続いて同作を手がける京都アニメーションの石原立也監督は、第2期「響け！ユーフォニアム2」について「続編でも初心を忘れないこと」と話す。石原監督に第2期の見どころ、制作の裏側を聞いた。

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　◇続編でも初心を忘れないこと

　「響け！ユーフォニアム」は、武田綾乃さんの小説「響け！ ユーフォニアム　北宇治高校吹奏楽部へようこそ」（宝島社）が原作のアニメで、「けいおん！」などの京都アニメーションが制作。2015年4～6月に放送された第1期は、北宇治高校吹奏楽部を舞台に、新たに赴任した顧問の厳しい指導の下、ユーフォニアム担当の主人公・黄前久美子ら吹奏楽部員の成長が描かれた。第2期は、吹奏楽コンクール京都府大会で金賞に選ばれた北宇治高校吹奏楽部が、強豪ひしめく関西大会に挑む。

　第1期の放送前のインタビューで石原監督は「演奏シーンをアニメーションにするのが想像以上に大変（笑い）」と苦労を明かしていた。第1期は演奏シーンのリアルな表現も話題になったが「第1期はいいものができたとは思っていますが、慣れちゃいけないと思っています。ノウハウがある程度たまり、楽器が登場するアニメの作り方は何となく分かってきた。でも、楽な描き方を覚えると、作品にとってよくない。慣れてきたのでちょっと難しい角度で描いてみようか？などと作っています」と第2期でも挑戦を続けているという。

　石原監督は「続編でも初心を忘れないこと」とも語る。「初めて作るタイプの作品は、あたふたと試行錯誤すると、いい作品になることもある。一から何かを生み出そうとするエネルギーはどんな時も大事だと思います。勉強することが多くて、今も勉強中です」とあえていばらの道を行くことでクオリティーアップを目指しているようだ。

　◇あすか先輩がラスボスに！？

　6月に発表された第2期の新たなビジュアルもファンの間で話題になった。第1期で重要となったキャラクターは、主人公・久美子とトランペット担当の高坂麗奈だった。しかし、ビジュアルに麗奈の姿はなく、久美子とユーフォニアム担当の田中あすかが大きく描かれていた。石原監督は「第2期でどのキャラクターが重要になるかネタバレになっているかもしれませんね（笑い）。あすかは原作よりもアニメの方がより重要視しているところもあります。あすかと久美子の物語が一つの重要な柱になって進行していきます」と明かす。

　さらに、あすかについて「第1期でも最終的に倒さないといけない相手、“ラスボス”は、あすかだと思っていました。あすかは面白いですよね。原作の1巻を読んだ時に、この先輩は何かあるな……と思っていたので、原作のその後の展開で、こういうキャラだったんだ……と分かった時はうれしかったですね。あすかは動かしやすいキャラです。能動的に動き、おちゃらけているようで、どことなく冷たい目を見せたり、謎も多い。そういうキャラはどんな作品でも動かしやすいんです。あすかが一つの軸にはなりますが、麗奈もいろいろあるので、久美子は大忙しですよ。久美子はいろいろなことに巻き込まれていく主人公体質なので」と話す。

　◇大会、プール、合宿といろいろあります

　また、ビジュアルでは、第1期ではどこか頼りないところもあった久美子がりりしい表情を浮かべていることも話題になった。「確かに最初はこんな顔をしていなかったですね。第1期の劇中でも久美子の表情が段々りりしくなっていった。ビジュアルでも結果的に格好いい顔になったのかもしれません。例えばスポーツマンガでも弱い主人公が強くなる過程が面白い。ある程度強くなった主人公がどうなるか？というのは難しいところでもあり、（シリーズ構成の）花田（十輝）さんともよくその話をしています」と説明する。

　成長した久美子たちが向かう先が気になるところで、石原監督は第2期の見どころを「大会、プール、合宿といろいろあります。人間関係を描こうとしているので、そこを見てほしいです。久美子の成長ぶりも注目です」と話す。“進化”した演奏シーン、成長した久美子たちの活躍、微妙な人間関係など、第2期も見どころだらけのアニメになりそうだ。

　「響け！ユーフォニアム2」はTOKYO MX、ABC朝日放送ほかで5日深夜から放送。初回は1時間スペシャルが放送される。