注目映画紹介:「グッドモーニングショー」 中井貴一が災難に巻き込まれる落ち目のキャスターを好演

映画「グッドモーニングショー」のメインビジュアル (C)2016 フジテレビジョン 東宝
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映画「グッドモーニングショー」のメインビジュアル (C)2016 フジテレビジョン 東宝

 俳優の中井貴一さんの主演映画「グッドモーニングショー」(君塚良一監督)が8日に公開される。中井さん演じるワイドショーのメインキャスター・澄田真吾の災難だらけの一日を描くコメディーで、「踊る大捜査線」シリーズの脚本などで知られる君塚監督がメガホンをとった。女優の長澤まさみさんが澄田と付き合っていると勘違いしている女子アナを演じているほか、志田未来さん、濱田岳さん、吉田羊さん、松重豊さんら豪華キャストが出演。時任三郎さんが連続ドラマ「ふぞろいの林檎たち4」(TBS系)以来、19年ぶりに中井さんと共演したことも話題だ。

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 澄田真吾(中井さん)は、かつて報道番組のエースキャスターだったが、ある震災現場からの現場リポートで非難を浴び番組を降板。現在は、同期入社のプロデューサー石山聡(時任さん)に拾われ、朝のワイドショー「グッドモーニングショー」のメインキャスターを務めている。ある日、澄田は自分と付き合っていると思い込んでいるサブキャスターの小川圭子(長澤さん)から、交際を生放送中に発表しようと迫られる。さらに石山からは番組の打ち切りを告げられてしまう。そんなとき番組スタート直後、東京都内で銃を持った男(濱田さん)の立てこもり事件が発生し、なぜか犯人から指名された澄田は渋々現場に向かうが……というストーリー。

 テレビ番組には欠かせないワイドショーのメインキャスターが主人公なだけに、普段は見ることができない放送前の慌ただしさや、情報番組と報道番組とのいざこざや微妙な人間関係、視聴率競争といった業界ならではの裏事情などが垣間見られ、職業もの的な一面もあり、とても興味深い。だからといって物語の流れと関係なく豆知識のようにエピソードが差し込まれるのではなく、映画を見ていると、それらの要素がテンポよくしっかりと本筋で描かれ、キャストの絶妙な間合いで自然と引き込まれていく。今作の最大の見せ場である立てこもり事件現場からの中継シーンは見応え抜群で、中井さんと濱田さんの演技の合戦は圧巻だ。リアリティーとファンタジーが絶妙なバランスで配されており、笑いやちょっとした感動をもって、軽い気持ちで楽しめホロリとさせられる。8日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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