ヤマハ・清宮克幸監督:かけた言葉は「行ってこい」だけ “恩師”が語る五郎丸選手と仏ラグビー

ジャパンラグビートップリーグ「ヤマハ発動機ジュビロ」の清宮克幸監督
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ジャパンラグビートップリーグ「ヤマハ発動機ジュビロ」の清宮克幸監督

 ジャパンラグビートップリーグ「ヤマハ発動機ジュビロ」の清宮克幸監督。“世界最高峰”といわれるフランスのプロリーグ「TOP14」に挑戦中の日本代表・五郎丸歩選手にとって早稲田大学時代からの“恩師”にあたる人物だ。戦力ダウンを承知で自分のチームから五郎丸選手をフランスに送り出した張本人で、かけた言葉は「『行ってこい』だけですよ」と明かす清宮監督に、「TOP14」の特徴や渡仏後の五郎丸選手のプレーについて語ってもらった。

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 「TOP14」の一番の特徴にシーズンの長さと試合数の多さを挙げる清宮監督。「8月に始まって終わるのは6月だから、1年のほとんどはラグビーをしている。だからどうピーキングしていくかが大切」といい、「上位6チームにまで入ればプレーオフに進めるから、5、6敗しても十分優勝できる。リーグ戦で各チームと2回ずつ戦う中で、力のあるチームは勝ち星を伸ばしていくし、互いの手の内も分かった上で、最終的には戦略的なことも考えてプレーオフに進んでいく。そういう前提だから、シーズンの前半は『素』で戦っている感じですよね」と印象を明かす。

 また、フランスのラグビーは「サッカー的というか、フォーメーションは作るけれど、そこからどう組み立てるかのパターンを状況によって変えていく能力がある」といい、「ラグビーは、何度も同じシーンを作れる再現性の高いスポーツですが、フランスはその度合いが低い。状況が変化した時に予定されたパターンに戻すんじゃなく、その時の状況に対応して発展させていく」と分析。

 さらに、「実はフランスは、自国の選手は『小さい』という認識からスタートしている。小さいフォワードでも勝てるよう努力を重ねる、工夫を重ねるという伝統が根付いている。いろいろなアイデア、工夫を重ねて、斬新なことに取り組んできたんです。特にスクラムに対するこだわりは他の国よりもはるかに高いです」と感心する。

 そんなフランスで奮闘する五郎丸選手については「デビュー戦となったアウェーのリヨン戦も、初先発となったホームのスタッド・フランセ戦も見ましたが、プレーそのものよりも、チームメートとのやり取りを興味深く見ていました。彼らが五郎丸をサポートしようとしてくれている姿が、中継映像でもよく抜かれていましたね」と振り返り、「プレー自体は、自分の形に持ち込めた時はしっかり持ち味を出していましたね。あとはプレースキックをまだ蹴らせてもらっていないのがね。チャンスを与えてもいいんじゃないかと、勝手に思っていますけど」とも語っていた。

 渡仏以前には「日本人は評価されないんじゃないか」「出番ももらえないんじゃないか」との声も聞かれた五郎丸選手だが、清宮監督がかけた言葉は「行ってこい」だけ。「過去にそういうチャンスは誰にもなかったわけですからね。日本人選手が評価されるのかどうか、出番がもらえるのかどうかも、行かないと何も分からない。言葉がしゃべれないと難しいとか、想像だけで言って、行かなかったら何年かたった時、本当に後悔すると思いますからね。後悔しないような選択をしよう。僕が言ったのはそれだけです」と真意を説明する。

 そして、最後には「(オーストラリア・スーパーラグビー所属の)レッズに行っていた間も、(TOP14の)RCトゥーロンに行ってからも、必死にやっている姿は変わらないと思いますね」とどこか楽観的に話していた。

 *WOWOWではフランスのプロラグビーリーグ「TOP14」を五郎丸歩選手が在籍する「RCトゥーロン」の試合を中心に毎節2試合放送。第16節は「スタッド・フランセ対トゥールーズ」をWOWOWライブで8日深夜2時(同深夜0時10分からWOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信)から放送。「クレルモン・オーヴェルニュ対RCトゥーロン」をWOWOWプライムで9日午前4時45分から生中継する。

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