第156回芥川龍之介賞(以下、芥川賞)が19日、発表され、山下澄人(やました・すみと)さんの「しんせかい」(「新潮」7月号)が受賞した。同日、東京都内で行われた記者会見に山下さんは革ジャン姿で登場すると、「(受賞を)人ごとみたいに感じている。すごいな芥川賞って」とひょうひょうと話し、「僕が芥川賞作家ですよ。ウソやろって。友達はびっくりすると思う」と笑った。
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芥川賞を受賞したことで作風や心境に変化が起こるのか聞かれると、山下さんは「ないです」とし、「心境はないです」と笑顔で強調。「手法みたいなものは後からついてくるもの、読んだ人が言うことであって(自身の変化は)ないです」と繰り返した。
受賞の報告は「六本木のおしゃれな感じのカフェ」で待っていたという山下さん。電話で受賞の一報が届いた時は「『ありがとうございます』とは言いました。あともうちょっとしゃべったりはしましたけど、『あ、そうですか』とか」とにやり。4回目のノミネートでの快挙となったが、「ホッとしましたというのが一番。本当にホッとしました」と“4度目の正直”に少し本心をのぞかせた。
山下さんは富良野塾2期生で、恩師にあたる倉本聰さんには「(受賞の報告を)留守電には入れました。(受賞作の)題字を書いていただいて、『ありがとうございます』しかない」と感謝。さらに「僕は若い頃に両親が死んでいて、倉本さんは父親みたいなもの。今、一番思うのは、どっかで(この会見を見て)『ちゃんとしゃべれよ』って怒られるのかな。そういう存在です」と思いを口にしていた。
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