SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
現在放送中の冬アニメで、話題性の面で“今期の覇権アニメ”に今のところ一番近い位置にあるのが「けものフレンズ」だ。ネットを中心に盛り上がりを見せている注目作の魅力を“オタレント”の小新井涼さんが、独自の視点で分析する。
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現在、アニメ「けものフレンズ」がネットを中心に驚異の盛り上がりを見せているのをご存じでしょうか。
「けものフレンズ」とは、ヒトの姿となった動物(いわゆる動物の擬人化)の女の子「アニマルガール」たちと、人間の姿をした女の子・かばんちゃんが繰り広げる冒険を描いた、少し不思議な日常系萌えアニメです。アニメ放送開始後、ツイッターでのトレンド入りを機にネットニュースで取り上げられるようになり、ニコニコ動画ではアニメ第1話の再生回数が100万回を突破、最近ではアニメの主題歌を星野源さんが自身のラジオ番組で流して絶賛し、作品人気がNHKの報道番組にも取り上げられるなど、アニメファン以外にまでその存在が知られ始めています。しかし正直なところ、放送前はまさかここまで話題になるとは予想しておらず、「フレンズ」ブームと呼ばれるこうした現象も含めて、現在注目されているのです。
予想を超えるブームを巻き起こしている「けものフレンズ」の魅力とは、一体何なのでしょうか。考えられるポイントは二つあります。
一つ目は、登場人物のひとり、サーバルキャットの女の子、サーバルちゃんが話す「すごーい!」「たーのしー!」「君は◯◯が得意なフレンズなんだね!」といった“せりふ回し”です。単純ながら中毒性のあるこれらのフレーズは、「いいね!」ボタンや「◯◯なう」やLINEスタンプのように感覚的で気軽さがあり、思わずSNSに投稿したくなる不思議な魔力を持っています。現にアニメを視聴した人たちによって徐々につぶやかれるようになっていったのでしょう。アニメ放送開始後からツイッターを中心に、「やったー!」「すごーい!」「たーのしー!」といったせりふを含んだツイートが散見されるようになっていきました。そうして次々と発信・拡散されていったそれらのせりふは、やがてアニメ未視聴の人々にまで「けものフレンズ」の存在を広めてゆく、いわば“伝道師”となっていったのです。
しかし単に作品を広めるだけではこれほどのブームが起きることはなかったでしょう。作品を知り、アニメを見た人々をますます「けものフレンズ」に夢中にさせたのが、もうひとつのポイントである“思わず深読みしたくなる世界観”です。
本編では基本、アニマルガールとかばんちゃんが繰り広げる日常系に近いほんわかした冒険が描かれています。しかし一見明るく見える作品の舞台「ジャパリパーク」は実は廃虚となったテーマパークです。アニマルガールとかばんちゃんの他には人間や動物たちの姿はなく、古びた看板や建物は少し荒廃した雰囲気も放っています。エンディングで流れるのも閉鎖された実在するテーマパークの写真であるなどどこか意味深で、かわいくて楽しい世界観の中に見え隠れする不穏な描写に「まさかここは人類滅亡後の世界?」「このアニメ、実はハードなSF作品なのではないか」と、やがて作品考察をしだすファンが続出し始めました。こうして深読みされた「けものフレンズ」世界の謎がさらにネット上で熱く議論されるようになり、見た人をさらに深く作品にのめりこませていったのです。
癖になる“個性的なせりふ”が広く作品を知らしめ、“深読みしたくなる世界観”は視聴した人を深く作品にのめりこませる。この広さと深さをカバーする二つの魅力が、放送開始とともに「フレンズ」ブームをネット上で形成していったのではないでしょうか。
その後も冒頭で挙げた通り、アニメファン以外にまで知られるほど話題となった「けものフレンズ」ですが、一方で放送に先駆けて配信されていたスマホゲームは昨年末にサービスを終了していたりもします。しかしそのことは逆に現在の「フレンズ」ブームが、アニメ放送前までは制作サイドにも予想できなかったほど想定外のものであることを物語ってもいるのではないでしょうか。人々の予想を超えるこの盛り上がりは今後どのように展開していくのか。アニメオリジナルであるストーリーの行く末とともに、最後まで目が離せない作品です。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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