女優の綾瀬はるかさん主演のドラマ「精霊の守(も)り人 悲しき破壊神」(NHK総合)の第7回「神の守り人」(4日放送)に、造形作家の竹谷隆之さんがデザインした破壊神・タルハマヤ神の全体像が登場する。ドラマでは、竹谷さんが制作したフィギュアを3Dスキャンし、VFXとして破壊神が姿を現す。登場するのは一瞬だというが、「仮面ライダードライブ」「仮面ライダー1号」などのクリーチャーデザイン、「シン・ゴジラ」などのキャラクターデザインも手がけてきた“匠(たくみ)”の竹谷さんがデザインしたこともあり、注目を集めそうだ。竹谷さんの工房を訪れ、破壊神のデザインについて聞いた。
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「精霊の守り人」は、「鹿の王」で第12回本屋大賞を受賞した上橋菜穂子さんの小説「守り人」シリーズを、2016年春から3シーズンにわたって全22話で映像化する“大河ファンタジー”。短槍(たんそう)使いの用心棒・バルサ(綾瀬さん)の冒険を描いている。 竹谷さんは、タルの民のアスラ(鈴木梨央さん)が、その身に宿している破壊神をデザインした。
竹谷さんは「仮面ライダードライブ」「シン・ゴジラ」などに参加してきたほか、「仮面ライダー」シリーズや仏像などさまざまなフィギュアの原型も手がけたきた“匠”。国内のみならず、世界中にファンがいる。竹谷さんは、破壊神をデザインする際、まずはNHKの担当者と打ち合わせをしながら、パソコンでデザイン画を描いた。担当者と話をする中で、女性、ドクロ、縄文などというイメージを固めていったという。シルエットは女性をイメージして、腰がくびれている。また、アスラたち“タルの民”と同じように首が赤く塗られている。「理解できない存在で、話が通じないだろうな……」と考え、顔の表情を読み取りづらくしたという。
破壊神は、頭部や羽のようなパーツなどに縄文土器のような文様がデザインされているのも特徴だ。「マイブームは縄文」という竹谷さんは「縄文は自分たちのルーツでありながら異質。北海道で生まれて育ったのですが、デザインのオリジナリティーを模索している時に自分の育った環境を掘り下げた。アイヌの人たちがデザインした模様、自然に対する考え方などに興味を持ち、さらに、さかのぼって調べていったら、縄文があった。今の感覚とは、違う遠いものを感じる」と考えているという。
竹谷さんのデザインは“和”をイメージしたものも多い。“和”のデザインについては「自分の内側から出てくるオリジナリティーを信用していないんですよ。育った環境を調べたりしながら抽出していく。それがたまたま和風、縄文っぽいものだったのかもしれません。若い時、雨宮慶太監督の『未来忍者 慶雲機忍外伝』に携わり、勉強しながら作っていました。その時から、成り行きで和風になっていったのかもしれません。掘り下げていって、縄文にも興味を持ったんです」と話す。
フィギュアの制作企画は約1カ月だったという。竹谷さんは「デザイン画で正面と側面をざっくり描く。ちゃんと描くと、作っていてつまらないのでざっくりにしました。造形は、使えそうなパーツを集めながら、粘土などで作っていきます。作っていく中でいろいろなインスピレーションが生まれることもあります」と振り返る。
ドラマでは、竹谷さんが作ったフィギュアをスキャンした3DCGを使用した。最初からCGで作ればいいのでは……とも考えてしまうが、NHK担当者は「最初からCGでは、このデザインは作れない。また、アスラの顔に破壊神が浮かび上がるなどエフェクトのようにも使った」と語る。
第7回では、破壊神は一瞬しか登場しないというが、竹谷さんに造形を依頼するなどドラマは細部までこだわって作られている。キャストの熱演、ストーリーはもちろん、“神が宿った”細部にも注目すると、ドラマの“深さ”をさらに感じることができるかもしれない。
「精霊の守り人 悲しき破壊神」はNHK総合で毎週土曜午後9時に放送。また、予備校講師の林修さんが同作を解説する「いよいよクライマックス!『精霊の守り人』徹底解剖!」がNHK総合で4日午後4時40分に放送される。
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