女優の谷花音さんと俳優の下田翔大さんが声優を務める劇場版アニメ「夜明け告げるルーのうた」（湯浅政明監督）が19日、公開される。漁港の町に住む中学生のカイと人魚のルーが交流する姿を描いた湯浅監督の完全オリジナル作品で、谷さんがルー、下田さんがカイの声を担当した。2人に、同作の撮影エピソードやお互いの印象、今後の目標などについて聞いた。

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　◇カイくんっぽくてびっくり

　「夜明け告げるルーのうた」は、寂れた漁港の町・日無町に住むカイが、人魚のルーと出会い、交流を深めることで次第に心を開いていく……というストーリー。「午前3時の無法地帯」などのマンガ家のねむようこさんがキャラクター原案、「ガールズ＆パンツァー 劇場版」などの吉田玲子さんが脚本を担当。声優として篠原信一さん、柄本明さん、斉藤壮馬さん、寿美菜子さんらも出演する。

　天真爛漫（らんまん）な人魚のルーを演じる谷さんは、「台本を読んで、元気な子だなって伝わってきたので、声を録音するまで楽しみでした」と笑顔で語った。一方、カイ役の下田さんは「初めてに近い形で声優のお仕事をさせていただいたので、緊張でいっぱいいっぱいでした」と苦笑する。

　下田さんに初めて会ったときのことを、「カイくんっぽくて、すごくびっくりしちゃって。本当にカイくんだ、と思いながら見ていました（笑い）」と振り返る谷さん。下田さんも「（谷さんは）ルーちゃんみたいな感じで、モロじゃん、みたいな。すごく元気なオーラに圧倒されています」と答える。

　演技では、ルーはいつでも変わらず元気な女の子なので、「声のトーンを変えないように気をつけたりしました」と谷さん。湯浅監督からは「ルーちゃんは人魚なので、人間っぽくしないでほしい、というのは言われました」と明かす。下田さんは、「俳優だったら姿や表情が見えるけど、声優は声だけで、感情を表現するツールが一つしかないから、いつもよりオーバーアクトぐらいな気持ちでやっていました」と収録を振り返り、「もともとアニメは好きでよく見ていたので、（他の作品を見ながら）こういうときはこうやって強弱をつけたりすると分かりやすいんだ、と改めて思いました」と話す。

　難しかったのは「歌うシーン」と下田さん。「監督が『もっとこういう感じで歌って』と、魂の叫びというか、歌になってないぐらいの歌を聴かせてくれて。心がガツンとぶつかってくるなと思いました」と振り返った。普段から風呂場でよく歌うという下田さんは、今回も風呂場で練習したといい、「結構長風呂なんで（笑い）。練習期間が2週間ぐらいで、（風呂は）1日1時間ぐらいだから、（風呂場での練習は）10時間ぐらい」と明かし、「最後の方は楽しく歌えて。すごく楽しかったです」と笑顔を見せる。

　◇主人公や犯人役に意欲

　今作でメインキャラを担当し、今後もますますの活躍が期待される谷さんと下田さん。下田さんは、自身の状況について「まだ始まったばかり」と控えめに語り、「人の心を動かせるようになるというのが、心に響く（演技の）感じだと思っているので、（演技で）自分が思っていることが、すぐに人に伝わっていくことを目指したい」と力を込める。今後は「もっといろんな経験がしたいので、まず主人公がやりたい。犯人役とかにも引かれます」と意欲的だ。

　一方、谷さんは、「大人な役」をやってみたいといい、「大人がオフィスとかで働いている役をやったことがないので、ちょっとやってみたいなって。ああいう洋服を着たり、会議室とかで話し合っているシーンをやりたいです」と無邪気に笑った。今作の公開後も、2人の活動は注目を浴びそうだ。

　＜プロフィル＞

　たに・かのん。2004年5月4日生まれ、埼玉県出身。映画は「上京物語」（13年）、ドラマは「全開ガール」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などに出演。16年に大ヒットした劇場版アニメ「君の名は。」に宮水四葉役の声で出演。

　しもだ・しょうた。2002年7月9日生まれ、東京都出身。映画は「世田谷区、39丁目」（14年）、「くちびるに歌を」（15年）などに出演。