アニメ質問状:「このはな綺譚」 温泉シーンで重要な会議 柚がめちゃくちゃ可愛い!!(重要)

テレビアニメ「このはな綺譚」の一場面(C)天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会
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テレビアニメ「このはな綺譚」の一場面(C)天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

  話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、天乃咲哉さんのマンガが原作のテレビアニメ「このはな綺譚」です。ギャガの大貫一雄プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 ――作品の概要と魅力は?

 あの世とこの世の間にある温泉宿・此花亭(このはなてい)で働くキツネっ娘仲居たちを中心に描かれた物語で、仲居仲間の友情、愛情から生まれる出来事と、訪れたお客とのやり取りからの発見や、本当の意味での「おもてなし」を描く人情物語です。原作は9年前に「コミック百合姫S」(一迅社)で「此花亭奇譚」というタイトルで連載され、その後掲載誌が休刊に。数年の時を経て「月刊バーズ」(幻冬舎コミックス)で「このはな綺譚」に改題をして連載中の和風感動綺譚です。ケモ耳+百合という要素だけではなく、日々忘れかけてしまったことを思い出させてくれるありがたいお話だと思っています。

 ――アニメにするときに心がけたことは?

 全体像とでもいいましょうか……。部分的なキャラとか背景とかそういうさまざまなものが集約されてアニメーションになると思いますので、作品の説得力を上げるために必要な要素を効果的にバランスよく配置しなくては、と考えました。そういう意味ではスタッフィングが最重要で、信頼できる人で固めて、あとは現場の皆さまに委ねているというか、お任せしています。

 原作シナリオをそのままアニメに、というのはどうしても無理が出てきてしまうので、全12話という枠に、いかにして原作の持ち味を並べるか、ですね。1話完結のようで、時の流れは明確で、ファンタジーのようで現実味があって、ささいなことのようで、実は人生を形作っていて……。そんな物語を全12話で一つにしたかったのが最初の目標でした。1クールで此花亭の1年を描くアニメを見たい!と。最初の打ち合わせで岡本英樹監督が「四季を描くのはいかがでしょうか」とおっしゃられて、心の中でガッツポーズと、先に言われてしまった無念な気持ちが同時に襲ってきたのは今でもハッキリ覚えています(笑い)。

 春夏秋冬、それぞれ日本古来からある様式美みたいなものがあって、梅雨が明けたら夏が来るのって、ものすごく当たり前なのですが、当たり前だからと流してしまうのはもったいないな、と。まぁ、この言葉すら作中にある柚のせりふからの受け売りですが。なので、意識するような象徴的な草花などが毎話ちりばめられています。

 ――作品を作る上で大変だったこと、逆にうれしかったことは?

 大変だったことというのは、実は特にないといいますか……。唯一、もめたのは温泉シーンくらいですかね? 原作はしっかり描き切っているので、アニメでも裸を描くか否か、非常に重要な会議を開きまして、結果として「見せない」ということになり、まさかの第3話でキツネっ子男子の裸だけがしっかり描かれるという(笑い)。

 うれしかったことは……。全部ですよね。アニメ化できたことが奇跡みたいなものでして、「アニメ化したい!」って思って幻冬舎コミックスさんの知り合いに電話したら、その人が「このはな綺譚」の編集担当ご本人だったり、「いつかこれをアニメ化するときにお願いします!」と3年くらい前にふわっとお伝えした吉岡たかをさんに脚本を書いていただいてたり……。

 「大貫のお手伝いをしている○○です。」というのが現場で流行語になってたり(汗)。わがまま言いたい放題させていただいて本当に恐縮です。実作業部分は本当に信頼しているからこそ、お任せしちゃったのですが、なんか時々熱い発言をしていたみたいで、作品愛はダダ漏れしていたようです……。

 ――今後の見どころを教えてください。

 とにかくキャラクターがもっともっと可愛くなります。見た目も十分なのですが、それぞれの個性が見えてきて、その背景もあるからこその“今”を見ていただければと。そして、原作の掲載順を季節に合わせてピックアップしていますので、どの話がアニメで放送されるか期待していただけると幸いです。

 そろそろ作中の季節が現実の季節に追いつこうとしています。此花亭から見える景色は、実は窓の外と同じ景色かもしれません。そんな夢と現(うつつ)と幻の入り交じった雰囲気をお楽しみいただければと。

 ――ファンへ一言お願いします。

 柚がめちゃくちゃ可愛いのです!!(重要) 今作では、製作委員会のプロデューサーという立場と同時にビデオパッケージの制作担当を兼務しております。ブルーレイディスク、DVDが春夏秋冬の全4巻構成にしたのも、当初から予定していたもので、いかに作品の世界観と商品をつなげていくかに重点を置き、手に取ったときに感動できるパッケージを作っていますので、どうかご自宅に1セットご用意いただければ幸いです。何度見ても幸せになれる作品だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

ギャガ プロデューサー 大貫一雄

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