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島本和彦:「負けたと思わないこと」が大事 「炎の転校生 REBORN」原作者に聞く作品への思い

マンガ テレビ
マンガ「炎の転校生」作者の島本和彦さん

 男性7人組アイドルグループ「ジャニーズWEST」のメンバー全員が主演を務めるNetflixオリジナルドラマ「炎の転校生 REBORN」が、10日から配信されている。ドラマは、伝説の男・滝沢昇が設立した謎のエリート校「種火学園」にやってきた7人の転校生たちが、問題のある学校に入り込み、校内を改善していく姿を描いた熱血アクションコメディーだ。原作者の島本和彦さんに、実写ドラマ化について、マンガ家として大切にしている思いなどを聞いた。

 ◇「未熟だからできたギャグ」 原作への思い赤裸々に

 ドラマは全8話で、「週刊少年サンデー」(小学館)で1983年から85年まで連載された島本さんのマンガ「炎の転校生」が原作。かつて「炎の転校生」と呼ばれた滝沢昇が校長を務める「種火学園」に名前が駆(かける)という共通点をもつ7人の転校生たちが現れた。彼らは全国の問題がある学校に転校生として忍び込み、学校を内部から改善する極秘ミッションを遂行していた……というストーリー。

 主演を「ジャニーズWEST」の重岡大毅さん、桐山照史さん、中間淳太さん、神山智洋さん、藤井流星さん、濵田崇裕さん、小瀧望さんが務め、映画「デトロイト・メタル・シティ」「神様はバリにいる」などの李闘士男監督がメガホンをとった。ヒロイン役で川島海荷さんが出演しているほか、校長の声を鹿賀丈史さんが担当している。

 原作の「炎の転校生」は主人公・滝沢をはじめ、熱いキャラクターたちが激しいバトルを繰り広げるマンガで、織り交ぜられるギャグも強烈な印象を残す作品だ。島本さんは原作について「描いているときは人気があったから楽しかった。これを描いているときだけが人気マンガ家だった思い出です」と冗談まじりに振り返りつつ、「このときにしか描けないような未熟な部分と、未熟だからやっちゃったギャグが面白い。最初の方は絵が下手だけど、途中からはすごくノッてきているし、面白いマンガだと思います(笑い)」と自作を語る。

 島本作品は、2014年の「アオイホノオ」に続く実写ドラマ化となる。島本さんは「ありがたいなあ、と。何もしてないのに勝手に選んでくれてありがたい」と笑い、「親しまれるために、ギャグが入ったコメディードラマとかをやると(俳優のキャラが)立つなと常々思っていて。あまりよろしくないギャグだと逆効果になるけど、私のやり方のギャグだったら、イケメンの男の子たちの好感度を上げることができるはずだとずっと思っていたんです。だから『炎の転校生』も、イケメンの男の子たちの評判を上げるギャグの方式を私から持っていってくれたら……と楽しみでした」と実写化への思いを語る。

 ドラマは、ジャニーズWESTの重岡さんら7人が扮(ふん)する転校生それぞれの個性的なキャラクターも魅力的だ。作品を見た島本さんは「一人一人のキャラクターそれぞれを、すごく好きになる。一通り見たら名前も覚えちゃうし、みんなを好きになる、すごくいいドラマになっているなと思います」と評価する。ストーリーは原作とは異なるオリジナルだが、原作でおなじみの「国電パンチ」や、校長・滝沢昇のマネキンも登場するなど、原作ファンにはうれしい描写も。島本さんは「校長の等身大マネキンは非常に良かったですね。あれが出ると落ち着く。ああ、『炎の転校生』だなって」と原作者の目線で語る。

 ◇原作者としての要望は? 細部へのこだわりも

 作品の魅力を熱く語る島本さんだが、原作者として、要望を出すことはあったのだろうか。島本さんは、にやりと笑みを浮かべ、「『要望を出すようなマンガ家は“頭のおかしいマンガ家”だから、絶対にドラマ化するときは要望を出しちゃいけない』と(連続ドラマ『アオイホノオ』の)福田雄一(監督)から教わって(笑い)」と冗談めかして語る。

 とはいえ、口を出さないと決めたものの、やはり熱い思いもあった。「口は出さないと決めているから、勝手にやっていいよと言ったんだけど……。脚本の準備稿を読んだら、最初の高校に重岡くんが現れるシーンで『ザッ』という靴の音が入っていなかったので、これはおかしいだろ、主人公が転校してきたら『ザッ』からだろ!って思って、ここだけは口を出そうと……」というエピソードを披露する。「筆で脚本の上に『ザッ』と書いて、このせりふ違うなと思ったらせりふも変えて。で、ファクスで送り返して『さあ嫌がってくれ!』と(笑い)」とユーモアたっぷりに明かす。

 ◇マンガ家として大事なこと

 ドラマの7人の主人公は、それぞれが異なった個性を放ち、刺激し合うような関係ともいえるが、島本さんにとってそのような存在とは? 島本さんは「それは(大学の同級生の)庵野秀明(監督)のことを言っているの!?」とおどける。昨年は、庵野さんが総監督を務めた怪獣映画「シン・ゴジラ」を見た島本さんがツイッターで「庵野……オレの負けだ……」とつぶやき話題を集めたこともあったが、島本さんは当時を振り返り、「誰一人として『ここで負けを認めるということは、今までは勝っていたということか?』と問いかける人がいないのはどういうことだ! でも『シン・ゴジラ』は本当に面白かったから、そういうときは素直に、ね」とちゃめっ気たっぷりに笑う。

 長い間、マンガ家として活躍してきた島本さん。この仕事を続ける上で、大事にしていることとは何だろうか。「シン・ゴジラ」公開の際には冗談めかして“負け”を認めた島本さんだが、「負けたと思わないことですね」とにやり。「いくらだめでも、負けたと思わないこと。たまにこういうこと(実写ドラマ化)とかあるから、それが助けてくれますよね」と笑顔で語る。島本作品といえば誌面からほとばしるような“熱さ”が印象的だが、島本さんは「描きたいのを描くときは仕方がないんだよね、熱が出てきちゃうから。『これ伝えなきゃ! 俺が言わなきゃいけないよね!』と思ったら、描かざるを得ないですね」と楽しそうに語る。

 そんな島本さんにこれからの構想を聞くと、「今までは売れてなかった分だけ、売れよう売れよう、というのがあって。だから売れても売れなくても、自分が感動して涙を流す作品を描きたいな、と。心から自分自身を震わせる、泣かせるものを描く。そういうことをやってみたいと思っています。これまで笑いばっかりやってきたけど、感動もいいなって」と力強く語った。

 <プロフィル>

 しまもと・かずひこ。1961年4月生まれ、北海道出身。大阪芸術大学在学中の1982年に「週刊少年サンデー」増刊号(小学館)の「必殺の転校生」でデビュー。「炎の転校生」「逆境ナイン」「吼えろペン」「アオイホノオ」など作品多数。

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