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信長の野望:上杉謙信がゲーム最強の理由 大名の思考をAIで再現

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「信長の野望・大志」のビジュアル(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

 コーエーテクモゲームスの人気ゲーム「信長の野望」シリーズの最新作「信長の野望・大志」が11月30日に発売された。30年も続く人気シリーズだが、2000人以上もいる武将の能力値をどう決めているのか。最強の武将が上杉謙信であり続けるのはなぜか。AI(人工知能)を搭載した最新作「信長の野望・大志」のプロデューサーの小山宏行さんとディレクターの木股浩司さんに聞いた。

 ◇能力「1」の違いでユーザーから意見

 第1作の誕生から30年以上続く「信長の野望」シリーズでは、個性豊かで多彩な能力を持つ武将が登場する。能力値の設定は、ファンの間で何かと話題になるが、どう決めるのか。木股さんは「開発スタッフごとに考えの違いはあります。能力は偏差値にして順位付けし、同じ能力の武将が固まらないよう配慮します」と話す。

 しかし単純な偏差値ではない。「実は今回の豊臣秀吉の外交能力を、最初は全体のバランスを考えて低めに設定しました。ところが(ゼネラル・プロデューサーの)シブサワ・コウから『違うでしょ』と指摘されました。開発終盤だったので変更は大変でしたよ」と明かした。他にも、大河ドラマなど一般からの注目度を考慮して変えることもあるという。武将の能力調整は、やはり大変なようだ。

 一般の意見は、原則として武将の地元からの声が大きい。小山さんは「ユーザーから『この武将の能力は98じゃない!97だ』という意見をいただいたりします。一瞬『その“1”に決定的な違いがあるの?』と思ったりしますが、それだけこだわっている証しですし、うれしく思います」と明かす。

 能力値はゲームが出る度に広範囲にわたって細々と変更をかけている。木股さんは「歴史のニュースは目を通すし、文献を読んだりしています。『信長の野望』を開発していて『歴史を知らない』では仕事になりませんからね」と笑う。

 ◇上杉謙信が最強の理由

 「信長の野望」シリーズの最強武将といえば、上杉謙信だ。戦闘関連の能力が最高値なのが常態化しているが、開発陣で異論はないのか。

 木股さんは「上杉謙信の強さに、根拠のある異論はありません。勝てるとしたら武田信玄か織田信長ぐらいしかいません」と説明し、「シリーズ作品で、能力値の設定は積み重ねの部分があるのも確か。資料などから新しいことが分かって急に強くなることはあっても、急に弱くなることはありません」と話す。

 小山さんは「『戦闘』の定義も関係します。部隊を率いる強さか、個人能力の高さなのかでも変わります。上杉謙信は『軍神』といわれているので、1番と判断しています。能力値は、戦いの規模、戦いの質、誰と戦ったかを見て、判断して決めています」と言う。木股さんも「地方と中央で同じ無敗の武将でも、後者のほうを評価する……というのは、あります。ただ単純な能力値が負けていても、戦闘の特性(必殺技)で、実際の強さが変わったりしますから、一概に言えませんね」と付け加える。

 シリーズで武将の能力が大きく変化した例では、出羽の大名・最上義光がいる。最新作の「大志」では武勇が高いが、シリーズの当初は、謀略の能力が高い武将だった。木股さんは「謀略のイメージだったのは、(大河ドラマの)『独眼竜政宗』のイメージでしょう。しかし文献を調べると、義光は、金棒を持ち、大きな石を持ち上げたエピソードがあり、純粋に戦闘が強かったことが分かりました」とその理由を明かす。

 難しいのは一般的なイメージも完全に無視できないことだ。武田信玄は、太っていなかったという説もあるが、小山さんは「事実だとして、信玄のCGをスマートにしちゃうと『誰?』になっちゃう。やはりバランスは大事ですよね」と笑う。イメージは時代に合わせて変わるというのは開発陣の感じるところで、今川義元のCGも最初は公家ふうだったが、シリーズを重ねると武将的にした例もある。将来は、スマートな武田信玄が登場するのかもしれない。

 ◇今度の大名は裏切りを忘れない

 シリーズ最新作「信長の野望・大志」の特徴は、AIを搭載し、個々の大名がそれに即した行動を取ることだ。従来シリーズで、コンピューターが操作する大名は、天下統一を目指し、弱い敵を破って版図を広げ、隣国の兵士数が少なければ攻め込む……というように条件に応じて行動していた。だが今回は、織田信長のように天下統一を目指す大名もいれば、家名存続を優先する大名もいる。小山さんは「ゲームの企画時に、リアルに考えると、全大名が天下統一を目指すことはないだろうと考えたのです」と話した。

 木股さんは「従来は、武田信玄であれば、相手の弱い北関東に領土を延ばす傾向にありました。今回は違います。上杉謙信や今川義元と戦い、東海道を通って上洛(じょうらく)を意識しています。騎馬隊を意識した軍団も編成してきます。信玄と戦っている感覚になると思います」と説明する。他にも謙信は義を重んじ、謙信の周辺の弱小国に、領土拡大を目指して攻め入ると、謙信が弱小国に肩入れし、積極的に援軍を送ってきてプレーヤーの前に立ちはだかるといった具合だ。

 コンピューターの大名は、自分の置かれた立場を学習するのも特徴だ。同盟を破るなど裏切ると、その事実を覚えて、以後の行動に反映される。木股さんは「敵意が無い相手でも、その同盟国を攻めると敵意が上がります。室町幕府と戦争をすると心証が悪くなります。心証が悪くなれば、攻撃されるのはもちろん、外交交渉で聞く耳をもってもらえなくなる可能性もありますね」と説明する。天下統一を目指して、領土を拡大すれば、必然的に敵が多くなるわけだ。

 ◇大名でゲーム内容が劇的変化

 大名の特徴を色付けるのは50種類ある「志」だ。豊臣秀吉の「立身出世」は、「検知」で収穫を増やしたり、人口が増える効果がある。城攻めもうまい。徳川家康の「欣求浄土(ごんぐじょうど)」は、兵士が粘り強く戦い、同盟を結んでいる相手からの支援を期待できる。領土の運営も大名の「志」が影響し、有利なプレー方法が存在する。経済力を高めるか、農業を優先するかで展開が大きく変わる。

 木股さんは「これまでのシリーズは、大名の大小はあっても、似たようなプレーになりがちでした。しかし今回はまるで違います。信長でプレーすると兵農分離を進めると強くなりますし、経済力がカギを握ります。四国の長宗我部元親は兵農分離をしないほうが兵士が強くなります。いろいろな大名で遊びたくなると思いますよ」と自信を見せる。小山さんも「今作は考えることが好きなユーザー向けで、操作はシンプルにしています。ぜひ戦国時代を楽しんでください」とアピールしている。

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