オクラ~迷宮入り事件捜査~
第11話 バディ終焉!最後のねつ造
12月17日(火)放送分
俳優の山崎賢人さんが主演の連続ドラマ「トドメの接吻(キス)」(日本テレビ系)が7日から「日曜ドラマ」枠で放送される。挑発的なタイトル、キスで主人公が死にタイムリープする展開、キャスト発表時に“キスシーン”をリレー形式で公開したことも話題になった。日本テレビの鈴木亜希乃プロデューサーに同作の狙い、見どころなどを聞いた。
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「トドメの接吻」は、「ROOKIES」や「南極大陸」などで知られるいずみ吉紘さんのオリジナルドラマだ。一見優しそうに見えるが、“カネの切れ目が縁の切れ目”という最低のイケメンホスト・旺太郎(山崎さん)は、ホストクラブに来た個人資産100億円ともいわれるホテル王の娘・美尊(新木優子さん)に狙いを定める。ところが旺太郎は、謎の女(門脇麦さん)にいきなりキスをされてしまい死に至る。
だが死んだはずの旺太郎はなぜか目を覚まし、おまけに日付は7日前に戻っていた。聞いたような会話に戸惑いながらも旺太郎は、再び美尊にアタックをかけるが、再び謎の女にキスをされて死んでしまい、再び時間は巻き戻される。謎の女の正体と狙いは何か……というストーリーだ。
プロデューサーの鈴木さんは「日曜ドラマ枠は、エッジの効いた若者向けの作品を作ってきたので、そこに立ち返ることを目指しました。『若者はドラマを見なくなった』といわれますが、『興味がない』といえば違うと思うんです」と話す。そんな中で「既存にないオリジナルドラマを」という思いで作った“野心作”だ。
同作のカギは「キスをすると死ぬ」「タイムリープ」という二つの設定だ。「キス」について鈴木さんは「ここ数年、映画などは恋愛ものが人気ですよね。でも若者が求めているのは、それだけなのかと。そこでキスシーンの概念を壊し、通例を覆そうと思いました。皆が“愛の結晶”と考えるキスを、死に結びつけることを考えたのです」と説明する。鈴木さんの狙い通り、門脇さんが演じる謎の女は、独特の存在感があり、背中がぞくっとするような恐ろしさを視聴者に感じさせる。
そしてもう一つの設定「タイムリープ」は、鈴木さんが挑戦してみたかったテーマだ。台本には、スタッフとキャストで意識をすり合わせるため、「タイムリープ」の時系列表が書かれている。脚本について鈴木さんは「もちろん大変です。オリジナルストーリーですし、『大丈夫』と思っても後から矛盾が出ることがありますから、次の数話が見えないと決定稿が刷れないんですよ」と笑う。
◇「接吻」のタイトルに込められた思い
ドラマのタイトルに「接吻」という古風な言葉を使っている。実は、企画時のタイトル名も正式タイトルと同じだったが、読み方は「キス」でなく「せっぷん」だった。「接吻」を使った理由について鈴木さんは「普通のキスではないからです。ただプロデューサーとしては略称を意識する必要があって、『キス』と読ませて『ドメキス』にするほうが良いと思ったわけです」と語る。
しかし読みを変えても、文字は動かさなかった。鈴木さんは「確かに漢字が難しいという声もありますが、ネットで調べられる時代です。『調べたい』と思わせるぐらい面白いドラマを作るのが我々の仕事で、視聴者を奮い立たせるようなストーリー、雰囲気を作るのが大事だと思います。成功しないなら、ドラマが面白く思ってもらえなかったということでしょう」と自信を見せる。
◇山崎賢人の魅力が「全部出る」
山崎さんが演じるのは、金の切れ目で女性を切り捨てるという“クズ男”だが、何か裏もありそうな意味ありげな主人公だ。鈴木さんは、山崎さんを起用した狙いについて「主人公はクズですが、そこに一番縁遠く、やりそうにない人を当てたかったんです」と話す。さらに「山崎さんは『デスノート』で一緒に仕事をしましたが、まだまだ彼の魅力を出しきれなかったという思いが残っていました。今回のドラマは山崎さんの魅力が全部出るという確信があります」と意気込む。
そして鈴木さんは「山崎さんが演じる旺太郎は、セクシーな面と、三枚目の面があるんです。そして徐々に分かるのですが、旺太郎はある過去を背負っていて、ただのクズではないわけです。彼がゆがんだ原因があって、そういうところを全て演じきって、さらに切ない顔ができる人が欲しかった」と説明する。確かに山崎さんが演じる旺太郎の多彩な表情は、見どころの一つだ。女をもてあそぶクールな役と思いきや、次には情けない面も見せ、そして時折寂しそうな表情を見せる。実に表情豊かで、見ていて楽しい。
そしてネットで話題になったのが、キャストの発表に合わせてキス寸前のシーンを公開した「キスリレー」の企画だ。鈴木さんは「これは宣伝担当が考えてくれたんです。キャスト発表をいつも通りすると普通のドラマにしか見えませんからね。普通のドラマではないのだから『何かないか』と相談したら、すぐアイデアを出してくれたのです。そしてキャストの事務所に相談すると皆がそろって『面白い!』と言ってくれたんですよ」と笑う。
◇王道外して勝負 “爪痕”残したい
鈴木さんは、元々オリジナルのドラマを作りたいと考えていた。そこで好きだった「木更津キャッツアイ」(2002年)のアウトロー路線を意識しつつ「今までにない、王道を外して勝負したい」と考えて企画を出したのが本作だ。ただ異色路線だけに「正直、企画が通るとは思わなかった」「最初は関係者の反応が怖かった」と本音も明かした。それでも脚本を最初に見たときの監督の反応について「『面白い!』と言ってくれて。若いスタッフも同様に面白がってくれます。普通はもっと意見が割れるのに珍しいですよ」と振り返る。
今作の狙いについて鈴木さんは「これまで見たことのないドラマにしたい。若い人たちが10年後に『あれを見ていたね』という作品にしたい。話題作にしたいというのもあるのですが、“爪痕”を残したいと思っています」と意気込む。テーマについて「底辺の人間が成り上がる話なんです。タイムリープを駆使して人生の逆転を狙う内容となります」と話す。異質の「新感覚ラブサスペンス」に視聴者がどう反応するか注目だ。第1話は、午後10時から30分拡大で放送される。
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