名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
2018年に創刊50周年を迎える小学館のマンガ誌「ビッグコミック」の関係者に名作が生まれた裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第2回は長寿マンガ「釣りバカ日誌」で知られる北見けんいちさんが登場。意外にも、連載開始当時は釣りに詳しくなく、「食べるのは肉の方が好き(笑い)」という北見さんに創作の裏側を聞いた。
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「ビッグコミック」が創刊された68年、27歳だった北見さんは故・赤塚不二夫さんのアシスタントを務めていた。創刊当時を「読んでいたよ。白土三平さんも載っていてね。そうそうたるマンガ家が描いていた。憧れだよ。『釣りバカ』が始まったのが40歳だからね。夢の夢だよ。マンガがダメだったら、車の運転が好きだから、タクシーの運転手かな?なんて思っていた」と振り返る。
「釣りバカ」の連載がスタートしたのは79年で、やまさき十三さんが原作を担当し、北見さんがマンガを描くというスタイルは現在も続いている。当時は「担当編集が釣りが好きだった。釣りマンガがヒットしていて、当時は釣り人口も多かった」といい、釣りマンガを描くことになった。そもそものプロットは「釣りが好きで、会社、家族から疎んじられ、離婚して、会社をクビになって、四国で釣り具屋さんになり、いい人生だった」というもので「これは長くないなあ……」と感じていたが、長寿作になるのだから、何が起こるか分からない。
「釣りバカ」は北見さんの代表作だが、連載開始当時は「十三さんもオレも釣りをそんなに知らなかった」というから驚きだ。マンガを描くために取材で釣りにも挑戦したというが、「食べるのは肉の方が好き(笑い)」と明かす。
「釣りバカ」は釣りマンガであり、サラリーマンマンガでもある。しかし、北見さんは「高校を出て、大きな会社に就職したけど、3カ月でサラリーマンを辞めているからね。十三さんもオレもサラリーマン経験がそんなにないんだよ」という。「2代目の担当編集が釣りを全然やらなかった。サラリーマンものにしたら?という話だったんだ。編集と十三さんで話を作って、スーさん(主人公の浜崎伝助が勤める鈴木建設の鈴木一之助社長)を出したんだ。そうしたら人気が出た」と語る。
「釣りバカ」は、ベッドシーンを「合体」という文字のみで表現したことも斬新で、実写映画版でも名物になった。合体の誕生については「(ベッドシーンは)描けないよ!?となり、どうしてもダメで、じゃあ字でやってしまおう!ってね。担当編集がアドバイスしてくれたの。当時は、合体ロボットもはやっていたしね」と明かす。
釣り、サラリーマンの経験がほとんどなかったのにかかわらず「釣りバカ」はヒットし、長寿作になった。「面白いよね。十三さんの原作、担当編集のお陰。絵は見よう見まねで描いているからね。不思議なことに、キャラクターが語り出すんだ。描いていると、伝助の『オレはこんなこと言わない』などと声が聞こえてくる。キャラクターが実在するようにね。それに、映画が大きいんだよ。あれがあって今まで続いている。最近も濱田岳でドラマをやったりね」と話す。
北見さんは「ビッグコミック」では「サッチモ」「福ちゃん」「まいど! 南大阪信用金庫」などを描き、現在は「北見けんいちの昭和トラベラー」を連載している。「昭和トラベラー」は、昭和の懐かしい風景を描く連載で、美しい色が印象的だ。北見さんは、赤塚さんのアシスタントになる以前、写真店を経営していて「昔は、写真が仕事で、暗室でマンガを描いていた。マンガが趣味だった。今は逆転した」という。その経験がマンガに生きているといい、「視覚的なものって覚えているんだよな。モノクロ写真を見ても、色を思い出すもんなあ」と話す。
「オレは下手だからね。見よう見まねで描いている。赤塚先生と滝田ゆうさんを混ぜて描いているようなもの。『釣りバカ」が始まったとき、同じ顔が描けなくてね。人生ずっと勉強でしょ。同じ顔がいつでも描けるようにならないと」と笑顔で語る北見さん。“ビッグ”も勉強中……。惰性にならず、続けられるからこそ、長寿作が生まれるのかもしれない。
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