麻生久美子:「今年はインプットの年に」 読みたい本は?

劇場版ストップモーションアニメ「ぼくの名前はズッキーニ」の日本語吹き替え版に声で出演した麻生久美子さん
1 / 13
劇場版ストップモーションアニメ「ぼくの名前はズッキーニ」の日本語吹き替え版に声で出演した麻生久美子さん

 スイス・フランスの合作アニメーション「ぼくの名前はズッキーニ」(クロード・バラス監督、公開中)の日本語吹替え版で声の出演を果たした女優の麻生久美子さん。麻生さんは、主人公ズッキーニが一目ぼれする少女カミーユを演じた。少女役のオファーに驚いたものの、「すごくうれしかった」と語る麻生さんに、喜んだ理由や今年の抱負などを聞いた。

あなたにオススメ

 ◇孤児院の話と聞き……

 「ぼくの名前はズッキーニ」は、母を亡くし孤児院に預けられた9歳の少年ズッキーニが、一緒に暮らす子供たちと成長していく姿を描き、2016年のアヌシー国際アニメーションフェスティバルで最優秀作品賞・観客賞をダブル受賞した。ズッキーニの声を、俳優としても活躍するロックバンド「銀杏BOYZ」の峯田和伸さんが担当しているほか、ズッキーニのことを気にかける心優しい警察官レイモンを、俳優、イラストレーター、小説家などマルチな才能を発揮するリリー・フランキーさんが演じている。

 麻生さんが演じたカミーユは10歳の女の子で、お金のためにカミーユを引き取ろうとする叔母に抵抗するという役どころだ。オファーが来たときは、「孤児院の話と聞いて、かわいそうなお話なのだろうなと多少構えた」という麻生さん。実際に作品を見ると悲惨さは想像以上で、「子供たちそれぞれの背景が重すぎて、胸にずしりとくるところがありました」と感想を語る。

 しかし、見進めるうちに、「絵もきれいでしたし、子供たち同士の関わり方などがほほ笑ましくもあった」ため、見終えたころには「子供たちの明るい未来を想像して終われるような、応援したくなるような話で、いい映画だな」と素直に思えたという。

 ◇10歳の少女の役に「イェーイ!」

 麻生さんはこれまで、劇場版アニメ「バケモノの子」(2015年)での主人公の母役や、「百日紅~Miss HOKUSAI~」(15年)での花魁(おいらん)役など、年齢にふさわしいキャラクターを演じたことはあったが、少女役は初めて。そのため、オファーが来たときは内心、「えっ、私でいいんですか?」と驚いたという。それでも、日ごろから「できるだけ自分から遠い、離れた役をやってみたかった」こともあり、「今回は10歳の女の子だ。子供だ。イェーイ!(笑い)」と喜んだという。

 自分から離れた役をやりたかったのには理由がある。「私が工夫すればいいだけの話かもしれないのですが……」と麻生さん。「自分(の年齢)に近いと、自分のままの声を求められるというか……私の声はちょっと特徴的なので、私が声をやらせていただくことで、(自分の)顔がぱっと浮かんできちゃうのではないかと思っているんです。できるだけそういうものにしたくなかったので、すごく作り込んだ声を出して、お芝居することに挑戦してみたかったんです」と明かす。

 ◇自分のための時間を5分捻出するのにも苦労

 2018年に入ってすでに2月。「もう2月!? 早いですね。あっという間ですね」と、時の流れの速さに驚く麻生さん。今年の抱負を尋ねると、少し考えてから「インプットの年にしたいです」と答えた。

 女優として、妻として、5歳と1歳の2児の母として、多忙な日々が続く。「忙し過ぎてインプットする時間がないんです。いろんなものを見たいし、聞きたいし、やりたいし、そういう欲があるんですが、そのための時間を5分捻出するのも難しい。寝なければいいんですけど、それはねえ……(笑い)。ですから、そういう時間をなんとか作れたらいいなと思っています」と前向きに語る。

 具体的にこれ、というのはなく、「なんでもいいんです。自分が興味あるもの。私、興味あることがいっぱいあるので、本を読んだり、映画を見たり、ドラマを見たり、落語を聞いたり、そういうことがしたいです。あとは、手をちょっと動かしてお裁縫とか……」とやりたいことがどんどんあふれてくる様子。

 例えば、読みたい本を挙げてもらうと、「ジャンルで答えてしまうのですが、ファンタジーです。(『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズで知られる作家)上橋菜穂子さんの小説が面白いですね。そういう、現実から遠い世界にトリップできるような本が読みたいです」と目を輝かせる。他にも、「仕事に必要だと自分が思えるような小説やノンフィクションを読みたいと思っています」と視野を広げることにも余念がない。

 ひところ歴史好きの女性が話題になり「歴女」なる言葉が生まれたが、麻生さん自身、歴史は、「詳しくないです。好きとはいえないですね(笑い)」としながら、「でも、(マンガの)『キングダム』は中国の歴史ものですね」と「キングダム」の愛読者であることを明かす。その「キングダム」と「7SEEDS」が、「今、ハマっている2大マンガ」で、「たまに見つけた隙間の時間やちょっと空いた5分」に読んでいるそうだ。

 次回は、印象に残るシーンや、声の収録のエピソードについて聞く。

 <プロフィル>

 あそう・くみこ。1978年6月17日生まれ。千葉県出身。1995年の映画「BAD GUY BEACH」で映画デビュー。98年の「カンゾー先生」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞をはじめ、数々の映画賞を受賞した。最近の映画出演作に「グッモーエビアン!」(12年)、「ばしゃ馬さんとビッグマウス」(13年)、「ラブ&ピース」(15年)、「俳優 亀岡拓次」(16年)など。待機作として9月28日公開の「散り椿」(木村大作監督)がある。

写真を見る全 13 枚

映画 最新記事