俳優のヒュー・ジャックマンさん主演のミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」(マイケル・グレイシー監督)が16日に公開された。PRのために、ジャックマンさんと、女優のキアラ・セトルさんが来日。14日に東京都内で会見を行った。ジャックマンさんは、19世紀半ばの米国で、ショービジネスの原点を築いた伝説の興行師P.T.バーナムを、セトルさんはバーナムがスカウトするパフォーマー、レティ・ルッツを演じている。
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――レティ・ルッツ役はキアラさん以外は考えられないとおっしゃっるヒューさんのコメントを聞いて、キアラさんはどう感じますか。
セトルさん:私の技量とは関係なく、私の隣に座っている人(ジャックマンさん)は、私が自分でさえも気づいていなかった可能性を引き出してくれました。私がこうしてここにいられるのも、この映画に参加できたのも、曲について泣いたりできるのも、毎日この曲を歌うことに、もがき戦っていられるのも、すべて、この隣にいる彼の“せい”なんです。だから私、「全部、あなたのせいよ、ヒュー・ジャックマン」というTシャツを作りました(笑い)。
彼は、このプロジェクトに8、9年かけました。最初に会ったときから、この映画を作るにはこの方法しかないのだと、情熱を持って取り組んでいました。
彼のことはとても尊敬しています。撮影しているときでも、していないときでも、こうして記者会見をしているときでも、食事をしているときでも、兄のような存在です。どんな困難に遭遇しても必ず立ち上がる。そして、自分一人が立ち上がるのではなく、周りにいる、できるだけ多くの人も引っ張り上げてくれる、そういう本当に奇跡的な人です。そして、私も彼のようになりたいと努力しています。本当に最高の人で、彼と一緒にいられて幸せです。
ジャックマンさん:今、言ったことは全部録音されているよね。コピーください(笑い)。
――ヒューさんに質問です。歌とダンスのレッスンをどのくらいしたのでしょう。そして、お気に入りの曲は?
ジャックマンさん:(お気に入りは)やはり、「This Is Me」と言わざるを得ないですね。キアラが現場であれを歌ったときは、モニターを見ながら私は泣きました。全部の曲が好きですが、その中でもやはり一番好きです。
ジャスティン(・ポール)とベンジ(・パセック)は、いろんないい曲を作ってくれました。日によって好きな曲は変わりますが、でも、キアラの歌い方は、心を素直に表現している。人間とはどういうものかということを歌っているし、歌詞がまた素晴らしい。もがきながらも正直でいるということ。良いことに関して正直であることは簡単ですが、恥じることや失敗に関しては、正直でいられないことが多い。キアラが歌い、また話すときは、本当に、彼女の口から心がそのまま表れています。
昨日の朝、彼女がテレビで歌うのを見たし、夜も見ました。映画を見ても毎回感動します。本当に、生きていることを実感させてくれるし、生きることは大変だけど、生きる甲斐(かい)はある、そういう気にさせてくれるのです。
セトルさん:私にも補足させてください。「グレイテスト・ショーマン」の最後の数週間の撮影のとき、ヒューは「LOGAN/ローガン」(2017年)のプレスツアー中で世界中を旅していました。その合間に撮影に戻ってきて、最後のテントのシーンを撮っていたのです。(ツアーから)戻って来るとヒューは、つえとトップハットを手に、すべてのダンスナンバーのステップを練習していました。彼は気付いていなかったかもしれませんが、私たちはそれを見ていました。その中で、彼はすべての曲のニュアンスをつかもうと、たった一人でコツコツと練習していたのです。ウルヴァリンをやっている人と同じ人とは思えませんでした。それほど努力をしている彼を見て、私たちは驚きました。そして、みんなで毎日、彼みたいになりたいといいながら練習していました。本当に彼は真のアーティストだと思います。信じられないほど素晴らしいアーティストです!
――ヒューさん、最後にメッセージをお願いします。
ジャックマンさん:この素晴らしい映画を皆さんに持って来られてうれしく思います。8年がかりのプロジェクトで、心を込めて作りました。私の誇りです。映画を見たときに、歌いたくなったり、踊りたくなったり、また、笑顔になると思いますが、その笑顔は表面的なものではなく、心の中から生まれるものだと思います。本当に、人生を肯定し、祝福している作品です。映画をぜひ楽しんでください。ありがとうございました。
<ヒュー・ジャックマンさんのプロフィル>
1968年生まれ。豪シドニー出身。「X-メン」(2000年)のウルヴァリン役で人気スターとしての地位を獲得。それに続く「X-MEN」シリーズ(03、06、09、11、13、14、16年)、さらに「LOGAN/ローガン」(17年)に出演。ほかに、「オーストラリア」(08年)、「リアル・スティール」(11年)、「レ・ミゼラブル」(12年)、「プリズナーズ」(13年)、「PAN~ネバーランド、夢のはじまり~」(15年)などがある。2004年、ブロードウェーミュージカル「ザ・ボーイ・フロム・オズ」でトニー賞ミュージカル部門最優秀男優賞を獲得。12年には長年の功績を評価され特別賞を贈られた。
<キアラ・セトルさんのプロフィル>
1975年生まれ。米ハワイ出身。2011年に「プリシラ」のミュージカル版でデビューし、以来ブロードウェーミュージカルで活躍している。14年には1年間「レ・ミゼラブル」のリバイバル公演にマダム・テナルディエ役で出演。16年開幕のミュージカル版「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」ではウエートレスのベッキーを演じた。映画は「幸せをつかむ歌」(15年)に続いて今作が2作目。
(取材・文・撮影:りんたいこ/フリーライター)
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