中川大志:実写「坂道のアポロン」で千太郎役 「先を走り続けていくような」キャラクターに

映画「坂道のアポロン」で川渕千太郎を演じた中川大志さん
1 / 11
映画「坂道のアポロン」で川渕千太郎を演じた中川大志さん

 人気グループ「Hey!Say!JUMP」の知念侑李さんの主演で、小玉ユキさんのマンガを実写化した映画「坂道のアポロン」(三木孝浩監督)が、10日に公開された。知念さん演じる主人公の西見薫とジャズを通じて友情を深めていく川渕千太郎を演じたのが、俳優の中川大志さん。千太郎を演じる上で「周囲をかき乱すような、先を走り続けていくようなキャラクター」を目指したという中川さんに千太郎の魅力や撮影のエピソードなどを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇千太郎は自分にとって「チャレンジングな役」

 「坂道のアポロン」は、「月刊flowers」(小学館)の2007年11月号~12年3月号に連載され、「このマンガがすごい!2009」のオンナ編で1位を獲得した小玉さんの人気マンガが原作。都会から長崎県佐世保市に引っ越してきた転校生で、周囲に心を閉ざしがちな主人公・西見薫(知念さん)が、荒くれ者の川渕千太郎(中川さん)や、千太郎の幼なじみの迎律子(小松菜奈さん)と出会い、成長していく姿を描いた。ジャズがテーマで、薫や千太郎が音楽活動を通じて友情を深めていく。

 最初に「ドラムを演奏する役がある」と聞いた時、中川さんはすぐに「やりたいです」と答えたという。「結構音楽が好きで、楽器を演奏する役をやってみたいという思いがあったんです。2年ぐらいドラムを習っていたこともあって、お話をいただいたときは『まさか役でドラムがたたけるなんて』と思って、『やりたいです』と言いました」と振り返る。

 中川さんが演じた千太郎は、豪快で男らしく、ジャズに熱い情熱を傾けるキャラクター。中川さんは原作のマンガ読み、「正直言うと、なんで千太郎の役が僕のところに来たんだろうかと思うぐらい、自分とはイメージの違うキャラクターだった」といい、「すごくチャレンジングな役を僕に任せていただけるのはすごくうれしかった」と話す。

 中川さんは千太郎の魅力を「けんかばっかりしていて誰もが近づきにくい不良で、豪快な男というイメージなんですけど、実はすごく可愛らしいピュアな部分があったり、弟たちを可愛がる優しさや不器用さもある。全然完璧じゃないけど、ブレない芯の強さがある」と表現する。演じる上では「僕が初めてマンガを読んだ時に感じた千太郎の魅力にちょっとでも近付けていきたい」という気持ちで臨んだという。
 
 ◇ジャズセッションでは「キュンキュンする」ことも

 千太郎と薫の関係性については、「2人は“静”と“動”というか、真逆なキャラクター。千太郎は、バッと現れてバッと去って行くような、周囲をかき乱して、走り出したら止まらない。先を走り続けて、映画を見ているお客さんをも巻き込んでいくようなキャラクターにしたいと思いました」と語る。

 今作は、薫のピアノと千太郎のドラムの掛け合いが繰り広げられるジャズの演奏シーンも見どころの一つになっている。中川さんは演奏シーンの撮影にあたり、約10カ月の練習を積んだ。中でも、2人の友情がジャズセッションという形で表現される学校の文化祭のシーンは「思い出深いシーン」だという。

 中川さんは「あそこは演奏的な難しさも山場でしたし、作品としても中盤の盛り上がりの場面。演じていて、すごく楽しかった」と話す。セッションの際は「目線のやりとり」を大事にしたといい、「知念君と2人で『ここは目線を合わせていこう』と決めていた部分はあったんですけど、お互い決めていないところでパッと目が合う時があるんです。その時はめちゃくちゃテンションが上がるんですよね。目が合った時にすごくうれしくて、キュンキュンするんです」とうれしそうに語った。

 ◇中川大志の“一生もの”の出会いとは?

 「坂道のアポロン」では、薫と千太郎、律子の3人の出会いが運命を変える“一生もの”の出会いとして描かれる。中川さんに「運命を変えた出会い」を聞くと、「スカウトをされた時かなと思います」という答えが返ってきた。「小学校4年生ぐらいの時に、親と一緒に原宿を歩いていたら、スーツを着た男性に声をかけられて『興味ありませんか?』と名刺を渡されたんです。当時は子供ながらに『親が怪しい人にからまれてるな』と思いましたね」と笑いながら振り返る。

 その際は、誘いを断ったそうだが、数週間後に原宿で再び同じ男性に声をかけられたという。「その時はさすがに運命を感じましたね。それから習い事が一つ増えるぐらいの感覚で始めた仕事を今も続けているので、あの時、声をかけられなかったら、また違う人生だったのかなと思います。今はこの仕事以外の仕事をしている自分は想像が付かないですけどね」と笑顔で語った。

 そんな中川さんが“チャレンジ”として臨んだ「坂道のアポロン」。中川さんの新たな魅力が感じられるはずだ。

 <プロフィル>

 なかがわ・たいし 1998年6月14日生まれ。東京都出身。2009年に俳優デビュー。「半次郎」(10年)で映画初出演。主な出演ドラマに「家政婦のミタ」(11年)、「GTO」(12年)、「夜行観覧車」(13年)、NHK大河ドラマ「真田丸」(16年)など。「南くんの恋人~my little lover~」(15~16年)では主演を務めた。主な出演映画に「四月は君の嘘」(16年)、「きょうのキラ君」「ReLIFEリライフ」(共に17年)など。18年は「坂道のアポロン」の公開後、「虹色デイズ」が7月6日に公開される。

写真を見る全 11 枚

映画 最新記事