青木志貴の魔王式随想:「誰も死ななくていい優しいRPG」

青木志貴さん
1 / 12
青木志貴さん

 人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる新人声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。

ウナギノボリ

 ◇

 こんにちは! ボクのコラムを読んでくださっている方の中には、きっとボクと同じようにゲームが大好きな方がいらっしゃると思います。ゲームじゃなくても例えば映画や、マンガや、アニメなど、何かとても自分に大きな影響を与えてくれたり、感動を与えてくれた作品ってあるのではないかと思います。ボクにももちろんそういったゲーム作品があります。

 ボクは小さい頃からずっとゲームばかりしていたというのは、このコラムを読んでくださっている皆さんならご存じだと思いますが、高校生くらいからはずっとオンラインゲームや対戦系のゲームなどを好んでプレーすることが多くなっていました。

 もちろんオンラインゲームなどでもストーリーがあり、とても良いストーリーだったりはするのですが、どうしても対戦するタイプのゲームだったりすると、ストーリーよりもゲーム性重視だったりしてしまうので、ゲームのストーリーで本当に心から感動して、泣いたり笑ったり、影響を受けたりすることが少なくなっていました。

 そんなボクですが、先日、ボクのゲーム人生の中でナンバーワンだ!と思えるゲームに出合ってしまいました。

 それは「Undertale」というゲームです。発売自体は2015年なので、最新の作品というわけではないのです。ただ発売されてからとても話題になっていたゲームなので、プレーこそしてませんでしたが、その存在は知っていました。

 なぜその時すぐプレーせず、今さら時間がたってからプレーしたのか。ボクはひねくれ者なので、はやっていたり人気の作品をあえて避けてしまう傾向にあるんです。

 これはゲームに限らず映画とかマンガもそうで、すごい話題作だとあまり興味が持てないんです。しかしながらこのUndertaleは発売からもうしばらくたっていること、そして何よりゲームコンセプトに引かれたんです。

 「誰も死ななくていい優しいRPG」。

 誰も死ななくていい?正直RPGというかゲーム全般に対して言えることですが、敵を倒すのが目的で、敵を倒して経験値を稼いで強くなって……みたいなものが普通です。だから誰も死ななくていい、というのが本当に気になったんです。

 そんなこんなで始めたボクのUndertale。先日チャンネル開設から一周年を迎えた僕のTwitchオフィシャルチャンネルで、配信をしながらプレーしました(気になる方はぜひアーカイブでプレー動画を見てね!とちょっと宣伝)。

 グラフィック自体はとてもシンプルでレトロなドットで描かれた作品。主人公のボクがモンスターの住む地底の世界へ落ちてしまったところから始まります。ゲーム開始からすぐに「なんだそれ!?」と驚かされる展開もあり、優しいはずのRPGなのに、そのせいでボクは結構モンスターたちを疑いながら進んでいったり……(笑い)。

 最初は疑って、信用できなかったモンスターたちとも、交流して戦っていくうちにいつの間にか大好きになっていて。このゲームはストーリー本線以外にも面白い遊び心満載な演出や隠し要素があるところが大好きなポイントのひとつ。ボクはそういったストーリーから脱線した小ネタなんかがあるゲームが大好きなので、すぐこのゲームのとりこになっていました。

 マルチエンディングなので、自分の選択で物語やモンスターたちの会話が違ってきたりして、本当に自分がその世界で生きている感覚にさせられました。とにかく本当に入り込んでしまったんです。

そのせいか、とにかく途中の演出やエンディングではもうボロ泣きで……(笑い)。配信中にも関わらず、こんなに涙でボロボロになりながらプレーしたゲームは本当に久しぶりでした。

 クリア後までプレーヤーの心を突いてくる演出があったりして……。本当にすごいゲームだと思いますし、正直ゲームでこんなに心を動かされたのは本当に久しぶりだったので、クリアしてもずっと興奮が冷めず(笑い)。間違いなくボクのゲーム人生で一番感動したゲームだといえます。

 ストーリー自体はとても王道だと思うのですが、こんなにも「登場キャラクター全員」を大好きだと思えるゲームって、他にないんじゃないかなぁ。そして発売されてすぐプレーしなかった自分を恨みましたね。もっとはやくこの作品に出合いたかった……と本気で思いました。

 ひねくれ者のボクですが、やはり話題になる作品は話題になるだけの力があるんだと考えを改めさせられました。ネタバレになってしまうのでストーリーなどについては細かく書きませんが、とにかくやったことない人にはぜひプレーしてほしいです。

 自分で少しでもやってみようかなって気持ちがある方は、プレー動画とかネタバレは見ないでほしい。プレーしてからというもの、ボクの頭の中はずっとUndertaleでいっぱいなので、同じようなファンが増えてくれてるとうれしいです。

 そしてこのゲームの魅力として欠かせないのが音楽。とにかくゲーム内のどのBGMも素晴らしいんです。どのゲームにも「これは神曲!!」みたいなものってひとつは存在すると思うんです。でもこのゲームは神曲が多すぎる!! どの戦闘も、フィールドの曲も、とにかく良い曲が多すぎて好きな曲をひとつ選んでと言われても選べないんです!それくらい曲が良い。

 ボクは気に入ったゲームは大体サントラも買うタイプの人間なのですが、Undertaleに関しては既にサントラは二つ持っています(笑い)。ゲーム自体も4本ありますし、グッズもたくさん買いました(そしてこれからもまだ買うつもりです)。

 とにかくどこを切り取っても素晴らしいゲームだとボクは感じました。さきほども言いましたが、出てくるキャラクターひとりひとりをこんなにも愛せる作品って、本当にまれだと思うんです。そんな魅力的なキャラクターを生み出してくれたことにも感謝ですし、なによりそんなキャラクターたちの魅力を何倍にも引き出せるストーリーを創り上げてくださったことにも感謝しかありません。

 そしてこのゲームに出合えたことに、何よりも感謝です。「ゲーム」って本当に素晴らしいコンテンツだなって再確認しましたし、心から「プレーしてよかった」と思うゲームでした。

 ちなみに、ボクの一番の推しはアンダインです。もちろん、みんな大好きなので一番誰がすきって聞かれると難しいんですけどね……。このUndertaleというゲームのお陰で、ずーーーっとお休みがちだったオタク活動を本格的に再開しそうな予感……(笑い)。もしコミケやオンリーイベントなどでオタク活動にいそしむ青木さんを見かけた方は、生暖かい目で見守ってやってください……。

 ◇プロフィル

 あおき・しき=1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。

写真を見る全 12 枚

アニメ 最新記事