今年、創刊50周年のマンガ誌「ビッグコミック」(小学館)の関係者に、名作の生まれた裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第8回は、「カムイ伝」などで知られる白土三平さんが登場。紙芝居を描いていた時代、生活の一部だという狩猟、気になる「カムイ伝 第三部」などについて聞いた。
ウナギノボリ
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1968年に発売された「ビッグコミック」の創刊号は、白土さんの「野犬」が巻頭を飾った。そもそも同作は「ビッグコミック」向けに描かれたわけではなく、少年向け雑誌「ボーイズライフ」(小学館)のために描かれたが、掲載が見送られていた。その後、白土さんは「ビッグコミック」では88~2000年に「カムイ伝 第二部」を連載したほか、「バッコス」「ペンテウス」など「神話伝説」シリーズも描いた。
そもそも白土さんは紙芝居出身だ。「紙芝居が出発点だから。葛飾のともだち会という集まりで、紙芝居を描いていた。(『少年ケニヤ』の)山川惣治さんの模写や彩色の仕事もしました。関西から、水木しげるさんやさいとう・たかをさんが来てね。だんだん、手塚治虫のようなマンガが主流になってきた。手塚さんは少女歌劇団の宝塚市の出身だから、ストーリーを描くのに慣れていたのかな。手塚さんから学ばないと描けなかった」と振り返る。
白土さんは伝説のマンガ家だ。「カムイ伝 第二部」に続く「第三部」を期待するファンも多いが「今は生きるのに精いっぱいですよ(笑い)」と話す。マンガの話を聞こうとすると「マンガを描くのは面白いですよ」と話しながら、生活の一部という狩猟の話題になる。白土さんは戦中、長野県に疎開し、山の狩猟を覚えた。その後は千葉の海でもりを手に魚介類を捕獲してきた。
「あれ(狩猟)をやると、やめられない。タヌキは肛門の周りが独特の匂いがして、メスを引き寄せる。それがマズい。鹿は背中のトロ(背ロース)がうまい。一回食ったらやめられない。猿とうり坊(イノシシ)以外は何でも食いましたよ。動物を捕って食うには、命を懸けるか。だから、若返るんですよ」と語る。白土さんが描く動物が生々しく、迫力があるのは、自身の経験が影響しているのかもしれない。
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