高森朝雄(梶原一騎)さん原作、ちばてつやさん画のマンガ「あしたのジョー」が連載開始50周年を迎えることを記念した展覧会「あしたのジョー展」の内覧会が27日、東京ソラマチの「スペース 634」(東京都墨田区)で行われた。内覧会にはちばさんが登場し、原作の梶原さんが「『巨人の星』はスポ根。『あしたのジョー』では文学を描きたい」と話していたと明かし、「あの人は作家になりたい人だった。もしかしたら、私のマンガを通じて文学を書いていたのかな」と回顧した。
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ちばさんは「梶原さんのそういう気持ちが私に乗り移って、ただのスポ根ではない、人間の葛藤とか生き様を描いた作品になった」とコメント。さらに、「挫折する人間もたくさん出てきますよね。それから、影の暗い部分でしか生きられない人間もたくさん出てきます。梶原さんがそういう人たちをたくさん書いてくれたんで、私はジョーとか、紀子とか、ドヤ街の人たちとか、昼間に明るい太陽の下を歩く人たちを、もっともっと輝いて描けたんじゃないかなと思います」と思いを語った。
内覧会で「好きなキャラクターは?」という質問が出ると、ちばさんは「誰を好きと言っても、みんなすねると思うんです」と笑顔を見せ、「描いていて楽しかったのは、ドヤ街の子供たち。それから、西がうどんを食っていたりするでしょ。あれは自分を描いているんですよね。私はジョーみたいに生きられない。こうなっちゃうだろうなという姿を描いてしまった」と明かした。
さらに「いろんな意味ですごく親しみを持てるのは西とか、ドヤ街の人たちですね。ジョーは、『あんなふうに生きられたらいいだろうな。でも無理だろうな』と思いながら描いていました」と振り返っていた。内覧会には、「メガロボクス」に声優として出演している細谷佳正さん、安元洋貴さんも登場した。
同展は、「あしたのジョー」のマンガやアニメの原画など約150点を展示。高森さんの息子・城さん、ちばさんが厳選した15の場面の原画がコメント付きで展示され、ジョー対力石の試合の名場面やカラー原画も登場する。マンガの名シーンをまとめたオリジナル動画も初公開される。また、現在放送中の「あしたのジョー」が原案のテレビアニメ「メガロボクス」の制作資料も展示される。
「あしたのジョー」は、マンガ誌「週刊少年マガジン」(講談社)1968年1月1日号で連載スタート。コミックスの累計発行部数は2000万部以上を誇り、これまでもアニメ化、実写映画化されてきた。身寄りのない矢吹丈がボクシングと出会い、やがて運命のライバル・力石徹と共に、プロボクシングで己の生命を燃焼させていく……というストーリー。同作を原案としたテレビアニメ「メガロボクス」が放送中。展覧会は28日~5月6日午前10時~午後6時に開催。当日券は一般・大学生が1200円、高校・中学生が800円、小学生以下は無料。
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