ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、人気野球マンガ「MAJOR(メジャー)」の続編が原作のテレビアニメ「MAJOR 2nd(メジャーセカンド)」です。NHKエンタープライズの苗代憲一郎チーフプロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。
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――作品の概要と魅力は?
「メジャーセカンド」は、2004~10年に放送された大ヒット野球アニメ「メジャー」の続編にあたります。前作「メジャー」の主人公だった茂野吾郎の息子・大吾が今回の新たな主人公です。
お父さんの吾郎は、少年時代から投打に活躍し、いくつもの壁やケガを乗り越えて、ワールドシリーズ制覇まで果たしたスーパースターなのですが、大吾は、父ほどのズバ抜けた才能があるわけではなく、逆にメジャーリーガー2世としてのコンプレックスを抱えながら少年野球の道に踏み出します。
そうした等身大の主人公が、仲間やライバルに囲まれながら、少しずつ成長していく姿は、前作「メジャー」とは違ったテイストで、前作を知らなくても単体の野球アニメ、青春アニメとして楽しめる、という魅力があると思います。
――アニメにするときに心がけたことは?
「メジャーセカンド」自体には、満田拓也先生の原作マンガがありますので、前作「メジャー」時代のキャラクターが、父親、母親になっているとか、いつの間にか貫禄がついて(笑い)少年野球の監督やコーチになっているとか、以前からのファンが思わずニヤリとしてしまう、そもそものストーリーになっています。とはいえ、特に小中学生のみなさんは前作を知らない方も多いでしょうから、自然な形で前作「メジャー」の名シーンが回想できるように工夫はしています。
「メジャーセカンド」のアニメ脚本家は4人体制なのですが、土屋理敬さん、末永光代さんは前作でも執筆されたお二人で、古怒田健志さん、山下憲一さんは今回、新たに加わっていただいたお二人です。そういったバランスのとれた視点で「前作の〇〇をオマージュしたい」とか「ここは初見の視聴者には分からない」とか議論をしながら、ストーリーが作られています。
――作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?
「メジャーセカンド」のイベント、取材などで、各地の球場などに伺うことも多いのですが、親子で楽しんで見ていただいている方々がたくさんいらっしゃって感謝しております。前作の中心人物、茂野吾郎と佐藤寿也も、それぞれ魅力的な父親になっていて、そこにハートをつかまれるママ世代もいらっしゃるようで、ぜひご家族で楽しんでいただきたいです。
アニメ化する上で、毎回スタッフが気を使っているのは、リアルな野球描写の部分でしょうか。「メジャーセカンド」は少年野球が舞台ですし、なるべく実際の野球シーンや規則を土台にはしていますが、あまり厳密過ぎてもアニメとして成立しなくなってしまいます。例えば、一塁にランナーを背負った右ピッチャーを写すとしたら、アングルによっては、ランナーのほか、自チームのファースト、塁審やベースコーチ、さらにはベンチや観客とかが背景にいるわけです。場面に応じて、ピッチャーだけを描くか、画面に誰と誰を置くか、というのは物語の見せどころですので、監督や演出スタッフたちが議論を重ねていますね。
心理描写やかけひき、ベンチワークなどで、アニメの中では試合が度々止まりますが、実際は、選手が集まって相談したり、監督、伝令がマウンドに行ったり、タイムの回数なども、地域や大会ごとに制限があります。アニメのようにドラマチックにやっていると怒られてしまうはずです(笑い)。
そういったアニメ的なデフォルメは避けられませんが、特に今回はキャッチャーが主人公なので、強打の名捕手だった里崎智也さん(元千葉ロッテ・日本代表)にお願いして、バッテリーの描写やプレーの実演などアドバイスいただき、制作に力を貸していただいています。
――今後の見どころを教えてください。
「メジャーセカンド」の大きな魅力の一つは、チームスポーツならではの群像劇だということです。もちろん、主人公は大吾なのですが、エースを目指す佐藤光、レギュラーバッテリーの卜部(うらべ)隼人と鈴木アンディにもそれぞれユニークな物語があり、ほかのチームメートの奮闘も原作より時間を割いて描写するようにしています。
そして、実は前作もそうだったのですが、「メジャーセカンド」もたくさんの小中学生の女子が毎週視聴してくださっています。そんな女性ファンの皆さんにも今後期待していただきたいのは、大吾や光の同級生・佐倉睦子(むつこ)の活躍です。
睦子はヒロインなのですが、まだ(5月放送時点)本格的に野球を始めていません。既にアニメをご覧になっていただいている皆さんは、ちょっとしたシーンで睦子の運動能力を見抜いているかもしれませんが!? そんな睦子が大吾や光に影響され、どのように野球に触れていくのか。そして、どのような活躍をみせるのか、注目していただければ幸いです。
――ファンへ一言お願いします。
私も含めて、プロデューサー陣は野球やサッカーなど学生時代に経験しているので、スポーツがたださわやかで健全なものではなく(苦笑)、大吾のようにコンプレックスがあったり、チームメートといざこざがあったり、家族との関係に悩んだり、ネガティブな側面があることを体験しています。
そういった意味で、前作も含めて「メジャーセカンド」は、決してきれいごとだけでない人間同士のドラマが展開されていて、野球を知らない視聴者の方々でも感情移入できる部分が多々あると思っています。引き続き、大吾、光、睦子たちの物語を老若男女の皆さんにぜひ楽しんでいただきたいです。
NHKエンタープライズ チーフプロデューサー 苗代憲一郎
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