女優の松岡茉優さんが2日、早稲田大学(東京都新宿区)で行われた講義「マスターズ・オブ・シネマ」に、映画「万引き家族」の是枝裕和監督と出席した。松岡さんは、同作で共演した安藤サクラさんと樹木希林さんについて「ドラゴンと恐竜。私はトカゲみたいなもの」と表現し、「希林さんは俳優の中で伝説的な存在。安藤さんは絶望的な存在だった。うそでしょっていうぐらい、安藤さんはこの映画で絶望的な演技をされている」とその演技力を絶賛していた。
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映画は、先月に開かれた「第71回カンヌ国際映画祭」で最高賞のパルムドールを受賞。松岡さん、安藤さん、樹木さん、是枝監督らはレッドカーペットイベントにも参加した。松岡さんは、レッドカーペットイベントで「安藤さんと『赤いじゅうたんを(一緒に)歩けるのか?』と思ってしまった」と恐縮したことを明かし、「安藤さんとは10歳ぐらい違うのですが、10年後の私が(今の)安藤さんのレベルに達しているのか。10年後に肩を並べて(安藤さんと)一緒に歩けているのか、考えさせられてしまった」と振り返った。
是枝監督は「(同作に出演している)リリー・フランキーさんが(樹木さん、安藤さん、松岡さんの)3人を化け物だと言っていた」と話しながら、「希林さんと安藤さんの2人に太刀打ちできる女優は松岡さんだと思った」と起用理由を明かし、「(2人との共演は)松岡さんの財産になったと思う」と語った。
また是枝監督は、安藤さんについて「お芝居でここまでたどり着けるのかと正直思わされた。何かを超えていた」と絶賛し、「審査員たちが、何かとんでもないものを見たという顔をしながら、安藤サクラがすごいと言っていた」と述懐した。
是枝監督の作品に初出演した松岡さんは「今まで経験してきたことが通用しなかった。作為的に演技したことはことごとくOKを出してもらなえなかった。希林さんと安藤さんがいるステージでは、私はレベル1。これからが(女優としての)セカンドステージだと思う」と語り、「『万引き家族』で希林さんと安藤さんの女性としての豊かさを感じた。仕事への向き合い方もそうだし、人としての年輪が大きくないとできない。これからは人としても豊かになりたい」と目を輝かせていた。
「マスターズ・オブ・シネマ 」は、学生たちが映画、テレビドラマ、アニメーションなどの映像分野で活躍するゲストから、創作行為に対する姿勢やその手法について学ぶ同大学の授業。この日の講義には約500人の学生が参加した。講義の最後には、松岡さんが「監督! (最高賞)受賞おめでとうございます!」と是枝監督とハグして喜ぶ姿も見せた。
「万引き家族」は、犯罪でしかつながれなかった家族を通して、人と人との絆を描くヒューマンドラマ。息子の祥太(城桧吏=じょう・かいり=さん)と共に万引きに精を出す治(リリー・フランキーさん)が、凍えている幼い女の子・じゅり(佐々木みゆちゃん)を目にして思わず家に連れて帰る。妻の信代(安藤さん)は体中傷だらけのじゅりの境遇を察し、面倒を見ることに。一家は祖母の初枝(樹木さん)の年金を頼りに、アルバイトをしている信代の妹・亜紀(松岡さん)らと幸せに暮らしていたが、ある事件をきっかけに、家族の隠された秘密が明らかになっていく……というストーリー。8日公開。
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