映画「劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)」(上堀内佳寿也監督)と「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」(杉原輝昭監督)が2本立てで公開中だ。「仮面ライダービルド」初の単独映画作品に西都の知事・郷原光臣役で出演している藤井隆さんと、同時上映の「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」初の劇場版で謎のイケメン名探偵エルロック・ショルメを演じているお笑いコンビ「ココリコ」の田中直樹さんに話を聞いた。
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2本立て公開される特撮作品の劇場版に、それぞれゲスト出演する藤井さんと田中さんは、実は吉本興業の同期だという。「同期と知らなかったので最初は敬語でした」と藤井さんは振り返る。そして、藤井さんは記者に「どっちが後輩だと思いました?」と尋ね、「田中さんの方が後輩に見える」と答えると、「えっー!? それは逆ですよ。だって(田中さんの方が)先に世に出ていらっしゃるから」と藤井さんは驚いていた。それを聞いていた田中さんは「藤井の中ではそういう印象みたい」とうなずく。
そんな同期の2人はプライベートでも仲が良く、今回、同時上映の特撮映画にゲスト出演している。藤井さんは「事前に聞いてはいたのですが、衣装合わせの日に東映さんの撮影所に行くと、楽屋に(2人の)名前が貼ってありました」と言い、「そこで(記念に)写真の1枚でも撮っておけばよかったのですが、本当にぼんやりして撮ってないんです(笑い)。でもうれしかったです」と笑顔を見せる。
一方、田中さんも「(出演の)お話をいただいたときに、仮面ライダーの方に藤井が出ることを聞いてびっくりしました」と驚き、「お話をいただいただけでもうれしかったのですが、同期で同い年で同時期に出演ということで、さらにうれしくなったのを覚えています」と語る。
すると藤井さんが、「自分が今回こういう作品に携わらせてもらって、同時上映に田中さんがいるっていうのは、すごくうれしい。最初にスタッフさんから田中さんの話を聞いて、プロモーションは一緒だなと想像していました。楽しみだなって」とうれしそうに話す。
ビルドに出演する藤井さんが演じるのは、東都の知事・伊能賢剛を演じる勝村政信さん、北都の知事・才賀涼香役の松井玲奈さんと並ぶ西都の知事・郷原光臣。関西弁を話し、ユニークなキャラクターである半面、狡猾(こうかつ)な面も併せ持つ人物だ。
自身が演じる役について藤井さんは、「すごくスケールが大きくて、『こんなせりふ言えるのか?』とか『早く言いたい』といった感じで、ワクワクしながら台本を読んでいました」と明かす。
特に気に入ったせりふは、「『万丈に関する記憶は消した……』のような、そういうのっていいせりふ」と話すと、田中さんも「そうそう、ワクワクする」と笑顔でうなずく。さらに予告でも使われている「僕たちの目的は惑星の滅亡だ。火星を滅ぼしたようにパンドラボックスの強大なエネルギーを使って、宇宙のあらゆる星を食い尽くす。それこそがブラッド族の使命……」というせりふが、藤井さんは「すごく大好き」という。
田中さんが「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」で演じるのは、世界を股にかけ難事件を解決してきた謎の名探偵で、警察、快盗に続く新たな勢力として登場する。「快盗と警察チームの戦いがレギュラー放送で繰り広げられていると思うんですけど、その中に探偵という新たな要素が映画で加わり、活躍する役」と自身の役を説明。「新たな風を吹き込むような役で、カギを握る役だと説明を受けていたので、自分で大丈夫かなって……」と不安に感じたというが、「歴史ある、ずっと見てきた作品に出られる喜びもあり、すごくテンションが上がりました」と笑顔を見せる。
イケメン探偵という役どころについては、「スチールカットもカッコいいものをたくさん撮ってもらうなど、監督さんがカッコよく撮ってくれました」とうれしそうだ。
田中さんも藤井さんも多くの演技経験を持つが、CG(コンピューターグラフィックス)やスーツアクターなど特撮ならではの撮影について、「特撮じゃないと経験できないシーンというのが、やっぱり楽しい。そこは特撮ならではの醍醐味(だいごみ)です」と田中さんが切り出すと、藤井さんは「見えないものを見えているようにやるとか、目線を作っていただいて、それに対してとか、舞台とはまた全然違って面白い」と言い、「(キャストが)やりやすくするためにスタッフの方が全力でやってくださるので、本当にうれしかったです」と感謝する。
特撮といえば変身シーンやアクションシーンも魅力だが、「『(秘密戦隊)ゴレンジャー』が大好きだったので、自分の出番があろうがなかろうが、戦闘シーンの撮影にお邪魔させてもらって、見学しました」と田中さんは明かし、「キャストさん、声優さん、スタッフさん、どのセクションの方も本当にお仕事っぷりがすごいんです! すごく感動しました」と絶賛する。
さらに田中さんはアフレコの難しさにも言及し、「戦闘シーンのアフレコでは、当然ですけど、攻めているときの声と攻撃を受けているときのリアクションが違う。その違いを出しつつ、すごいスピードで攻守が入れ替わっていく中、声を入れていくのは難しかった」と実感を込める。
2人が子供のころに憧れたヒーローを聞くと、藤井さんから「『世界の料理ショー』という番組でMCをやっていたグラハム・カーという方」と意外な答えが返ってきた。「観覧しながら収録する料理番組で、MCがおしゃべりをしながら料理をしていく。(グラハム・カーは)イメージでいうと、井上順さんみたいな感じで、面白くてカッコいい」と説明する。
好きな理由は、「子供ながらに料理番組が好きで、なぜかは子供のころは分からなかったんですが、『2時間煮込んだものがこちらです』と言った後、差し替えたのが分からなかったので、すぐに出てくるのが手品みたいに見えた。手品とものまねが大好きなので」と分析する。
子供のころに「ジャッカー電撃隊」を、自身の子どもと一緒に「侍戦隊シンケンジャー」を見るなど特撮好きの田中さんは、「ライダーや戦隊のヒーローはもちろんですけど、僕にとってのグラハム・カーみたいな人は、『ピンク・パンサー』のピーター・セラーズ」と言うと、思わず藤井さんが「ぽいっ!」と同意する。
理由について田中さんは、「記憶では、初めて見た“ダメな大人”がピーター・セラーズ演じる(『ピンクパンサー』の)クルーゾー警部で、このダメな大人はめちゃくちゃ面白いなって。ダメなのに笑わせてくれてハッピーにさせてくれて、またダメなことが起きろ! ヘマをしろ!みたいなことを楽しみに見ていて、ピーター・セラーズが子供ながらにカッコいいと感じていました」と語る。
最後に2人に映画の見どころを聞くと、田中さんは「快盗と警察が戦っている中、探偵という違うポジションの人間が入ってくるところが映画として面白い。どういうふうに警察や快盗に関わっていくのかが楽しい役どころだったので、名探偵は最終的にどう絡んでいくのかを見てほしい」と語った。藤井さんも「北九州のロケで3000人のエキストラの方にご協力をいただいて撮影したシーンは圧巻だと思います。個人的には、自分の名前を言う場面ですごくいいところに連れて行ってもらったので、ただただ自己紹介をするだけの場面ですけど、すごく気に入っています」とアピールした。
(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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