吉高由里子:「検察側の罪人」木村拓哉、嵐・二宮との共演エピソード語る 20代終えた心境も

映画「検察側の罪人」で検察事務官・橘沙穂役を演じる吉高由里子さん
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映画「検察側の罪人」で検察事務官・橘沙穂役を演じる吉高由里子さん

 女優の吉高由里子さんが出演する映画「検察側の罪人」(原田眞人監督)が24日に公開された。映画は東京地検を舞台に、木村拓哉さん演じるエリート検事・最上と「嵐」の二宮和也さん演じる沖野の正義を巡る戦いを描いた作品で、吉高さんは戦いの行方を左右するヒロインの検察事務官・橘沙穂を演じている。先月22日に30歳になった吉高さんに、木村さんと二宮さんとの撮影エピソードや役への思い、駆け抜けた20代について聞いた。

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 ◇“涙のシーン”は「ぞっとしちゃった」 

 映画「検察側の罪人」は、「犯人に告ぐ」「クローズド・ノート」などの雫井脩介さんの小説が原作。東京地検を舞台に、エリート検事・最上(木村さん)と最上を師と仰ぐ若き検事・沖野(二宮さん)がある殺人事件を巡り対立し、ついには互いの“正義”を賭した戦いへと発展していく……という内容だ。

 検察事務官として沖野とコンビを組み、2人の正義を巡る闘いを最も近くで見続ける橘役を演じた吉高さん。橘は沖野と行動を共にしつつ、実は内に誰にも言えないある野心を秘めているクールで芯の強い印象的な役柄だ。吉高さんは「橘はミステリアスで、背景もあまり見えない。でも、かたくなな部分もある役。『この人はいつ笑うのかな』と考えながら演じていました」と語る。

 橘役での出演は、「クランクインの2週間ぐらい前に決まった」という。だが「ギリギリで『どうなっちゃうんだろう』という感じだったんですけど、原田さん(監督)から『一緒にやろう』と言ってもらえたことが純粋にうれしかったです」と吉高さん。「どうなるか分からないけど、原田さんと話してみて(詳細は)決めてもらおうかって。役の詳細は出演が決まってから具体的な話をしました。原田さんからは(携帯の)番号を教えてもらって、『分からない、苦しい、と思ったら、いつでも連絡して』と言われて。すごく気さくな方でした。でも撮影中はなるべく自分で考えて、周りを見て対応できるようにしていこう、という感じでした」とオファー後のエピソードを明かす。

 劇中では、沖野による被疑者の松倉(酒向芳さん)の取り調べ中、松倉の供述を聞いて橘が思わず涙を流す場面も描かれる。クールな橘の感情が表出する印象的なシーンだ。吉高さんはそのシーンについて「松倉のことを、本当に気持ち悪い、と思って演じていました。気持ち悪いし、歌い方もぞっとするし……」と説明し、「(撮影スタートのカウントダウン)『4、3、2、1!』で泣けるタイプではないんです。酒向さんが演じる松倉の表情とか雰囲気とかお芝居を見て、ぞっとしちゃったという感じですね」と語る。

 ◇二宮和也の演技を絶賛 「大爆発するエネルギーを見せつけられた」

 沖野が松倉を取り調べるシーンは、沖野役の二宮さんが時に声を荒らげ、時に淡々と松倉に迫っていくなど迫力ある演技を披露しており、同作の見どころの一つになっている。吉高さんは二宮さんについて、「みんなでわいわいとご飯を食べているときも、一人で車に戻っていったんです。窓からのぞいてみたら、ずっとそのシーンの台本を読んでいて……。『すごい……』と思いました。『ご飯食べないの?』と聞いたら、『この(シーンの撮影の)日、早く帰りたいでしょ?』って。そういう言い方をするタイプの方なんですが、実際は、ものすごい努力のかたまりの人」と表現する。

 さらに、「もともと器用な方だと思うんですが、それでも、すごく大きな壁だったんだろうな、何回も何日も前からずっと(台本を)読んでいたんだろうな、と思うぐらいのシーンだったなと思います。ご本人が持つ臨機応変の才能が固まったシーンだったな、と。大爆発するエネルギーを見せつけられたような感じでした」と二宮さんの演技を絶賛する。

 同作は、木村さんと二宮さんが初共演したことも話題を集めている。最も近くで2人を見ていた吉高さんは、「実際は、2人がギスギスしているのはお芝居の中だけで、カットがかかったら『一生しゃべるの?』というぐらい、2人でずっとしゃべっていましたね(笑い)、持っている知識とかうんちくとか……」と明かし、「役の上ではピリピリした関係だったので、ギャップがすごかったなあ」と振り返る。撮影の合間は常に和気あいあいとした雰囲気だったといい、「じゃんけんして(負けたら)ジュースやお昼ご飯をおごる、とかやっていました」と笑う。

 ◇一番よりも「二番手がいい」? 20代を終えた心境は…

 野心を内に秘めた橘を演じた吉高さん。自身の中に野心はあるのだろうか? 吉高さんは「あります、あります。例えば、1日3食食べなくてもいいから、1食はすごくおいしいものを食べたい、とか……。ちょっと違うな(笑い)」と冗談めかして語りつつ、一転、真面目な顔になり、「野心か責任感か分からないですけど、自分の関わった作品は誰かの心に残っていてほしいな、と思っています」と作品への思いを明かす。さらに「一等賞でなくていい、二番手でいい、って思っちゃうんですよね。きっと、一番はずっと一番でいなきゃいけないプレッシャーがあると思うので。二番手が一番いいのかな、と思ったりします」と自身の考えを明語った。

 7月22日に30歳になった。改めて、走り続けた20代を振り返ると、「こんなにいろんな人と出会うことになると思わなかったし、こんなに知らない人に自分の話をすることになるとも思わなかったですね。自分が思っていた20代ではなかったな、と……。まだ全然、この仕事をしていて違和感を感じることもありますし。『何になりたいんだろう?』という感じはあります」と内心を吐露。今後の課題について、「また会いたいなって思われる人間でいたい。それはずっと課題にしていたいと思います。仕事でも、仕事以外でも」と笑顔で語った。30代はどんな活躍を見せてくれるのか、吉高さんの今後に注目だ。

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