androp:「グッド・ドクター」主題歌制作秘話語る 山崎賢人も「いい曲っすね」

連続ドラマ「グッド・ドクター」の主題歌「Hikari」について語ったandropの(左から)佐藤拓也さん、伊藤彬彦さん、内澤崇仁さん、前田恭介さん
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連続ドラマ「グッド・ドクター」の主題歌「Hikari」について語ったandropの(左から)佐藤拓也さん、伊藤彬彦さん、内澤崇仁さん、前田恭介さん

 4人組ロックバンド「androp(アンドロップ)」が、シングル「Hikari」を8月29日にリリースした。「Hikari」は山崎賢人さん主演の連続ドラマ「グッド・ドクター」(フジテレビ系)の主題歌として話題の曲だ。ドラマは、自閉症スペクトラム障害でサヴァン症候群の青年(山崎さん)が、小児外科の研修医として子供たちの命のために闘い、ともに成長していく……という物語。主題歌の制作にあたっては、ドラマの舞台でもある病院に足を運んで構想を練り、さらにボーカルの内澤崇仁さんは、山崎さんや上野樹里さんらが撮影している現場を訪れて「Hikari」を生披露したという。andropの4人に、今作の制作秘話や山崎さんと交流した際のエピソードなどについて聞いた。

ウナギノボリ

 ◇小児医療センターで見たものとは

 ――ドラマ「グッド・ドクター」の主題歌「Hikari」はどんなイメージで作っていったんですか。

 内澤さん(ボーカル&ギター):原作の韓国ドラマを見たんですけど、最初の10分くらいでもう結構、泣いていて……。まず、兄弟愛や親の愛、人との絆の愛とか、いろんな愛を感じたというか。あと、病院内の話なんだけど、人間関係や、自分に巻き起こる逆境を乗り越えなきゃならない瞬間とかは、社会の縮図のようだなと思って。自閉症でサヴァン症候群の主人公が、周りの人の闇を純粋な優しさで溶かしていく、そして溶かされた周りの人は変わっていく……。そういう愛だったり、社会の縮図的な人間関係は普遍的な部分で、日本版でも変わらないだろうなと思ったので、それを曲に落とし込んでいけたらと思いながら作っていきました。「光(Hikari)」という言葉自体は、andropでは昔から使ってきた希望の象徴的な大切な言葉なので、そこは自然と出てきた部分だと思います。

 ――「始まりと終わるがある場所で……」という一節を含む、ラストに向かうメロディーが印象的ですね。

 内澤さん:楽曲を作る上で、医療に関する本や映像を見たりしてたんですけど、やっぱり病院で実際に体感したことを曲にしたいと思ったので、行かせてもらったんですね。小児医療センターというところで、先生にいろんな部屋を案内してもらって。その中ですごく印象的だった場所が、霊安室だったんです。霊安室って、すごく薄暗くてひんやりしていて人目につかない部屋、みたいなイメージがあったんですけど、その霊安室は青いステンドグラスがあって、光がすごく入っていてきれいな場所だったんです。そこに行ったときに何ともいえない気持ちになったというか……。

 「始まりと終わりがある場所で……」というのは、病院は新しい命が生まれる場所でもあり、亡くなっていく命もあるところ、という意味で。その部分のメロディーは、教会を思わせるような神聖な雰囲気のアレンジにしたいなと思って、聖歌隊(のようなコーラス)を入れたりして出来上がっていきました。

 ――演奏面ではいかがですか。

 佐藤拓也さん(ギター&キーボード):内澤君が、プロデューサーと何度も話し合いをしながら3、4カ月かけて楽曲を作って、歌詞にも音の一つ一つにも強い思いが入っているので、それを濁らせてはいけないというか。その思いがストレートに伝わるような演奏というのは心がけました。

 伊藤彬彦さん(ドラム):今までもドラマタイアップを何度かやらせてもらってきた中で「これ、俺じゃなかったらもっといいものができたな」という後悔ばかり持ってきたんですけど、内澤君が、この4人でやっていく音楽だったり、4人の演奏のクセとかを加味した上で、アレンジや曲作りにどんどん長(た)けていっているのをすごく感じるというか。今回は、歌のメッセージや楽器の演奏の手触りをすごく感じる、我々4人でやっているバンドの音像になったなって。

 ◇山崎賢人がおにぎりを食べるシーンで…

 ――ドラマで楽曲が流れたときの印象は?

 前田恭介さん(ベース):シリアスな場面が終わって、ちょっとほっとするタイミングというか、山崎さんと上野さん(が演じる医師)が、2人で何となく心を寄せ合う瞬間に流れるんですけど、そういうほっとするものを作ってほしいというオーダーがあったというのは聞いていて。(山崎さん演じる湊先生が)おにぎりを食べるときにも使われてるんですよ。なので「おにぎり」っていう印象ですね(笑い)。

 ――内澤さんはドラマの現場を訪れ、山崎さんたちの前で「Hikari」を弾き語りで披露したそうですね。

 内澤さん:温かい拍手をいただきました。賢人君は、すごく聴いてくれているということと、「いい曲をありがとうございました」というようなことは言ってくれましたね。プロデューサーが言っていたのは、賢人君と一緒に焼き肉を食べに行ったときに、賢人君が携帯電話で「Hikari」をずっと流してくれて、「いい曲っすね」みたいなことを言ってくれていたみたいで、「『店のBGMを勝手に決めるんじゃないよ』って(山崎さんに)言っておいた」って(笑い)。ありがたい話です。

 <プロフィル>

 ボーカル&ギターの内澤崇仁さん、ギター&キーボードの佐藤拓也さん、ベースの前田恭介さん、ドラムの伊藤彬彦さんによる4人組ロックバンド。2009年にアルバム「anew」でデビュー。中谷美紀さん主演ドラマ「ゴーストライター」の主題歌「Ghost」(15年発売の6枚目シングル)、岡田将生さん&木村文乃さんダブル主演映画「伊藤くん A to E」の主題歌「Joker」(18年1月発売の9枚目シングル)などを担当。ボーカルの内澤さんは、柴咲コウさんの「EUPHORIA」「ラブサーチライト」、上白石萌音さんの「ストーリーボード」、映画「君と100回目の恋」の劇中歌でmiwaさんがボーカルを務める劇中バンド「The STROBOSCORP」の「アイオクリ」など、数々の楽曲を提供している。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)

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