サルべーション:宮内敦士、浪川大輔が語る “吐息”にまでこだわる吹き替えの現場

海外ドラマ「サルべーション -地球の終焉-」の日本語吹き替え版の声優を務める宮内敦士さん(左)と浪川大輔さん
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海外ドラマ「サルべーション -地球の終焉-」の日本語吹き替え版の声優を務める宮内敦士さん(左)と浪川大輔さん

 海外ドラマ「サルべーション -地球の終焉(せかい の しゅうえん)-」シーズン1のDVDボックスが発売され、レンタルも開始された。科学のエリートたちが小惑星衝突という地球の危機に立ち向かうSFサスペンスだ。ドラマの日本語吹き替え版で、声優を務めた宮内敦士さん、浪川大輔さんに現場の様子やお互いの演技などについて聞いた。

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 ◇天才科学者と大学院生のバディーが地球の危機に挑む

 ドラマは、人類を滅亡させる小惑星の衝突が地球に迫る中、世界最高峰のエリート集団が危機回避に立ち上がる姿を描く。日本語吹き替え版では、宮内さんが21世紀最大の起業家にして科学者のダリウス、浪川さんがダリウスとタッグを組んで危機に立ち向かうマサチューセッツ工科大学の大学院生リアムを演じる。

 宮内さんは、自身が演じるダリウスを「天才科学者でお金もあるセレブ。ただ、裕福な家の出身ではなくて、自分で努力して一流になった自負がある自信家」と表現。浪川さんはリアムを「勉強が大好きで、自分の興味のあることに関しては前のめりにやってきたキャラクター」といい、「ただ、大学院生で社会人経験がないゆえに立場、地位、関係性に関係なく自分の思いのままにしゃべってしまう。そこで周りが言うことを聞いてくれないと、『なんで?』となる。そこはまさに学生かな」と分析する。

 そんな2人がぶつかり合いながらも地球の危機に挑んでいく姿が描かれるが、浪川さんは「もともとダリウスとリアムは見ている世界が違う」と話す。ダリウスは国防総省ともつながりがある科学のパイオニアで、かたやリアムは大学院生という差に触れ、「でも、リアムは同じ土俵でしゃべっている。そんなズレがあることが分かった上でダリウスはバランスを取ってくれている」と関係性を語る。

 ◇細かい吐息の意味にもこだわって演技

 宮内さんは、ダリウスが地球を守るべく奮闘する姿を演じる上で「自分のやりたいことをやれなかったり、自分の専門外のところで戦わなければいけなかったりという立場に追いやられていくのですが、それがただ振り回されているだけなのか、自分の意志でコントロールしているのかが見えないことがある」と頭が切れるキャラクターを演じる上での難しさを語る。ドラマは、声優陣も驚くほどの展開の早さで、キャラクターも人間関係もめまぐるしく変わっていくという。宮内さんは細かくディレクターに確認を取りながらアフレコを進めた。

 浪川さんはリアムが何かをひらめいた時の状態を「リアムモード」といい、「透明のボードにペンで数式をだーっと書き始めるような時なのですが、リアムが何かを思いついて誰かに説明する時の興奮感は日常で僕が味わったことがないテンション。すごくはしゃいでいるわけでもなく、伝えたいから絶対に聞いてほしいというわけでもなく、捉えどころが難しい」と語る。

 続けて浪川さんは、演じる上での“吐息”についても語り、「リアムを演じている役者さん(チャーリー・ロウさん)はやたらと息を吸うんです。癖もあると思うのですが、どういう時に息を吸ったり吐いたりしているのか読み切れないところがある」という。宮内さんも他の現場に比べて台本に息の指示が多いといい、「感情を表現する息でもあるので、なるべく合わせるようにしています」語る。

 ドラマのアフレコ現場では、「(声を)張れという感じではなくて、ごくナチュラルに取ってくださる。息も当然そこに絡んでくる」と宮内さん。細かい吐息の意味にもこだわる、リアルを追求した現場だったようだ。

 ◇宮内さんの台本の書き込みは感動的

 宮内さんと浪川さんは、8年ほど前の吹き替えの現場が初対面。その後、同じ作品で声優を務めることはあったものの今回のようにバディー役として本格的に共演するのは初めてという。お互いの印象を聞くと、浪川さんは「宮内さんの台本の書き込みは感動的ですよ。一文字一文字に点がふってあるんです」と明かし、「アフレコの空き時間もずーっと練習している。普段は『僕なんて』と謙遜されていますが、マイクの前に立つと自分とは全然違うキャラクターを演じられる。僕とはタイプが違う役者さん」と笑顔で語っていた。

 宮内さんも「浪川君は役によって全然違いますからね。(『ルパン三世』シリーズ)の石川五ェ門もできれば、今回のようなリアルな役もできる。会うたびにすごいなと。僕も負けないように思ってやっています」と話し、お互いに信頼を寄せている様子。

 ドラマは、シーズン2がWOWOWで12月にスタートする。「シーズン1では、小惑星を巡る問題はもちろん、人間関係もめまぐるしく変わっていく。シーズン1を見てからシーズン2を見ると、その深みが違ってくると思います。全てが布石になっているので……」と浪川さん。声優陣の声にも注目すると、よりストーリーが楽しめるかもしれない。

 「サルべーション -地球の終焉-」のDVDボックスは7枚組みで、9300円(税抜き)。シーズン2はWOWOWプライムで12月に放送開始。同1日の午後9時に第1話が先行無料放送される。

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